桐生に台風9号が接近する中、V戦線の明暗を分かつモーター抽選が行われた。今期の桐生のエース機は、目下2連対50%をただひとり超えている40号機。行き足を中心に全部の足が水準以上という贅沢な逸品だ。が、ほとんどの選手はその予備知識を持っておらず、会場にはのほほんとしたムードが漂っていた。たちえば、九州の若手選手と仲のいい中尾カメラマン(福岡在住)が「40号機だよ」と伝えると、反応はこんな感じ。
下條雄太郎「あ、40がいいんですか?」
西山貴浩「マジ、40なんすか!?」
篠崎仁志「40? はい、わかりました」
まったく気にしていない。おそらく、「桐生には突出したモンスター級が不在、40号機も絶対エースとは言えない」という下馬評が浸透しているのだろう。実際、私もそう感じているひとりで、たとえば去年の三国オーシャンの石野貴之33号機のような破壊力はなさそうだ。私の勝手な見立ては「抜群の安定力で誰が乗ってもほぼほぼ予選突破、ぴったり合わせきれば準優1号艇」、つまり上位~抜群級の中間くらいの評価だ。
とはいえ、すでに8カ月も稼働していて2連率53%のエース機をゲットして気分を害する選手がいるわけもなし。この40番のガラポン玉が誰の手に渡るか……つらつら注目していたらば、それは東都のエースの手元からポトリと零れ落ちた。
「オッ!」
叫んだのは、選手たちではなく数人の記者たちだった。で、それに乗っかる形で前方の選手たちが「おっ」「オオッ!」などと囃したてる。その歓声を聞いた濱野谷憲吾は、ひとこと「ヘッ??」。やっぱり、東都のエースも知らなかった40号機なのである。ちょっと不憫なエース機かも?? まあ、東都のエース×桐生のエース機がどんな化学反応を起こしてくれるか、大いに期待するとしよう。もちろん、体重の変動も含めて(笑)。
で、この憲吾の40号機ゲットを我がことのように喜んでいたのが池田浩二だった。最近、抽選会場で憲吾を随所に茶化したり笑わせたりしている池田。そのふたつ隣の原田幸哉も笑顔で加わり、憲吾のふたつ隣の中野次郎も豪快に笑いながら先輩を祝福する。この一帯だけが妙に華やいでいたわけだが、憲吾パワーが伝播したのか他の面々も下記のような好モーターをゲットしたのだった。うむむ、今節は東京支部と愛知支部の天下かもっ??
桐生の注目モーター
★★40号機(53%)…濱野谷憲吾
★★20号機(39%)…魚谷智之
★60号機(49%)…中野次郎
★45号機(46%)…遠藤エミ
★21号機(43%)…原田幸哉
★22号機(36%)…池田浩二
★31号機(34%)…菊地孝平