BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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平和島ダービーTOPICS 初日

夢の直接対決

 

 2カ月前まで平和島の絶対エースと呼ばれた19号機。その19号機に陰りが差し、新たなエースに君臨した10号機。つまりは平和島のモーター相場を牛耳ってきたWエース機が、初日の9Rで激突した。「SGの舞台で見たいなぁ」とかねてから願っていた直接対決だ。

9R

①池田浩二

②篠崎仁志=10号機

③笠原 亮

④松井 繁

⑤魚谷智之=19号機

⑥前本泰和

 

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 前検の気配で「魚谷19号機が上」と見た私は、素直に2連単5-2(25倍)の1点勝負に出たのだが……まずはスリットラインで小さなアヤが生まれる。他の5艇がゼロ台まで踏み込む中、2コースの仁志10号機だけがコンマ14。半艇身ほど後手を踏んでしまった。が、そこからの伸び返しがなかなかに素晴らしい。1マークの手前までに笠原と舳先を並べる勢いだ。この伸び返しを見て「まくり差しは厳しい」と判断したであろう笠原は、思いっきりぶん回した。当然、インの池田が艇を合わせて応戦する。

 

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 魚谷、飛んで来い!!

 私の心の叫びにシンクロするように、魚谷19号機が5コースから艇団のど真ん中を割り差した。絶対エースと呼ばれた頃に、何度も目撃した全速のまくり差し。ターンの出口ではまだ池田・笠原に届いていなかったが、2マークまでに届いてしまうのが19号機なのだ。

 バック中央、魚谷は池田の内に舳先をねじ込み、さらにグイグイと前に出ていく。その外では、池田の舳先がまだ笠原を捕えている。最内優位の勝ちパターンに突入した。これで2マークを先制すれば圧勝パターンだ。が……思わぬ誤算があった。2マークの直前、大外の笠原が池田の舳先を振りきってしまった。内の艇が伸びる平和島のバックでは、ほとんど見かけない光景である。おそらく、池田のストレート足がひどすぎたのだろう。重い足枷が外れた笠原は、またしても全速でぶん回して2マークを先どった。舳先を掛けたまま小さく回ろうとした魚谷は、笠原の引き波に屈した。

 

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 魚谷の敗因を分析すると、まずはいささか不運だったと言うべきか。バックで池田に中堅程度の伸び足があれば笠原を封じきり、最内の魚谷に先手番の利が回ってきたはずだ。が、そう思うと同時に、魚谷19号機への微かな物足りなさも感じていた。

 2カ月前までの19号機なら、あの1マークの展開&あのまくり差しのスピードをもってすれば、バックで一気に先頭まで突き抜けていたはずだ。

 そう思った。ないものねだり、と言われればそれまでだが、今日の19号機はまだまだ全盛期の域には達していないと思う。まあ、それでも1Rのイン逃げ圧勝も含めて1・2着発進。上々の滑り出しと言っていいだろう。

 

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 さてさて、一方の仁志10号機は、スタートで後手を踏んだ以外は賞賛すべき点が多々あった。1マークまでの伸び返し、2マークの小回りターン一発で5番手から3番手に浮上した俊敏さ、その後のストレートで魚谷ににじり寄る足、どれも秀逸に見えた。少なくとも、昨日の前検や今日の前半レース(1周2マークで接触がありほとんどレースをしていない)よりストレートを主体にかなり力強い足色だった。この9Rに限れば、トータルパワーで魚谷より上だったかも知れない。成績だけを見れば5・3着ではっきり明暗が分かれたが、この9Rの足を維持しつつさらにパワーアップすれば十分に巻き返せるだろう。

 19号機vs10号機のデッドヒートとはならなかった直接対決。それでも、道中のあれやこれやで様々な収穫が得られたレースだった。現状ではどちらもS級=抜群候補が、このレースを見た私の勝手なパワー鑑定である。

 

節イチは誰だっ!?

 

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 ではでは、このWエースを超える節イチ候補は……?? うーーん、難しい。前検で大いに期待した深川真二58号機は、4号艇で動かず4カド発進。あまり見せ場もなく3着に食い込んだのだが、「なぜコースを取りに行かなかったか?」が気になる。昨日の私の見立ては「スローでの行き足が強烈」で、本人もそう自覚していれば嬉々として前付けに動いたはずだ。そうではなく自らダッシュを選択したのは、出足系統に不安があったからなのか……。現時点ではわからない。私の前検評価がすっとこどっこいだった可能性もあるな。まあ、まだスローでのレースを見ていない以上、あれこれ考えてもはじまらない。あの強烈な行き足を信じて、今日もSSに指名しておく。

 

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 前検でS級に推した中村亮太38号機は、期待通りのゴキゲンなパワーを披露してくれた。5コースから捌きに捌いて2着ゲット。道中で競って強いレース足も垣間見えたし、引き波を超えて行くパワーも上々だ。

 昨日のA評価では、ドリーム組の白井英治52号機も上々の気配。1マークで前が詰まりながら、そこから力強く追い上げて3着を取りきった。ただ、前を行く江口晃生を捉えきれなかったのも事実で、道中の攻防を考えれば江口54号機にもAまたはそれ以上の評価を与えるべきだろう。

 重い着に甘んじた白水勝也、石野貴之もストレートは上々で、降格させるつもりはない。ただひとり、中島孝平はストレートも一息だったしターンするたびにズルズル下がって行った。あの足を見てしまっては、とりあえずカド番あたりで様子を見るしかないだろう。

 

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 でもって昨日のランク外からは、赤岩善生をAランクに大抜擢したい。F2持ちでも諦めずに整備に明け暮れ、今日はピストン2・リング4・シリンダケースのセット交換に踏み切った。それが当たったか、道中で捌く足色やストレートでの追い上げ足は実に見るべきものがあった。少なくとも恐ろしく6を並べた若松メモリアルとは雲泥のパワーだな。F2で人気の盲点になりやすいだけに、積極的に舟券に絡めていきたい。

 初日を終えての勝手なパワー番付を記しておこう。

 

SS級=深川真二??

S級=中村亮太、魚谷智之、篠崎仁志

A級=白井英治、江口晃生、白水勝也、石野貴之、赤岩善生

カド番=中島孝平

 

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 あ、それから、お詫びをひとつ。昨日「ワースト級は寺田千恵」などと決めつけたが、いざ実戦ではなんのなんの、力強いターン回りで岡崎の猛追をシャットアウトしていた。上位級かどうかはともかく、ワースト級には縁遠いパワーでありました。見立て違い、すいまっせん!!(text/畠山、photos/シギー中尾)