BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

シリーズ戦 準優ダイジェスト

節イチパワーの不覚

f:id:boatrace-g-report:20181230191818j:plain


8R 並び順

①茶谷 桜(滋賀) 24
②関野 文(大阪) 24
③森岡真希(岡山) 19
④谷川里江(愛知) 14
⑥藤崎小百合(福岡)18
⑤落合直子(大阪) 20

 昨日の最終レース同様、これも平和島に吹き荒れる北風の悪戯なのか。スリットで踏み遅れた人気のスロー勢を尻目に、4カド谷川が伸びなり一気にまくりきった。もちろん風の利も大きかったが、「昨日はぜんっぜん合ってなかった」というモーターに活を入れ、本番でキッチリ仕上げきった熟練ベテランに拍手を贈るしかない。

f:id:boatrace-g-report:20181230191850j:plain


 バック入り口で谷川がブッチギリ、焦点は2着争いに。節イチパワーと評価している茶谷がまくられながらも小回りで残し、バック中間では2艇身ほどのアドバンテージを築いた。その圧倒的なパワーを加味すれば、セイフティーにも近い差に見えたのだが……準優の2マークは恐ろしい。谷川にまくられて大なり小なり動転したであろう茶谷は、明らかなターンミスで失速した。引き波云々とは無縁に、レバーとハンドルがまったく噛み合わずに艇のバランスが崩れた。私の目にはそう見えた。

f:id:boatrace-g-report:20181230191914j:plain


 尻もちをつくようにその場に佇む茶谷を追い抜いたのは、今節の台風の目として注目し続けている関野だった。バックの隊形では「さすがに届かない」と思っていたらば、この逆転劇。やはり、今節の関野は放置できない何かしらをずっと持ち続けている。5号艇の明日も、パワー、リズム、メンバー構成をすべて込み込みで絶対に絶対に軽視してはならない。さらに明日もまたあの獰猛な向かい風が吹き荒れれば……!?

想定外の?リハーサル

f:id:boatrace-g-report:20181230191941j:plain


9R

①若狭奈美子(岡山)14
②岸 恵子(徳島) 18
③岩崎芳美(徳島) 20
④原田佑実(大阪) 12
⑤渡辺千草(東京) 13
⑥水口由紀(滋賀) 16

 F持ちにして伸び型パワー、やや不安視していた若狭が1艇身のスタートからキッチリ逃げきった。お見事! スリットからの展開にもやや恵まれた逃げだったか。4カドの原田がスリットから半艇身ほど覗いたが、スロー勢の伸び返しを見て差し構えに。おそらく直前でアジャストしたせいだと思うのだが、この4カドが同県の五反田だったら問答無用で絞め込んでいただろう。若狭まで届いたかどうかはともかくとして。

f:id:boatrace-g-report:20181230192011j:plain


 私が期待した2コース岸の差しハンドルは、やはり向かい風が響いたか勢いを欠いて3着まで。逆に3コースから豪快なツケマイを浴びせた岩崎が、バック追い風を味方に一気に後続を突き放した。そのツケマイの迫力は相当で、若狭の直線足が劣勢だったらターンの出口で引き波にハメていた可能性は高い。岩崎のパワーは練習よりも実戦に行って強い印象があり、明日はたとえ6コースでもサプライズパワーで舟券に絡むシーンも想定しておきたい。

f:id:boatrace-g-report:20181230192043j:plain


 さてさて、結果を書いてしまうと、若狭は明日も同じ枠番で戦うことになった。ファイナルの1号艇! 今日のイン逃げが実に貴重なリハーサルにもなったわけで、イン戦のイメージはそれなりに掴んでいることだろう。節イチの伸びを誇る茶谷が脱落したのも、ある意味強運か。ほぼすべてのファイナル1号艇レーサーがそうであるように、明日の最大の敵は自分自身。乗り越えて不思議のない流れ、ではある。

踏んだり蹴ったりサプライズ

f:id:boatrace-g-report:20181230192107j:plain


10R

①塩崎桐加(三重) 45
②宇野弥生(愛知) 24
③田口節子(岡山) 24
④五反田忍(大阪) 18
⑤高橋淳美(大阪) 13
⑥大橋栄里佳(福岡)11

 サプライズの多いレースだった。その“主役”はほぼ大本命の塩崎だ。まず、まさかまさかのスタートドカ遅れ!! 向かい風の影響があったにしても、コンマ45はちょっともう弁明もできない選手責任の失態だ。

f:id:boatrace-g-report:20181230192156j:plain


 で、これだけ遅れれば“サーブ権”は隣の宇野に移行する。あまりのアドバンテージに宇野は直進しながらじわりじわりとジカまくりの態勢を固めていった。いつ包丁を入れようか、その機をにんまりしながら待つ料理人のように。だがしかし、そんな宇野に唯一の誤算があったとすれば、4カド五反田の存在だろう。1/3ほど覗いたスリット隊形から絞める絞める絞める。田口を弾き飛ばすほどの勢いで絞めまくり、ジカまくり態勢に入りはじめた宇野までも強引豪快に叩き潰した。嗚呼、やっぱりこの人はっ!!

f:id:boatrace-g-report:20181230192214j:plain


 もちろん、これだけの絞めまくりは仕掛けた本人にもダメージを与える。五反田が斬った張ったの大暴れをしている隙に、その外からちゃっかりとマーク差しをねじ込んだのが同県の先輩・高橋だった。競輪で言う所の大阪ライン攻撃、成功! 展開的にもパワー的にも、はっきり抜け出した大阪コンビのワンツー=優出は揺らぎのないものに見えた。あるいは逆転があるとすれば、しぶとく3番手に食いついている大橋まで。本当に、それ以外は考えられないバック直線の隊列だったのだ。

f:id:boatrace-g-report:20181230192310j:plain


 だがしかし!! 次なるサプライズは見る者の度肝を抜いたはずだ。私は丸ごと抜かれた。スリットでドカをやらかした塩崎が、ターンマークごとにぐんぐん大橋に近づいて(正直、その辺の追い上げ足は後ろすぎて見ていなかった)ついには3番手逆転。さらに2番手の五反田にもぐんぐんぐんぐん近づいて、パワー任せのツケマイ2連発で五反田をファイナルの椅子から引きずり落してしまった!! ありえない大逆転劇。大橋もそうだが、五反田の足は十二分に中堅上位~上位あたりに位置しているはずだ。それを(おそらく)10艇身ほども後方から3周の間に逆転してしまうって、ちょっと意味がわからない。無理に分かろうとするなら、答えはほぼひとつ。
 塩崎68号機、半端ないっ!!!!
 これに最近ノリノリのターンスピード&リズムなども相まって、常軌を逸した大逆転劇が生まれたのだろう。2日目からこのパワーを贔屓にしてきたつもりの私だが、今日だけはちょいと文句を言わせてもらいたい。桐加ちゃん、俺がこっそり買ってた5-4舟券、どないしてくれるねーーーーーんっっ!!(号泣)
 さて、逃げきれば明日も1号艇だったはずの大本命が、まさかの致命的なドカ遅れ→まさかのミラクル追撃大逆転で4号艇に……この良いんだか悪いんだか判別できない妙な流れは、桐加を買うべきなのか消すべきなのか? うん、まだ確定とは言えないが、明日の私の11R前の行動はほぼほぼあんなコトになるだろう、ニヤリ。(PHOTOS/シギー中尾、TEXT/畠山)