BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――大丈夫!

 朝、ピットに入ってまず気になったのは、昨12Rドリーム戦で転覆した面々。昨日の夜に配信したYouTube「展望BOATBoy」のチャット欄にも「3人は大丈夫なの?」と容態を案じるコメントがたくさん書き込まれていた。かなり危険な局面と見えただけに、ファンも心配したことだろう。
 1Rに中谷朋子の出走があったので、このエンジン吊りに馬場貴也が出てくるだろうと見込んでいたのだが、いざ中谷がピットに戻ってくると、馬場の姿が見当たらない。おや、何かあったのだろうか。と馬場のボートを探してみるとこれまた見当たらず、まさか今日になって欠場……? はい、2Rに出走していたのだから、1Rのエンジン吊りにいないのは当たり前なのでした。すでにレースをご覧になった方も多いでしょうが、1マーク差して2着。レースもそうだし、レース後の様子も、実に元気いっぱいで一安心なのであった。

 濱野谷憲吾については、メディアの方が「大丈夫?」と尋ねているシーンを目撃。濱野谷はニッコニコ顔でおどけながら「だぁーじょぉぶなわけねぇーだろー」。はい、大丈夫そうですね(笑)。朝から試運転を熱心に繰り返しており、0点に終わってしまったドリームの巻き返しに目が向いているようだ。部品の交換もあるようなので、そのあたりの調整も精力的に進めている。

 磯部誠とは話をすることができて、こちらも大きな問題はなさそうだ。また、「微妙な位置にいるから、折れてるわけにはいかない」とも言っていて、むしろ気持ち的にはギアが上がっているようでもある。微妙な位置というのは賞金ランク。すでに1億700万円ほど稼いでいるから、ベスト6はほぼ当確とも思えるのだが、約300万円差でドリーム2着だった茅原悠紀が迫っており、9500万円以上の選手が3人もいる。なんとしても6位以内で、と考えれば、ここでズルズルといくわけにはいかないということだ。まだ予選突破のチャンスは充分あるはずだけに、闘志に火がつかないはずがないのである。

 2Rを勝ったのは今垣光太郎。ピットに入ってすぐにその姿を発見したとき、今垣は明らかに何かを考えこんでいる様子で、一点をじっと見据えたまま微動だにしていなかった。今垣は普段、少々離れた場所からでもこちらに気づくや会釈をしてきてくれたりする人なのだが、まあまあ近づいてもまるでこちらに気づく様子がない。というわけで、今垣の思考の邪魔にならないよう抜き足差し足で通り過ぎたというわけだが、これがまさに「地元SGに燃える闘将の姿」と見えたわけなのだった。気合だけで勝てるというものではもちろんないが、しかしあの姿を見ていただけに思わず唸ったという次第。地元の雄がノッてきたぞ。

 整備室を覗けば、宮地元輝が本体整備。今日は10R1回乗りで時間があるので、点検程度という可能性もあるが、ともかく本体を割る作業をしていたのだった。初日は中間着2本、今日はもう一丁、好着順を手にしたいところで、しっかり時間をかけて調整を煮詰めていくことになりそうだ。

 一方、峰竜太はゲージ擦り。この段階でゲージに取り掛かるとは、ドリームでかなりの手応えを得た証しであろう。パワーに不安があれば、本体なりプロペラなりの調整を優先させるはずだからだ。神妙な顔つきで黙々とゲージを削っている姿は、そう考えればむしろ余裕のたたずまいとも見えるわけなのだった。早くもSG2連続優勝をロックオン、ということか。

 レディースでは、堀之内紀代子が精力的に動いている様子が見かけられた。昨日はチルト3度で臨んでいて、今日は6号艇。もちろんチルト3度継続であろう。これをさらにしっかりと煮詰めていく作業をしているかと思うと、どんな仕上がりで9Rに登場してくるかが実に楽しみ。昨日も伸びてはいただけに、これがどこまで鋭さを増すのか、注目しよう。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)