「売店の支払いを済ませてください」
「帰りのタクシーのチェックを」
ピット内にこの手のアナウンスがかかると、あらためて最終日を実感する。で、最終日なのでピットで作業をする選手は少なめ。気温が変わるし、風向きも変わりそうだしということで、14時30分時点でファイナル6艇すべてが陸に上がっていた。
唯一作業をしていたファイナリストは遠藤エミ。エンジンをバラして組みなおしている。隣には滋賀の軍師・香川素子が付く。
14時50分くらいにエンジンを整備室から出して艇に装着。つづいてペラを持って整備室で叩きはじめる。足の悪さは否めない。しかし遠藤は整備巧者。
「このままじゃ面白くないんでやれるだけやってみます」
おそらく夕方くらいまで他の5選手は作業をしないのではと思いきや、15時くらいから田口節子がペラを叩き出した。優勝戦の気温や湿度を予想し、それをイメージしながらペラを叩いているのだろう。経験があるからできる作業。
大瀧明日香は艇にペラをつけたまま。レースを終えた選手の出迎えなどに顔を出す。地元選手で優出最年長、緊張感はほとんどなくリラックスした表情をしている。
今井美亜と松本晶恵は基本的に選手控室にいて、出迎えに出てくるくらい。どちらも艇からペラは外してある。
そして圧倒的1番人気を背負う大山は、新兵作業をしていた。次の艇番プレートとスポンジを用意して、レース後の選手に手渡す。その表情はいたって普通。本日の主役も、ピット内では後輩。そこまでリラックスしているというわけではないが、緊張しているようにもみえない。まぁ、正直なところ外面からではよくわからない。
今節にGⅠ初勝利がかかっていた選手は全部で6人。そのうち4人が水神祭をあげた。残るは土屋実沙希と関野文だったのだが、2Rで土屋が見事な差しを決めて1着。本日も幸運のヒヨコが登場した。
長嶋万記のレースが終わるのを待って、4R発売中に水神祭を決行。サンダルを履いて走って登場したのが長嶋万記。おおっ、飛び込む気十分だ。
最初はヒヨコの浮き輪の中に狙って投げ入れようなど相談していたのだが、結局はうやむやになって、そのまま頭からダイブ! 長嶋と魚谷香織も一緒に飛び込んだ。
「終わりよければすべて良し! ありがとうございました!」
水神祭後にこう叫んだ土屋。レディチャンの終わりに1号艇以外でGⅠ初勝利をあげられたのはお見事。今後はさらなる飛躍を期待したい。
(TEXT姫園 PHOTO池上一摩)