BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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三国ボートレース甲子園TOPICS 3日目

11時までの快進撃(涙)

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 道産子の私が勝手に愛でている『雪国セブン』が、今日は1Rから大暴れだ! 青森の①鹿島敏弘が抜きで1着、富山の②秋元誠が2着、さらにはやはりボートレース辺境地・鹿児島の⑥松田竜馬が混戦から3着に抜け出して、3連単の1-2-6は147倍!! まあ、実のところは「大暴れ」と呼ぶほどのレースでもなかったのだが、これだけの配当が付いたのはやはり人気の盲点だった証。選手の実力差を何も知らずに【①-②-全】を買ったファンは、さぞや驚いたことだろう。SGはもちろん、周年記念だって1-2が万舟なんてことは絶対と言っていいほどありえないのだから。

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 真の大暴れは、続く2Rの秋田代表・高橋直哉だ。枠なりの4カドを得た高橋は、ひとりだけコンマゼロ台でスリットを突破し、すぐさま内艇を絞めまくり。前検日から「穴を開けたいです」と意気込んでいた高橋の気合が、まんまスリットに投影された。SGを獲ったばかりの徳増秀樹~2コース前川守嗣を攻め潰し、インの桑原悠が応戦する構えを見せたらば俊敏にまくり差し。

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 2マークはやや怪しいターンで桑原の逆転差しを浴びそうなムードだったが、その桑原が引き波に足を取られて転覆。高橋の大金星がここで約束された。2着・桐生順平(福島)、3着・前川(沖縄)と1Rに続く「ボートレース辺境地の1~3着独占」で3連単配当は泣く子も高笑いする12万3560円!!!! いやぁ、3着の前川も人気の盲点だったとは言え、4カドの選手が勝って天下の桐生がマークしての④-⑤決着が10万舟って……これもSGや周年記念では絶対にありえないお宝配当だろう。この時点で今日のMVPは高橋に決まったようなものだが、雪国レーサーフェチの私はといえば弱気な⑤-④などという裏舟券を買って、ただただ呆然と高橋君の勇姿を眺めていた。うーーーん、情ないっ><
 で、その後の辺境レーサーたちの戦績は……

★今日のボートレース辺境B1・A2レーサー
1R…①鹿島敏弘(青森)1着、②秋元誠(富山)2着、⑥松田竜馬(鹿児島)3着
2R…②前川守嗣(沖縄)3着、④高橋直哉(秋田)1着、⑥萬正嗣(宮城)5着
3R…①金子和之(新潟)5着、②多田有佑(山形)6着
4R…②立具敬司(和歌山)欠場、⑤三浦敬太(北海道)5着
5R…②伯母芳恒(山梨)1着、④鹿島敏弘(青森)5着
6R…②高橋直哉(秋田)4着、⑤秋元誠(富山)6着
7R…②萬正嗣(宮城)4着、④金子和之(新潟)5着
8R…⑤多田有佑(山形)6着、⑥前川守嗣(沖縄)5着
9R…②松田竜馬(鹿児島)5着、⑤立具敬司(和歌山)欠場
10R…②三浦敬太(北海道)5着
11R…④伯母芳恒(山梨)5着

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 はい、山梨代表の伯母さん(ウバさん・♂)が5Rで恵まれの1着を獲った以外は、ご覧のとおりの大惨敗! 1Rの万舟をこっそり引っかけた私は「3Rからも雪国セブンがガンガン活躍しまくって、今日だけで蔵が建つかも!?」などとギアを一段も二段も上げて張り込み続け、特に同郷の三浦敬太のレースには節イチ級の資金を投入したりしたのだが、『雪国セブン』の3Rからの成績は声援の声すら出ない565546456着という悲惨なものでありました、チャンチャン。

ゲゲゲの旋回

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 超抜パワーの萩原秀人18号機が3コースまくり=1131着でトップ街道を突っ走る中、不気味な回り足でその背中をひたひた追っているのが島根代表の西島義則だ。今日の8Rの西島も実にらしいレースを魅せてくれた。3号艇からオレンジブイをくるり高速で旋回し、内2艇が牽制し合っている間にあれよあれよのイン強奪! 1号艇の石渡鉄兵からすれば、油断したというより「80m起こしには付き合いきれません」的な譲渡だったかも知れない。
 もちろん、いち早く舳先をスタート方面に向けた西島は、他艇を尻目にずんずん深くなってゆく。唯我独尊の起こしはぴったり80m。12秒針が回ってダッシュ勢~150m起こしの②毒島誠、130m起こしの①石渡が流れるように発進して西島に襲い掛かった。特訓から70m起こしを練習していた西島もコンマ12のトップタイで応戦したが、3コース毒島の伸び足が凄まじい。あっという間に内2艇を呑み込みまくり圧勝の態勢に持ち込んだ。

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 西島がさらなるらしさを発揮するのはここからだ。まくられた直後にすぐさまレバーを握って毒島を追随。バック直線では前本泰和にも差されて大差の3番手だったが、2マークを切り返し気味に旋回したらば大逆転の先頭に躍り出ていた。なんちゅうサイドの掛かり! 相棒の49号機は三島リストでも「三拍子揃ったA+」と評価される銘柄機ではあるが、やや伸び寄りに見えた前検から3日後には妖怪のごとき回り足に仕上げきってしまった。そう、島根といえばヤマタノオロチなど妖怪の宝庫。神出鬼没、変幻自在、臨機応変な立ち回りでオール3連対を維持しているこの島根代表は、まさに今シリーズのヤマタノオロチと表現していいだろう。
 この8R、西島は一度は先頭に立ちながら毒島の再逆転差しを浴びて2着に敗れた。が、この妖怪にとって2ポイントの差はさほど大きな意味を持たない。3号艇だろうが6号艇だろうが、準優に乗ってしまえば優出の確率はほとんどまったく変わらないのだから。

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 選抜も含めて甲子園での優勝が一度もない島根県。萩原が疾駆する「トップ街道」とは別次元の「妖怪ロード」をひた走る西島が、去年の今垣光太郎(石川)と同じく高校野球より先に深紅の優勝旗を故郷に持ち運んでしまうのか。明日以降も不気味すぎる回り足に目を光らせるとしよう。
※本家・甲子園ネタのついでに、選抜&夏の甲子園でまだ一度も優勝していない県と今節の代表選手を記しておこう。
★甲子園優勝のない県
青森=鹿島敏弘
岩手=菊地孝平
宮城=萬 正嗣
秋田=高橋直哉
山形=多田有佑
福島=桐生順平
山梨=伯母芳恒
新潟=金子和之
富山=秋元 誠
石川=今垣光太郎
滋賀=遠藤エミ
鳥取=村岡賢人
島根=西島義則
宮崎=池永 太

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 以上の14県なのだが、つらつら眺めた感じではボートレース辺境地と驚くほど合致している気がするのだが、単なる偶然だろうか。ちなみに準優ボーダー6・00想定で、今節の予選を突破する可能性がある選手は岩手・菊地、福島・桐生、石川・今垣、鳥取・西島の4人のみだ。(photos/チャーリー池上、text/畠山)