BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――マイペース

 

 

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 優勝戦朝の常として、ベスト6メンバーはゆったりと過ごしているものだが、大阪支部の3人は実にマイペースに見えている。

 田中信一郎はペラ室にこもり、調整に励んでいるが、慌ただしい雰囲気はない。着々と準備を進めて、万全で優勝戦に臨もうということだろう。2Rでは中島孝平のエンジン吊りに参加して、率先して動き回る。田中は、すでに近畿地区のなかではかなり上のほうだが、エンジン吊りでは先頭に立って仲間をヘルプするのがいつもの姿だ。優勝戦の朝も、それは同様。ということは、やはり自分のペースを崩すことなく、勝負の朝を過ごしているということになる。

 

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 石野貴之も、大きな動きは見せていない。ペラ室に入っていくところは見かけたが、大きな調整をしている様子はない。倉谷和信と話をしていたが、何かアドバイスをもらっていたのだろうか。

 それにしても今朝も石野は凛々しい! カタさはまったく感じないが、視線には力強さがある。間違いなく、最高の精神状態で優勝戦の朝を迎えている。昨日の別れ際に見せた笑顔とのメリハリは予想通り。この男の気持ちの強さはハンパではない。

 

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 太田和美に関しては、ついに姿を見かけないまま、この原稿を書き始めなければならなかった。1Rには魚谷智之、2Rには中島と、近畿地区選手の出走はあったが、エンジン吊りにも姿が見えなかったのだ。やはり、この泰然自若ぶりには唸るしかない。動かないことも調整であり、整備であり。動くべき時には精力的に動くあたりも、強い信念のようなものを感じる。昨日の会見で、ペラを叩いてみると語っていたので、このあとには調整を始めるはず。もちろんそれが太田の青写真であり、優勝戦には納得のいく調整を施してくるだろう。

 

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 07年チャレンジカップ以来のSG優出だそうである。そんなに間隔があいてたっけ? 川﨑智幸はこれがSG12回目の優出。ベテランが久しぶりにこの舞台に戻ってきた。

 川﨑の歩くスピードがずいぶんと遅かった。これ、勝負どころでの川﨑のパターンだ。どこのどんなレースだったかをすぐに思い出せないが、20mほどを30秒も40秒もかけて歩いているのを見たことがある。その後も、優勝戦や準優勝戦ではスローウォークの川﨑を見かけた。ということは今日の川﨑も、朝から勝負モードに入っているわけである。淡々とした様子からはそうは見えないけれども。

 

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 これがSG初優出。今後はもちろんその回数を増やしていくことになる前田将太。まあ1号艇なら話は別だったかもしれないが、今朝の前田は落ち着いたものである。穏やかな顔つきはいつも通りで、関係者と柔らかな顔つきで話し込んだりもしていた。時間が進むごとに、独特の空気を感じていくことになるだろうが、ひとまず朝の段階では平常心。妙な雰囲気は感じられない。

 この2人は、その後ゲージ擦りに取り掛かっている。ペラ調整でも本体整備でもなく、ゲージ擦り。急ぎ調整する必要がないということは、足的な不安はないということになる。また、現状で満足のいく状況にもあるということだろう。言うまでもなく、午後になればペラ室で姿を見ることになるだろうが、ひとまずはやはりマイペースのベテランと若武者である。

 

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 最後に菊地孝平。こちらも特に大きな動きは見せてはいない。そして、表情もずいぶんと柔らかだ。周囲の雑音も景色も閉ざして思索にふける、という菊地モードも見られていない。ごくごくありていに言って、リラックスしている雰囲気だ。ということはつまり、菊地もまたマイペース。闘志に点火するのは、これからだ。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)