BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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多摩川グラチャンTOPICS 初日

岡山棲息の猛禽注意報!

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 行きはヨイヨイ、帰りはコワイ??
 10年ぶり多摩川SGの初日は、前半戦と後半戦でまったく別物のレースになった。まず前半の1R~6Rはすべてインコースが勝って1-2、1-3決着。ほぼ無風~緩い追い風という環境で、わずかにインを脅かしたのは2コースから差した選手のみ。ダッシュ勢はギリギリ3着に絡むのがやっと、というスロー天国だった。
 が、風がコロコロ変わって左横~向かい風模様になった7Rあたりから、スリットラインが一気に崩れる。7Rはイン平田忠則がコンマ30のドカ遅れ。コンマ09まで踏み込んだ2コース中野次郎がナチュラルにまくりきって初の万舟決着。

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 続く8Rは4カドの吉田拡郎がコンマ08から一気に絞めまくり、5コース萩原秀人の鮮やかなマーク差しをアシストした。少し脱線するが、最近の岡山支部はストレート足を強化してセンターから自力で攻める選手が激増している。今節で言うなら平尾崇典とこの拡郎だ。
 平尾については当欄で何度も何度も書いてきたが、拡郎もここ半年ほどで危険な猛禽類に変貌しつつある。今日の拡郎はまだまだ直線足が仕上がっていないのに、それでもスタート勝負から内艇を攻め潰しに行った。これで伸び足が付けば鬼に金棒、「拡郎=外のマーク選手」というセット舟券が誕生することだろう。

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 で、大将格の平尾は前検タイムから上々で、今日の10Rでも2コースのスリット~1マークの行きっぷりがかなりゴキゲンに見えた。岡山勢(女子レーサーに多い)が怖いのはここから先で、自慢の伸び足が日を経るごとにさらにパワーアップすることが多いのだ。F持ちの平尾だけに全速で踏みこめるかが鍵にはなるが、3~5号艇では常に常に常にストレートの気配と展示タイムに注目していただきたい。あ、同じ岡山支部でも茅原悠紀は例によって柔軟な捌きタイプなので、混同なきように!(笑)

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 さてさて、9Rでは4カドの守田俊介が特大の花火を打ち上げた。俊介がコンマ04、カド受けの湯川浩司がコンマ20ではスロー勢に勝ち目はない。さほど伸びないながらも一気に絞め込み、2コース茅原を蹴散らす勢いでまくりきった。3連単の4-6-2は泣く子も黙る約500倍!! 俊キチを手塩にかけて二十余年(←勝手な妄想)、SGの4カドから一気に絞めまくり圧勝などという勇姿を見たのはこれが初めてだ。やればできる子が、また43歳にしてひと回り成長したわけだ。嗚呼、この晴れ姿を的中舟券で祝いたかったなぁ(←4-1全、4-全-1のみ……4着・前本のバカーー!!!!)

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 4カド攻勢は止まらない。11Rは寺田祥がコンマ07全速でインの松井繁まで一瞬に呑み込んだ。捌き主体の俊キチとは違い、こちらは4カド(または3カド)絞めまくりを主食とする男。「いつでもどこでも要注意」と肝に銘じているのだが、まさか松井46号機を攻め潰すとは……。風と選手の性質が大きな要因と思われるが、もうひとつ、注目しておきたいのがプロペラ交換だ。寺ショーの62号機は「回り足は中堅も、どの足もパンチ力がないイメージ=Bランク」(三島敬一郎)としたものだが、ペラ交換に踏みきった実戦はイン逃げ&カドまくりの連勝発進! 何度か書いたが、ここ数カ月ほどペラ交換でパワーアップする選手が急増しており、あるいは今日の寺ショーの連勝にもそれなりの影響を与えたかも?? 明日以降もペラ交換を決行した選手がいたら、足色の変化に注目していただきたい。

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 最後に、昨日のパワー鑑定と今日の実戦を擦り合わせると、残念ながら期待通りの足色&成績とはならなかった。私の見立て違いもありえるし、各選手が自分流に調整したことで昨日とは別物のパワーになった可能性もある。そんな中、「このパワーは期待通り!」と唸らせたのが10Rの池田浩二だ。6コースから最内を差してあっという間に2着争いに加わり、いったんは吉川元浩のツケマイでズリ下がったものの、そこから絶品の回り足で再逆転の2着ゲット。前半5Rは回転が合わない感じでキャビテーション~6着大敗だったが、明日からの巻き返しは必至とお伝えしておこう。

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 今日の全レースを見ての感想は、「近況好調な選手が、初日からハイテンションな仕上がりに持ち込んでいる」だ。とりわけゴキゲンに見えたのが徳増秀樹で、どの部分と言うより全部の足が昨日よりパワーアップして節イチ級の輝きを放っていた。前検で唯一S級に推した前本泰和を一戦で見限るつもりはないが、今日のピカイチは徳増だったとお伝えしておこう。明日の11R4号艇もパワー任せのカドまくりに要注意!(photos/シギー中尾、text/畠山)