BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――やっぱり山川がすごい!?

 

 

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 三浦永理の背中に、歴史的勝利の記憶に留めんとする銘が打たれていた。これ、長嶋万記とおそろいのウェアのようです。この写真は、ペラを叩いている三浦の背中。タイム測定などすべて終わったあとに、ペラ調整に励んでいた姿だ。そう、三浦は誇るべき初代覇者である。田口節子をまくり差しで撃破し、テクニカルエリーの名をほしいままにした、女王である。そのプライドを背中に背負い、今節は戦う。11R組のスタート練習の足色について、平高奈菜も遠藤エミも口をそろえて「三浦さんがいい」と言っていた。その好感触を武器に、歴史に名を刻む女の意地を見せる。

 

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 このように、三浦はペラを叩いていたわけだが、前検航走終了後のトライアル組は、総体的に余裕の雰囲気だった。三浦の他にペラを叩いているのを確認できたのは小野生奈くらいか。小野も、もらったままで試運転に出たときには違和感があったそうだが、その後にペラを叩いてそれは解消。足合わせでは川野芽唯より伸びで分があったそうである。小野にしても三浦にしても、至急の調整が必要だったと言うよりは、明日への下準備といったところだろう。不安があってのものではない、と思う。

 

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 整備室を覗くと、ゲージ擦りを行なうテーブルに若手選手がずらりと並んでいる様子が目に飛び込んだ。見ようによっては、まったりしている、というふうにも見えるくらい、それぞれがリラックスして過ごしている。そのなかに、平高奈菜と遠藤エミもいた。もう、明らかに余裕である。平高は、起こしが重いのに、その後の中間速が速いのか、スリットでは思ったより前にいる、という。インから伸び返す足、ということだ。重さが解消されたなら、まさしくイン速攻にピッタリの足。方向性はわかっているわけだから、余裕も納得である。

 

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 遠藤も乗り心地がいいそうで、ここは彼女の生命線とも言える。ならば、こちらも余裕は当然。前検でバタバタしなくていいのは、大きいと言える。遠藤はその後、あちらこちらで姿を目撃。そのたびに、高橋淳美だったり、香川素子だったりと、さまざまな先輩と言葉を交わして、にこやかにしていた。うーん、雰囲気がいい。

 

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 そんななかで、明らかに異質な動きをしていたのが、日高逸子である。なんたって、いきなり本体整備なのだ。リングを交換するとのことで、12人のなかではもっとも感触が悪かったのがグレートマザーということになる。会見での様子も、明らかにピリピリしてましたな。「入れてもらえそうにない」と何度も言っていたように、どうやら前付けに行ってもみな主張しそうな雰囲気、というのも、明日のひとつの懸念材料か。「福岡のクイーンズクライマックスに出られるだけで幸せ」とも言っていたものの、表情からはちっともそんなふうには見えない。それも本音には違いないが、勝負師・日高の本当の本音はもちろん、その先にある。

 

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 ところで、やっぱり65号機=山川美由紀は、大評判のパワーだ。山川自身は、「そこまでではない」と言っている。まあ、エース機を引いた選手の前検ではよく聞かれるコメント。しかも、山川自身は「伸びが」とも言っている。山川は当地オールレディースで65号機(寺田)にまくられているだけに、このモーターのインパクトを全身で感じていたし、またその乗り味に過大な想像をしていたのだろう。どんだけ出てるんだろう、というような。おそらく、そこに追いついていないのだ。

 

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 ところが、山川の内枠二人=寺田千恵と大瀧明日香はもう、白旗を掲げんかという勢いで、山川の足を絶賛している。テラッチは「大瀧さんが壁になってくれそうになかった」と自分が直撃弾を喰らうのを覚悟しているし、大瀧は「ちょっとやばいですね」と連発。自分の手応えよりも山川の話のほうが多いのではないかとも思われるくらいだった。すなわち、二人とも山川の行き足におののいているわけである。そして、山川も「行き足はいい」と証言。明日はこの二人がどこまで山川に対抗できるかがカギとなりそうである。

 

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 ちなみに、大瀧はスタート練習とタイム測定の前に、えらい勢いでペラを叩いていた。前走は男子選手が乗っており、形が相当違ったのだろう。それで山川の脅威を感じるスタート練習となった。明日もまたガンガンと叩いていくのか、それとも別の方策を考えるのか、大瀧の動きは注目すべきかもしれない。(黒須田)