BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット@シリーズ――水神祭!

 

 

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 まずは本日の水神祭から。

 3R、SG初出場の黒井達矢が初1着! 埼玉支部の若手といえば桐生順平が突出したネームバリューをもっているが、黒井もグングン急成長して、こうしてSGの舞台に立つまでになった。そして、見事に1着! おおいにその名を売ったことだろう。

 水神祭は、桐生のレースを待って4R後に行なわれている。埼玉勢&関東勢が集結し、ウルトラマンスタイルで黒井を冷たい水の中に投げ込んだ。いや、今日は水温のほうがはるかに高かったようだから、案外温かく感じたかも!? 黒井は水中で嬉しそうに笑って、祝福の声に応えていた。おめでとう!

 

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 その黒井が、トライアル12Rをナマで見ようと、ボートリフト前にあらわれた。隣に並んで、問いかける。

「ナマで見る、賞金王はどう?」

「いや~、すっごい緊張感ですね……」

 初体験するグランプリの場。目の前で繰り広げられる1億円を奪い合う激戦。黒井もおおいに刺激されたようだし、感動も覚えたようだった。というわけで、煽ることに決定。

「じゃあ……来年?」

 水面を見ていた黒井が、はっと息を呑んでこちらを見た。

「は、はい……」

 約束したぞ、戸田のブラックアロー! 来年はSG出場もきっと増えるはず(クラシックは大丈夫だと思います)。桐生先輩とともに弾むように走る黒井を見させていただこう。

 

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 雨が降り、徐々に薄暗くなっていくピットで、もっとも姿を多く見かけたのは、前田将太だ。先輩の艇旗艇番準備は若手恒例の仕事だが、それ以外でもピット内を歩いたり、報道陣と会話を交わしたりする前田を、本当によく見かけた。

 そういえば、前田もこれが賞金王初体験。声援を送っていたはずの先輩は、トライアル1stで敗退してしまったが、しかし前田にとってもこの舞台を目撃し、体験できることは大きな糧になるはずである。予選突破は厳しくなった。だから、SG初優勝の水神祭はお預けである。しかし、それほど遠くないうちに、見せてもらいたいぞ! ピットを駆けまわる姿もカッコいいが、ズブ濡れの前田もきっと光っているはずだ。

 

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 その水神祭にぐっと近づいたのが、平本真之である。3日目を終えて予選トップ! そして明日は10R1回乗りで、1号艇である。つまり、「あと3回逃げればSG制覇」という王道パターンにハマったのだ。というわけで、煽ることに決定。

「あと3回、だね」

 平本はハハハハと笑った。

「それが難しいんでしょうけどね」

 たしかに簡単なことではない。明日は気象も変わりそうだし、気配が変わらないとも限らない。それに、重圧がじわじわと増してくるはずで、そういえばSG優勝戦1号艇を(そして最高に悔しい思いを)平本は経験している。ましてここは平和島。今日もインは負けまくっている。煽ったはいいものの、平本の言葉に妙に説得力を感じたのだった。

 しかし、すぐに平本は言葉をつなぐ。

「でも、チャンスですからね。それができればいいですよね」

 この男、柔和で笑顔が多くて気遣いができる優男だが、実は胸の奥に秘めたものは熱い。当然、意識しているのだ。

 トラウマになりそうなほどの悔しさを味わったのは、11年グラチャン。あれから3年半、リベンジの機会がやって来た。水神祭、見せてくれよ!(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)