BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――徳山SG出発進行

 

●本日の山口支部
 何度も何度も書いているが、64年ぶりの徳山SG。地元勢の気合に目を奪われるのは当然だろう。というわけで、ここでは山口支部の3人を一節追っかけてみたい。
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 気合を水面にしっかりと投影したのは、ドリーム戦で3カドに引いた白井英治だろう。この奇襲をよく使うタイプではないだけに、そこに白井の気持ちがたしかに見えた。レース後は、ただただ渋い顔であった。師匠あたりと顔を見合わせて苦笑い、なんて場面も想像していたが、3カドが実らなかったことを悔いているのみ、なのであった。これもまた、地元SGへのひとかたならぬ気合のあらわれ、と見たい。

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 寺田祥はプロペラ調整の時間が長かった。レース後から始めて、結局は12R発走ギリギリまで調整所で木槌を振るった。調整が長い=気合が違う、ということにはならないものの、納得や満足のラインをふだんよりも引き上げている可能性はあるだろう。

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 今村豊はリードバルブ調整。整備士さんの穏やかな視線に見守られながら、11R発売中あたりまで調整は続いた。その後はスポーツ紙の記者さんに囲まれて、ミスターオンステージ。何度も爆笑がピット内に響いていた。まあ、このへんはいつも通りのミスター今村なのであった。

●会心!

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 11Rを中田竜太が差し切った。中田の2コース成績はもともと素晴らしく、SGでもよく狙い、よく獲らせてもらってきたが、“本紙予想”では最近の逃がし率の上昇を採用してしまい、獲り逃した。個人的には悔しいです、はい。
 ただしもちろん、中田にとっては会心のレースだ。逃げ粘る魚谷智之、内から迫る松井繁を捌いての1着。師匠の須藤博倫に出迎えられると、表情はどんどんと柔和になっていった。そんな中田の控室への戻り際にカメラを向けると、この表情! 実は昨日の前検後、中田は眉間にしわを寄せながら「やばい」と呟いていた。感触がもうひとつだったのだ。それを立て直しての白星発進、である。そりゃあこんな顔になろうというものである。

●まずまず?

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 11R3着は濱野谷憲吾。レース後の表情がコレ。寺田祥に声をかけられ、頬は緩んだ。今日の前半では、プロペラ調整室で濱野谷の姿を見かけ続けた。まるでそこに根を生やしたかのように、調整所の真ん中あたりに濱野谷はいた。今日は11R1回乗り。それでも朝から濱野谷は調整を続けたのだ。3着発進なら、まずまずといったところか。もちろん明日も、上積みを図り続ける濱野谷を見ることになるだろう。

●ルーティン

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 10R、今垣光太郎は3番手争い。石野貴之を猛追したものの4着に敗れた。ピットに戻った今垣に声をかけたのは今村豊。今垣はヘルメットも脱がずに今村と会話を続け、今村も身振り手振りで今垣に語り掛ける。それがけっこうな時間、続いていた。ほかの5選手はとっくに控室のほうに消えていたのに、今垣はまだレースの装備のまま、今村と向き合ってピットに残っていた。最後は二人とも頷き合って別れている。今村と今垣がこれだけ語り合っている姿というのは、実はなかなか珍しかったりする。
 その後の今垣は、ルーティンのボート磨き。12Rに出走の日以外は、必ずこの姿を目にすることになる。12R出走のときも、やはりヘルメットも脱がずに磨けるところをささっと磨いてから控室へ戻ることもある。今垣にとっては、大事な“儀式”なのだ。
(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)