BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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若松メモリアルTOPICS 2日目

長州の侍vs安芸の忍者

 

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 8Rまでインコースが怒涛の8連勝!! このまま最終まで12連勝になっちまうのか?と思った矢先の9R、このインフェスタに待ったをかけたのはやはり節イチパワーの寺ショーだった。5コースからのまくり差し一撃。昨日と同じ、4カド下條雄太郎の絞めまくりに連動してのマーク差しだったが、今日はキッチリと差しハンドルを入れきった。

 そして、次の10Rでもイン選手を撃破したのは……。

 

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 広陵散っても栄蔵は死なず! 今日の辻栄蔵は10R3号艇の一発勝負。スリットほぼ同体から2コース今垣光太郎がスッと覗き、3コースの辻にとっては厄介な壁になりそうな隊形だった。が、今垣がまくると見せかけてから差しに構えた瞬間、目の覚めるような3コースまくり差しを突き刺していた。初動も早かったし、思ったところに舳先が向くのだろう。さすがの忍者パワーだ。さらにターンの出口からもグッと押して行くレース足で、舳先ひとつ先頭に立っていた。

 

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 ただ、現状の辻35号機はターンの出口あたりは強力でも、そこから先の伸び足は良くて中堅か。たちまち内の今垣に伸び返されて後手を踏む。が、そこは百戦錬磨の賞金王。2周1マーク、慌てず騒がずさらりと艇を外に開いて、ターンマークを掠める見事なスピード差しで一気に先頭まで突き抜けた。今年のSGの辻は、ほぼほぼこのパターンだな。道中で混戦に持ち込み、クルクル小回りターンで敵を出し抜く忍者戦法。昨日の5コースまくり差し勝ち、4コースからの忍び差し2着も実にらしいレースっぷりだった。とにもかくにも5・4・3枠での1・2・1着は天晴れの一語。奇しくも寺ショーと同じ着順でもあり、「ストレートの寺田vsターン回りの栄蔵」の予選トップ争いや直接対決が楽しみだ。正直、私は栄蔵のトータルパワーをまだ中堅上位(出足系が上位、直線が中堅)と見立てているのだが……。

 

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 9R寺田、10R辻がインを撃破すると、その流れは続く11Rにも伝播した。インの王者・松井繁に対して、地元の篠崎元志が4カドから気合の一撃絞めまくり。ホーム向かい風が強くなった利もあったが、さすがの勝負根性だ。うーーん、なんとなくそんな光景が浮かんで極撰の◎にしたんだけど、齊藤仁のマークが千切れたーー!!(涙) 昨日今日とそんなんばっかりだな。

 

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 インラッシュ1R~8Rのハイライトを挙げるなら、やっぱ紅一点の遠藤エミか。すっかりSG慣れしたエミにとって5Rのイン逃げはまったく驚くに値しないし、昨日から3・4・1着と大崩れなくポイントをまとめているのも当たり前。これが1年ほど前なら「2日目を終えて6・67、暫定12位で準優が見えてきたぞ!」なんて煽っただろうが、そんなつもりはさらさらない。SG常連のひとりとして「まあまあのポジションだな」というのが率直な感想だ。

 で、見ている側がそんな印象を抱くのだから、エミ自身もSGに対する心構えが大いに変わったことだろう。今日ここで記したいのは予選突破への期待ではなく、もはやその先の先、「現時点で優勝を本気で目指してほしい」だな。予選突破を最大目標にすれば、準優に乗れたことで満足してしまう。優出を最大目標にすれば、優勝戦に乗った時点でメンタリティの限界にぶち当たる。実際に優勝できるかどうかはさておき、心の中のハードルを「優勝」に設置して戦ってもらいたい。平山智加が長期休養に入っている今、こんな“難題”を課すことができる女子レーサーは、現時点では遠藤エミひとりだと思っている。

 

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 あ、最後に……12R1周2マークの峰竜太のターンは、かっちょ良すぎるだろーーーっっっ!!!!(text/畠山、photos/シギー中尾)

 

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