BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

津レディチャンTOPICS 3日目

THE勝負駆け①予選トップ争い

余力ある当選

 

 

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 昨日まで暫定2位だった田口節子が1R3着&7R3着に終わり、暫定トップの海野ゆかりが俄然有利な立場になった。9R5号艇で②着以内なら、後のレース結果を待たずにトップ確定! 今節の海野のリズム&パワーなら十分にありえる自力当選だったが、その9R、わずかにコースが遠かった。猛追及ばず3着で予選終了。ただ、それでもかなり優位なポジションではあった。海野が首位陥落するパターンはこのふたつ。

A…11Rの6号艇・西村歩が①着=その時点で西村のトップ確定。

B…12Rの2号艇。山川美由紀が1分51秒0以内の時計で①着。

 

 

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 ABともにありえると言えばありえるのだが、体感的には海野に分があるように思えた。で、まずは11Rの西村が6コースの遠さに耐えきれず6着惨敗。さらに12Rの山川も、エース22号機を駆る原田佑実のまくり差しを浴びて3着に敗れた。この瞬間、海野の予選トップが確定。毎年のように優勝戦を賑わせる海野が、12年ぶりの女王奪還へ大きく近づいたのだった。オール女子戦での「3戦連続1号艇」は精神的になかなか過酷なステージではあるのだが、百戦錬磨の海野なら逃げ3連発も十分に可能だろう。

 

THE勝負駆け②準優ボーダー争い

生き残ったエース機

 

 上と重複するが、何はさておき原田佑実22号機の奮闘を記すべきだろう。12R直前の原田の予選順位はジャスト24位! ④着以下なら落選確定、③着でも場合によっては落選がありえるというタイトな勝負駆けだった。与えられた枠番は5号艇……降水率50%みたいな境遇だな(笑)。

 そんな胸突き八丁の土壇場で、エース22号機が完全覚醒した。いや、佑実が覚醒させた。枠なり5コースから、コンマ05ほぼ全速! よーいどんで他艇を半艇身ほど置き去りにしたのだから、あとはエース機が連れて行く。あっという間に5艇の舳先から飛び出し、突き抜け、ゆっくりと内を絞め込んでから余裕のまくり差しハンドルを突き刺した。艇界屈指のスピードを誇るイン遠藤エミも、予選トップに燃える女傑・山川も、なす術なくそのまくり差しを浴びていた。一撃のまくり差しで、24位から13位にジャンプアップだ!

 

 

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 この伸び~る22号機が予選突破したことは、明日以降のV戦線にも少なからぬ影響を与えるだろう。同じく“スリットミサイル型”の54号機と69号機が落選したいま、一撃パワーでインを脅かせる存在はこの22号機だけだ。この存在がなければ「コース有利&テクニック有利」というごく普通のV戦線しか期待できない。佑実22号機がいるレースといないレースでは、その本質が劇的に変わる、と私は考えている。とりあえず、明日の9Rは「イン平高奈菜(F持ち)vs4カド原田佑実22号機」か。この“看板”だけで、心がそぞろ弾む。今日の12Rは、まさに値千金のまくり差しだった、と私は勝手に評価している。

 さて、今日は敗者についても記しておきたい。明日以降、いわゆる負け戦はまだ28レースも残されている。特に明日の1~8Rは銘柄級やパワー上位組がごっそり抜けて(進出戦へ)、波乱含みの接戦カードになりやすい。で、狙うべき選手はと言うと、まずは明らかに超抜パワーを誇る面々だな。松瀬弘美54号機や渡辺千草69号機は当たり前。さらに水口由紀66号機、水野望美32号機、整備で一変した永井聖美36号機、ターン回りアップの金田幸子52号機、全体的に良化した喜井つかさetcも要注意。まあ、これらは今日あたりのレースを見ているだけでも、なんとなく買いたくなる面々ではあるな。

 

 

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 それより! 精神的にモチベーションの高そうな選手を狙いたい。書きたいのはこれだ。たとえば、初日から這い回っている佐々木裕美。あんな成績なのに、いや、あんな成績だからこそ、何度も何度も裕美は試運転を繰り返している。今日も自分のレースが終わってから、ほぼすべてのレースの合間にボートを降ろしていた。何人もの選手たちに足合わせを挑んでいた。その姿には、鬼気迫るものを感じたし、胸が熱くもなった。この努力が実戦で報われるかどうかはわからんが、少しずつ少しずつ、回り足を中心に気配が良化しているような気がする。これだけ試行錯誤をしているのだから、いつ何時一変してドッカーーンがあってもおかしくはないだろう。

 

 

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 それから、惜しくも25位の次点に泣いた渡邉優美。この子も凄かったなぁ。自身の予選を終えてからも精力的に水面に現れ、10Rの後だったかも水面で誰かしらと2周足合わせし、単独でさらに3周し、また誰かしらと1周だけ足合わせをし、さらに単独で2周!!!! なんとなんと、短いインターバルの合間に8周も全速力で駆け回ったのだ。マジでガス欠を心配するほどの猛特訓だった。少しでも多く乗りたかったのか、今日の6着が悔しすぎたのか、その真意は謎だがワンターム8周は私が知る限りの最多特訓記録だ。もうひとり、初日6・5着の借金に泣いた樋口由加里も特訓また特訓。裕美&優美&由加里の3人は、明日からこっそり狙い続けようと心に決めた。あ、もちろん地元の塩崎桐加も。

 

 

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 モチベーションに差が出る敗者戦こそ選手の心をより深く探り、その心意気を買え。

 そんな持論に従い、明日はどこかで快心の穴をゲットするぞ~~!!(photos/シギー中尾、text/畠山)