BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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鳴門オーシャンTOPICS 初日

新築スタンド所感

 

 3~5号艇が6勝して、そのすべてが万シュー決着! 「荒れる鳴門」の評判どおりのSG初日だった。これらのレースを振り返る前に、「SG初日の鳴門スタンド」について触れておきたい。

 今日の私は2R~12Rのスタート展示まで鳴門スタンドの片隅でレースを観ていた。3Fの一般スタンドに着いて、最初に思ったことは……。

 すげえ人!!!!

 そりゃそうか。改修でコンパクトになったところに、史上初と言ってもいいSG開催の初日。席数はそこそこあるのだが、2Rの段階ですべて埋まり、座りきれないファンが通路や階段(席と席の間のヤツ)にぎっしりタムロしている。熱気ムンムン。施設は新しいのに、昭和最盛期の“競艇”を連想してしまった。で、レースがぽんぽん荒れるから、そのたびスタンド全体がドッと沸く。ギャーとかヨッシャーとか思い思いの声が和音になって、それはそれで心地よい。心地よいのだが、同時にギリギリの飽和状態的な逼塞感もあって、「これ以上増えたらヤバイかも??」という脅威も感じた。つまり、連休の準優&優勝戦に足を運ばれる方は、それなりの“覚悟”を持って来るべきだろう。

 

 

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 券売機の行列に関しては、さほどの混乱は見られなかった。多い時で各窓口に7、8人程度。混雑をそれなりに配慮して、早い人は〆切の10分ほど前にそそくさと買っていた。ただ、これも最終日あたりは予測もつかないぞ。来場する予定の方は、電話、ネット投票で対応できるようにしておくと便利だろう。

 以上、雑感。あ、人口密度が高いが故の罵声や口喧嘩などもちらほら見かけたが、くれぐれも巻き込まれないようにしてくださいな(笑)。

 

「鳴門パターン」を極めろ!

 

 ってなわけで、レースだ。戦前、「いくらインが弱い鳴門とはいえ、SGならインが7、8勝はするだろ」と予測する人も少なくなかった。が、いざふたを開けたらばイン5勝でまくり、まくり差しが面白いように決まった。特に目を引いたのは、5コースのまくり差しだ。今日だけで4発。それもすべてパターンは同じで「内の艇の誰かしらがまくりに行き、その間隙をズッポリ突き抜ける」というものだった。1Rの笠原亮は、2コース寺田千恵のジカまくりに反応した。

 

 

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 6Rの深谷知博をエスコートしたのは、3コースから絞めまくった寺田祥だ。これがいわゆる「鳴門パターン」と呼ばれるヤツで、「まくり艇の2つ外の選手がズッポリ突き抜ける」というレースが4月から頻発している。筋としては4-2、5-3、6-4ですな。

 9Rの中島孝平も完璧な「鳴門パターン」だった。3コースの新田雄史が突出したスタートから強まくり。普通は隣の池田浩二のマーク差しがハマりそうなものだが、さらにその外から中島が全速で池田を叩き、シャープな差しハンドルを突っ込んだ。なぜ飛び石になるのかは不明だが、「護岸工事でホーム水面(特に1マーク寄り)が狭くなり、しかもターンマークをスタンド側にしっかり振っているので艇間が狭く、マーク差しが窮屈になるのではないか」と私は勝手に考えている。

 

 

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 そしてそして、今日、もっとも過激かつ峻烈な勝ちっぷりを魅せたのが岡崎恭裕だ。展開としては、これまた「鳴門パターン」。3コースの峰竜太が強烈なツケマイでインの太田和美を攻め潰した。すかさず、4コースの白井英治がマーク差しに構える。英治のタイミングとスピードは申し分がなく、外から何もさせないハンドルに見えた。が、岡崎はその白井をツケマイ気味に握り絞め、わずか2m程度しかなかったであろう間隙に舳先を突っ込んだ。

 おお、これって、まさにオールスター優勝戦のアレじゃんっ!!??

 あの優勝戦では平本真之の絞め込みで大魚を逸したが、今日の岡Pは見事にアタマまで突き抜けた。お見事。この岡崎はじめ、笠原、深谷、中島は、ここのところ何度か同じような5コースまくり差しを見かけている。しかも、成功例も多い気がする。かつて濱野谷憲吾が「憲吾スペシャル」として5コースまくり差しを量産したように、その気になった選手は強気で連発するのではないか。明日以降で言うなら、平本真之や丸岡正典、重成一人あたりの5コースが狙い目だと思う。

 

 

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 さてさて、どうなるどうなるどうなる鳴門。明日も荒れるのか、と言われれば「わからん」と答えるしかない。鳴門が久々の選手も多いから、今日はスタートの凸凹が目立った(スリットからパワーで伸びたというより、スタート攻めが多かった)。明日以降はそれなりに修正されてより平坦になってゆくだろう。そうなると、「スリットからしっかり伸びる選手」を見極めるのが、「鳴門パターン」で大穴をゲットする近道だと思う。それは誰か。恥ずかしながら、現状ではちょっと見分けがつかなくなっている。めちゃくちゃ期待していた石野貴之73号機や松田祐季12号機は、今日に関しては期待はずれ。特に石野は行き足こそ上々だが、回り足が苦しく引き波にも負けていた。やはり、前節の転覆の影響があったとしか思えない。一から出直しである。頭の中をリセットして、平らかな目でスリットから攻めそうな選手を探したい。(photos/シギー中尾、text/畠山)