BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――ツケマイの真実

 

 

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 昨日のTOPICSで畠山が「差し水面で青木玄太の2コースツケマイが決まった理由」について考察していたが、本人に話を聞いてきました。

「あれだけ強い追い風だと、インの心理としてはあまり握り過ぎたくないですよね。とすると、いつもよりスピードが落ちる。2コースから差そうとすると、さらに待つことになるわけですよ。そこで3コースに握られると完全にハメられてしまう。それを避けたかったんですよね。だから上を行くことは考えていました」

 青木としては、佐藤翼が落としたからまくったというよりは、3コースにハメられるのを避けるためにまくった、というほうが正確なようだ。ただ、あの追い風で2コースから握ると、自分が流れる可能性がある。まくるのは勇気がいることではないか。

「だからペラでそこを来させておきました。インが落とせば上に行くし、もしインが握るようだったら差せばいい」

 まくっても流れないかかりをペラを叩くことによって来させたわけだから、青木はその時点ですでにまくりに行くことを想定していた! そして、実際に翼が落としマイに出たため、青木は狙い通りのツケマイに行った。まさに、作戦勝ち、準備勝ち、頭脳勝ちなのである。素晴らしい!

「SGでもみんなやってません?」なんて言ってた青木だが、あの強風のなかであれだけきれいに決まるジカマクリはそうそう見られないぞ。3Rは不可解な不良航法で減点となってしまったが、準優でも豪快かつ繊細な走りを見せてもらいたい。いやあ、ボートレースって駆け引きが大事なんだなあ。改めて教えてもらった。

 

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 青木は「足に余裕があるから、いろいろ考えられるんですよね」とも言っていたが、たしかに機力が伴わなければそうはいかない。まずは機力アップが先決となるし、思い通りの展開になるほうが少ないだろうから。

 というわけで、機力劣勢の篠崎仁志はパワーアップに必死の様子。すでに1着でも6・00には届かない状況で、今日の1号艇は半ば消化試合の様相ともなっているのだが、もちろん仁志にとっては消化試合などではない。この1号艇で取りこぼすわけにはいかないのだ。

 今朝の仁志はリードバルブ調整。今日も朝から整備に励んでいるのが、投げていない証拠。ドリーム組として、無様なレースはできないとの思いもあるだろうか。必勝態勢で臨む10R。あ、玄太が5号艇だ。ここでどんな策略をめぐらし、また仁志はどう対応するだろうか。

 

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 対照的なのが兄の篠崎元志で、表情には余裕があった。元志は勝負駆けに臨む一日であるが、その様子を見ていると、軽く突破するだろうなとしか思えなかった(実際4R2着で当確です)。元志は昨日から雰囲気が変わったなあ、というのが僕の印象。初日2日目に比べて、ずっと軽い感じになっている。あ、軽いってのは軽薄の意味ではなくて、軽快とか軽やかとか、そっちのほうね。序盤は重苦しいというほどではないが、メモリアル時とも違う、重めの何かを感じたものだ。軽いという言葉が元志を見ていて浮かんでくるようになって、しっかり着順もアップしてきた。この雰囲気キープなら、さらに成績が上昇していきそうだ。

 

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 さてさて、2Rで高野哲史が勝負駆け成功! お見事! 竹井奈美のフライングはあったものの、決まり手は恵まれではない。きっちり自分で抜け出してみせたのだ。5号艇5コースで1着条件というのは、かなり厳しいものにも思えていたが、それを切り抜けての地元ヤンダビ予選突破! まあ6・00で絶対OKとはまだ言い切れないものの、目安の数値に届く勝利をあげたのは、高野にとっても、地元にとっても、幸福である。

 レース後の高野はもちろん笑顔が見えたが、それ以上に小坂尚哉が喜んでいるように見えた。地元はたった二人の参戦。小坂は選手班長の大役を務めながら、昨日はFに散ってしまった。このまま地元勢が目立てず終わってしまうのか、そんな不安を一気に振り払う高野の勝利である。先輩としては、我がことのように喜んで当然だ。

 それにしても高野、他の5人にあいさつに回っていたが、実に腰が低かったです。好漢・高野、頑張れ! あ、馴染みのない方に念のため言っておきますが、タカノではなくコウノですよ。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)