BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット@クライマックス――平常心

 

 

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 先日、整備室にボートが5艇も持ち込まれていた話を書いたが、今日はなんと6艇! えっ、そんなにも本体整備が必要な選手がいるのか……と思いきや、うち5艇はトライアル組である。山川美由紀、遠藤エミ、寺田千恵、小野生奈、川野芽唯。エース機・山川も!? いやいや、単に本体がやばいから、という理由だけでボートを持ち込むわけではないのだな、と改めて納得。もう1艇の藤崎小百合も、リードバルブ調整をしており、ボートを持ち込んだのにたいした理由はないと考えるべきだろう。6艇が持ち込まれても、なおスペースに余裕がある福岡の整備室。その様相だけでもろもろを判断してはならないわけだ。

 トライアル組は、ボート持込みもそうでないものも含めて、ギアケース調整をしている選手が目立つ。装着場に置かれているトライアル組のボートを見ると、ギアケースが外れているものが多いのだ。まずは外回りから、は調整のひとつのセオリーである。自分のセッティングというものもあるわけだし、決しておろそかにはできないパーツだ。トライアル組にとっては、今日が初日である。普段の初日の朝によく見かける風景と考えれば、ごくごく普通の光景とも言える。

 

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 2R発売中には、平高奈菜が調整を終えたギアケースを装着。ペラ叩きに移行している。今これを書いている最中、平高はちょうど試運転で水面を走っていた。ひととおりの調整のあと、感触を試しているところだろう。

 ギアケースがついたままの選手でいえば、三浦永理がいち早くボートを水面へと下ろした。昨日も、モーター受領後に真っ先に着水したのは三浦だったはずだ。なにしろ、モーターをいちばん早く装着し終えたのも三浦だった。行動が素早いのだ。2R発売中には試運転も始めている。ピットでの動きも、とにかくキビキビしている。

 

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 その頃、滝川真由子がプロペラを叩いていた。“屋外”調整所で見かけたトライアル組は滝川のみ。外回りの調整をしていた選手が多かったなかでは、かえって目立っていた。その滝川も、2Rが終わり、エンジン吊りに駆け回ったあとには、さっそくボートをリフトへと移動させている。展示が終わって即、着水しようというわけだ。トライアル組では三浦に次ぐ早さで、水面を駆けたのは三浦と滝川が他に先んじたかたちとなっている。

 

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 まあ、三浦にしても滝川にしても、決して焦燥感のようなものは感じさせなかった。早いタイミングで水面に出たのも、単に彼女たちのペースだったはずだ。その後は続々とトライアル組が水面に向かっており、それぞれのルーティンや作業の順番が違うだけのこと。すなわち、今朝の段階ではそれぞれがまだ余裕を持っていると考えていいだろう。最高峰独特のピリピリした雰囲気も、あまり感じられない。スイッチが入っていくのはこれからと考えていいはずだ。なんたって、大瀧明日香は2Rのエンジン吊りに、控室から向かっている。単に一休みという可能性もあるが、今朝大瀧の姿を初めて見たのがその瞬間だったのだから、調整らしい調整をその時点ではしていなかったわけだ。そうした平常心で大舞台に臨めるのは、もしかしたら強みになるのかもしれない。

 

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 そんななかで、唯一余裕を感じないのはやっぱり日高逸子。いつだって誰よりもキビキビと、さらにとことん、動く人ではあるけれども、短期決戦で、しかも機力に不安ありとなれば、余裕があるほうがおかしい。12Rまでにどこまで引き上げられるのか、一日まるまる、日高の戦いは陸でも続く。(黒須田)