BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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戸田クラシックTOPICS 初日

風雲児、現る!!

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 見てくれこのアウト一撃、これが戸田の桑ユーだっ!
 開幕カードからの頭が①①①①②と内枠が圧倒的な優位を誇った戸田水面に、桑原悠が豪快な風穴をブチ開けた。6R6号艇だった桑原は、戸田のチルトMAX+0・5を選択。もちろんアウト戦での伸び足を求めた決断だが、布石は1Rにあったかも知れない。チルト0度で3コースからまくりきったはずが、バック直線でイン松本晶恵に1艇身ほど伸び返されて惜敗。「もうひと伸びあれば」という桑原の声が聞こえてきそうなほどの悔しい“逆転負け”だった。

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 己の勝利のために、ありとあらゆる工夫と手段を尽くす。それが最近の悠スタイルだ。2月の芦屋・九州地区選の準優(3号艇)でもチルト0・5に跳ねて伸びを求め、⑤小野生奈⑥大神康司の前付けを受け入れて5カド選択。圧倒的なトップスタートでインの峰竜太!まで一瞬にして呑み込んだ。同じく3号艇の優勝戦では、チルト0・5×3カドの奇襲セットでまたまたインの深川真二を一撃で仕留めきった。そのご褒美が、今節の戸田クラシックだ。

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 今日に戻ろう。チルトゼロで伸び負けた1Rの反省を生かし?、さらに0・5に跳ね上げた6R。枠なり6コースの桑原は、やや遅れ目の起こしから握りっぱなしでスリットを通過。スリットほぼ同体から軽々と内の松田大志郎を飛び越え、例によってオラオラの絞めまくりで内を責める。そして、インまで届かないと見るや舳先を鋭角に左に傾け、狭い隙間を鮮やかに差し抜けた。地区選での奇襲強襲そのままに、最高峰の舞台でも秘策を成功させたわけだ。桑原の明日は4R5号艇。またしてもスリット一撃で突き抜けたとしても、全国のファンはもうそろそろ驚かないだろう。間違いなく、今節の桑ユーは怖い怖い大型台風の目だとお伝えしておく。

フライング・エレジー

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 4カドの剛腕スナイパー星栄爾が、今日の7Rでも4カドから迷うことなくブチ込んだ。いや、今日はブチ込みすぎてしまった。わずかコンマ01ながら、痛恨のフライング。これで今期2本目の勇み足(←星の場合はまさにこの言葉が似あう)となり、もちろん明日以降のスタートは慎重にならざるを得ない。うーーん、「4カドスナイパー軍団(塩崎、五反田、平尾などなど)」が大好物の私としても、実に残念なF2だな。早く“オツトメ”を済ませて、またキレッキレの4カド突出絞めまくりを連発してもらいたい。まあ、明日からも4カド想定の星をこっそりバラで買い続けますけどね!(笑)

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 そして、もうひとり……この星の攻めに連動し、コンマ01だけ臨界点を突破したのが田頭実だ。しかも星のF2を凌ぐF3!!! ビックリマークを並べたものの、この武将のF3はもはや驚くべき事象ではない。ひまひまデータさんによれば、選手生活で4回目。何度も書いてきたが、F3でコンマゼロ台を連発してGIを制覇した伝説の武勲を残している漢でもある。だがしかし、それにしても! ひたすら1着だけを目指す火の玉・田頭の猪突猛進の攻撃を半年ほども見れなくなってしまうのは、いつものことながら残念だ。残念すぎる。半年後にB2級で戻ってくるであろう田頭を、全国の多くのファンは首を長くして待ち続けるだろう。
 ファンのためか己のためかはともかく、ひたすら純粋にスタート勝負で相手を打ち負かそうとする星&田頭の戸田心中。「いつもフライングでレースを壊しやがって」と批難するのはもちろん正論ではあるのだが、隊列から離れるふたり(トータルF5)の後ろ姿がどこかしら崇高なものに見えてしまったのは、私だけだろうか。(田頭は私傷病で途中帰郷)

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 最後は明るい?話題で。ここ半年ほどで一気にダッシュスナイパーに転身した平尾崇典が、今日も4カドから大暴れ。しかも、ドリーム戦という大舞台でイン毒島誠、2コース峰竜太を伸びなり豪快に攻め潰した。毒島命だった本命党にとっては哀しい話題ですな。が、星や塩崎桐加、五反田忍などの4カドスナイパー軍団の存在は、穴党はもちろん本命党も覚えていて損はないだろう。彼らの4号艇は、そのまま1号艇の非常事態宣言なのだから。そして、当然のセオリーではあるが「彼らの外選手はほぼ間違いなく美味しい展開が生まれる」ことも常に肝に銘じていたい。今日の平尾の攻めに連動して5コースから突き抜けた白井英治しかり。外が強い選手であればあるほど、正比例して連動率が高くなる。そして、コースの幅が狭くなればなるほど……そう、例えば戸田水面のように。(photos/シギー中尾、text/畠山)