●本日の山口支部
寺田祥と白井英治が予選ワンツーフィニッシュ! 64年ぶりの徳山SGにとって、最高の展開であろう。
残念なのは、重鎮・今村豊が落選してしまったこと。バースデイウィンを願った7Rも、深い起こしのインを強いられ、それでもなんとか逃げたと思ったのだが、徳増秀樹の逆転を許してしまった。水面に、地元の重鎮の誕生日などという忖度は存在しない。今村もそれをとことんわかっているから、前付けに動いた松井繁が「今村さん、すみませんでした」と頭を下げたときも、何事もなかったように右手をあげて王者をねぎらった。
予選落ちは無念には違いないが、明日は後輩ふたりのサポートに回って声援を飛ばすはず。実際、終盤の時間帯には白井と並んでペラ調整をし、白井にアドバイスを送る姿があった。あ、この写真は、サプライズバースデイプレゼント! 昨日、小野生奈からこっそりプランを聞いていたのだが、57歳の誕生日をこうして祝福されたのでした。水面では忖度なし、しかし陸では笑顔でハッピーバースデイ!
寺田は11Rを逃げ切って、予選トップ通過を決めた。今村に笑顔で出迎えられた寺田は、実に柔らかな顔つきだった。イン戦をモノにした安堵よりも、おそらく把握していたであろう予選トップを手にできたことを素直に喜んでいるようだった。寺田にとって徳山は純ホーム。ここで優勝に王手をかけたことで、テンションはさらに高まったはず。プレッシャーも大きくなるわけだが、気持ちで乗り切ろうとするだろう。
●勝ちたかった
9Rの前田将太は、4着で勝負駆け成功だった。しかし、4カドから踏み込んで、これが無念のフライング。コンマ02とはいえ、大きな勇み足だった。
前田としては、勝負を賭けたレースだった。実際、1マークはまくりを打っている。ジカまくりに出た萩原秀人とかぶるような格好になったが、明らかに勝ちに行ったレースだった。4着で良し、というレースではなかった。
レース後、前田はさすがに肩を落としていた。「勝負したんですけど……」。やはり前田は着狙いのレースをしたわけではなかった。それを、たまたま隣にいた青山登さんが、4着でよかったのに、と突っ込んだ。前田は声を落として「だって、勝ちたかったから……」と言った。フライングはたしかにいかんが、勝ち星をもぎ取りにいったその思いは否定するまい。結果を別にすれば、ナイスファイトなのだ。
●ヒヤヒヤ
11R、笠原亮が4着。1マークは2着もあるかという展開だったが、結果的にはノルマだった4着を確保したレースとなった。これで得点率6・00。しかし、安泰ではなかった。6・00の選手が複数いて、2着のない笠原は上位着順差では有利とはいえなかったのだ。当初、11R終了時点で17位ではないかという情報が流れたが(ワタシも笠原にそう伝えた一人です。算数苦手ですみません)、実際はまさにボーダーの18位だった。12Rの結果で笠原が19位に落ちる可能性はいくつかあって、それを報道陣とともに確かめ合う。笠原自身はもう何もできないわけだから、ただただヒヤヒヤするしかなかったのだった。
12Rは峰竜太が逃げ切り、茅原悠紀が2着。18位圏内の二人がワンツーを決めて、笠原は18位に残った! 笠原、さすがに安堵の表情。隣で長嶋万記も嬉しそうに笑っていた。思い返せば、ここのところSGでは次点に泣くことも多かった笠原。あるいは、序盤好調ながら予選後半で崩れて、4日目の勝負駆けに失敗、ということも多かった。そのたび笠原は首をひねっていたし、ネガティブな言葉を漏らしてきた。それだけに、久しぶりに予選突破は笠原の気分を高揚させる。そもそも外枠を苦にする人ではないだけに、6号艇でも軽視禁物!
●前付け?
11R終了時点で、17位は原田幸哉だった。笠原よりは有利な状況だったが、しかし12Rが2連単③-⑤で決まっていたら笠原もろとも19位以下に落ちていた。まだ確定ではなかったのだ。
それにしても、今節の原田は外からばかりレースをしていた印象がある。それは2日目の2走とも6コース発進、というのがイメージに残っているからなわけだが、3日目も3号艇5コースだし、なんだか外に出されてるケースが多かった原田の徳山グラチャンなのである。
準優は6号艇になった。また6コースか? そんな話をしていると原田は、「今節は(コースを)獲られてばかりだからなあ」とボソリ。だから準優は俺が獲りに行く、ということか? 明日の原田は進入から目が離せない!
●スクープ!?
準優メンバーが着々と決まっていくなか、いつも通り10R終了後には帰宿1便が出発。その整列場所に向かう石野貴之に、JLCの展望インタビューを待っていた菊地孝平がじゃれついていった。そして、石野の顔面にパンチ一閃!? すわっ、これはスキャンダル発生か! 準優進出が取り消しになったりして!?
はい、そんなわけがありませんね。よく見ればわかりますが、石野が菊地の左手を取って自分の頬に当てている。しかもこの直前、周囲にいたカメラマンに対して「撮って、撮って」とリクエストしていた。そして、菊地も石野の動きに乗った。ようするに、じゃれ合っている菊地孝平と石野貴之、なのである(笑)。仲いいなあ。
菊地は準優で真のKOパンチを放てるか、そして石野はこの鬱憤(どの鬱憤!?)を明日晴らせるか。注目!
(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)