さあ、勝負駆け。1Rでは地元の片岡雅裕が1着条件で登場。そして見事に1着。初めて戦う丸亀のSGで予選突破を確定的にした。片岡自身は安堵した表情で、達成感みたいなものもうかがえる。出迎えた森高一真はというと、顔が優しい! 後輩の勝負駆け成功を喜んでいるようだった。レース前にはきっと気合を注入していたに違いなく、その思いに後輩が答えたことは会心の思いであっただろう。エンジン吊りでは、ヘルメットをとった片岡の頭をナデナデ。先輩から褒められて、片岡もテンションが上がったことだろう(表情はまったく変わらなかったが・笑)。
3着条件で登場した濱野谷憲吾は、道中で岡崎恭裕を逆転して2着。こちらも勝負駆け成功だ。出迎えた東京勢の顔は明るく、総大将の予選突破に心強さを得たことだろう。残念ながら他の東京支部の選手はすでに予選突破が苦しい状況で、憲吾大将のみが準優進出となりそう。現在発売中のBOATBoy9月号では、メモリアルでの東京支部にエールを送る畠山の記事が掲載されているが、それを読んだらしい齊藤仁は「叱咤激励をいただいたと思って頑張ります」と言ってくれていた。その仁ちゃんも含めて、苦戦を強いられてしまった東京勢だが、それだけに憲吾大将にかかる期待は大きい。準優は東都の選手やファンの思いを背負って戦ってほしい。
2Rは、篠崎仁志が1着。2走で8点が必要という状況で勝ち切り、これで一気に当確を出した。装着場のモニターで見ていた岡崎恭裕が、差しが届いた瞬間に「入った!」と声をあげている。当然状況はわかっていただろうから、後輩の走りに昂りはあっただろう。ピットに上がった仁志は、ヘルメットを脱いでホーッと息を吐く。寄り添った西山貴浩と会話を交わしながら、穏やかにエンジン吊りをしていた。その後は対戦相手一人ひとりに深く腰を折る。勝っての挨拶まわりは気分も良かろう。
地元の重成一人は4着条件で3着。6号艇での登場で、展示からコースを奪いに動いて、本番は4コースを奪っている。地元選手のこうした気合は、やはり見ていて気持ちがいい。レース後の表情は、やはり安堵が強く感じられた。あまり感情を出さずに淡々としていることが多い重成は、地元戦の勝負駆け後でも同様。しかし、最低限のノルマをクリアしたことで、気持ちは軽くなっていたように見えた。明日の準優は片岡と二人で臨む。一日の作業の様子を含めて、彼らの様子を見るのが楽しみである。
2走で14点が必要だった羽野直也。3Rで6着となり、予選突破が苦しくなった。今年出場したSGではすべて準優出していたが、それが止まった格好だ。羽野はノルマをクリアすべく、早くからプロペラを叩いた。昨日まではペラ室で行なっていた作業を、今日は室外の調整所で行なっていたので、調整中の気持ちのこもった表情もよく見えていた。残念ながらそれは報われなかったが、これもまたひとつの経験である。ヤングダービーやボートレースダービーへの思いがこれでさらに強くなったのだと信じたい。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)