<抽選前のパワー評価>
5月に初下ろしの蒲郡モーター。もちろん新型エンジンなのだが、過去3カ月の実戦を見る限り3つのモーターが抜けていると感じた。
★60号機/7月半ばに仲口博崇が21111111131①で圧倒V。全部が強いバランス型か。
★56号機/B1豊田訓靖が10戦して9度舟券に絡む。伸びでは60号機以上か。
★67号機/前節、B1小澤学が圧倒的な節イチ気配。最後の転覆が気になるが上昇度NO1だ。 この3機を引いた選手が、まずは1、2歩ほど優勝に近づくだろう。いちばん不気味なのは、ぐんぐん強力になっている67号機。転覆の影響がなければ、節イチに仕上がる可能性は高いと思う。
このTOP3以外では、地元の整備士さんが推している39号機、準エース級の安定感を誇る53号機、穴で一発ありそうな16号機をピックアップしておきたい。
<いざ、本番>
でもって、モーター抽選のはじまりはじまり。ガラポンが稼動してから、わずか30秒後に小さな歓声があがった。2番目に回した池田浩二が、“隠れエース”の67号機を引いたのだ。地元の池田はそれを知ってか知らずか、至ってポーカーフェイス。後ろの席の今村豊に「67号機なんですけど……」と打診するくらいだから、まったく興味のないモーターだったかも。
池田に頼られたミスターは、「お、それね、だいじょぶ、エース、エース」と実に安直に答えていた(笑)。ミスター、私の見立てでは、67号機はマジでエース級なんです! 地元のエースが隠れエース。池田の優出はほぼ間違いないとお伝えしておこう。
それからしばらく“不作”が続き、ガラポンも終盤戦に突入。長い沈黙を破ったのは、東都のエース濱野谷憲吾だった。「ごじゅうろく」と読まれた瞬間、周辺から「オオッ!」の声。東都のエースもまたポーカーフェイスでやり過ごしていたが、ボート界も高校野球も東風が吹いているだけに、この組み合わせは怖い。
で、さらなる歓声は、憲吾の直後に待っていた。徳増秀樹。数字を読み上げる仲口博崇の声がオクターブ上がって「ろくじゅう!」と叫んだ瞬間、会場にどよめきが起きた。歓声とため息が混じったようなどよめき。そりゃ、期待していた56と60が連続して出たのだから、後続の選手はたまらない。立会人の仲口(ガラポンのラストバッター)も「もう……いいな」と事実上の終結宣言を発したのだった。
一方、60号機を引き当てた徳増は、周囲の異変ぶりに「え、え?」と戸惑っていた。で、馴染みの記者に「なになに、どうなの?」と尋ね、「いちばんいいエンジン」と耳打ちされると「あ、そう、いちばんいいの!?」と反復した。そして、口元に手を当てて「ホーーッ」と高い声を発した。去年の夏あたりからSG優出を逃している徳増だが、今節はもちろんそれを狙えるし、パワー的には「それ以上」も十分にありえるだろう。
まとめるなら、徳増、憲吾、池田が先制パンチを決めた。ただ、現時点での私の見立ては「三国オーシャンの石野貴之33号機ほどのモンスター級はいない」で、あくまでも一歩前進程度だと考えている。この後の前検診断で、その見立てが大きく変わる可能性もあるのだが。(photos/シギー中尾、text/畠山)
蒲郡の注目モーター
★★60号機…徳増秀樹
★★56号機…濱野谷憲吾
★★67号機…池田浩二
★39号機……中島孝平
★53号機……重成一人
穴16号機……山崎智也