控室から出てきた馬場貴也に出くわした。こちらの顔を見るなり、ニッコリ。緊張感がないわけがないが、悪くない精神状態では過ごせているようである。ＳＧ予選トップは初めてなだけに、気になるのは何よりメンタル面。ひとまず、その笑顔は上々の気配をうかがわせるものだった。
馬場の最大の脅威は、やはりエース機・石野貴之か。３号艇だから３カドも!? まあ、石野に尋ねたところで、手の内を明かすようなことは言わないだろう。その石野は、余裕あるたたずまい。本格的な始動はこれからのようで、姿を見たのはエンジン吊りと喫煙所のみなのであった。気合のスイッチが入るのはもう少し先のことだろう。
やはり馬場にとって脅威となる２号艇の柳沢一は、２Ｒ発売中には試運転に出ていた。準優組で早くから試運転を始めていたのは、桐生順平、毒島誠、中野次郎、片岡雅裕などがいるが、そのうちの一人が柳沢だ。よく「朝乗ってみて調整を考える」的なコメントを聞いたりするが、柳沢がまさにそれだろうか。このあとは万全を期す調整に入ることだろう。
そう、桐生も早い動き出しだった。準優１号艇で水面にいたのは桐生だけ。峰竜太はプロペラゲージを作っていたし、馬場もまだ水面には出ていなかった。機力的にはまだまだ不満のようだから、急ピッチの調整が必要ということだろう。とはいえ、表情自体は昨日までよりも明るくなっている気がする。１Ｒの中里優子のエンジン吊りでは、その同県の先輩ととびきりの笑顔で談笑していた。
池田浩二は、今井美亜と談笑。これは珍しい組み合わせだ。とりあえず接点が思いつかないな。今井が池田にアドバイスを求めた場面があったのだろうか。そういえば、プロペラ調整の場所は、二人とも“青空調整所”だな。今井の問いかけに、池田も目を細めて応えており、これはきっと今井にとって大きな経験になるだろうなと思ったり。池田もリラックスムードで、いい状態で準優に臨めそうだ。
女子勢は勝負駆けデー。１Ｒは３着条件で３着。道中競り合いを制しての３着で、ひとまずノルマはクリア。しかし、これは実際のところ予断を許さない。暫定８位の小野生奈がこのレースで勝っており、後半は１号艇で４着勝負。抜かれてしまう可能性はそこそこあると言わざるをえない。それを知ってか知らずか、寺田の表情は明るくない。むしろ渋面を作っており、吉田拡郎に愚痴をこぼしているような場面もあった。吉田も苦笑いするほど、それは長く続いた。今日は胃の痛い時間を過ごすだろうか。
勝った小野は、勝利者インタビューなど一通りレース後の動きをこなすと、さっそく次への準備に取り掛かっている。勝っても緩まず。１号艇だからといって安心せず。その動きには、どこか貫録のようなものも見えるのであった。
最後に。２Ｒを逃げ切った岡崎恭裕。たまたま歩調が重なって、並んで控室のほうに歩いていく格好に。岡崎は現在賞金ランク８位。ベスト６は逃したが、この順位をキープできればトライアル１ｓｔ初戦は１号艇だ。岡崎は言った。「まだ８位、諦めてませんから！」。そう、一般戦組にも勝負駆け続行の選手はいる！ 岡崎の２日間に注目だ！（ＰＨＯＴＯ／中尾茂幸 池上一摩 ＴＥＸＴ／黒須田）
