BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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丸亀甲子園TOPICS 3日目

ホームラン女王

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 この大会は選手の実力差が激しいため、「SGレーサーが上位独占してガチガチの銀行レースか、はたまた人気薄のB級&A2級レーサーが暗躍して超大穴か」という両極端の配当になりやすい。つまりは本命党も穴党も等しく楽しめる大会、と確信していたのだが、今節はちょいと毛色のシリーズになっている。
 初日・2日目の万舟=わずか1本!
 これは少ない、少なすぎるぞ。同じ比較で第1回は5発~第2回は4発だったから、今年は釧路のサンマ漁に匹敵するほど釣果が得られていない。その理由はかなり明確で「例年ボコボコ穴を開けるボートレース辺境地のB級レーサーが、あまりに機力劣勢で去年までより舟券に絡めない」だと思っている。

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 そんな万舟日照の中、今日の5Rにドッカーーーーンの大穴をブチ開けたのが、鹿児島代表のA2レーサー藤崎小百合だ。5コースからスリットで半艇身ほど覗くや、迷うことなく内4艇を絞め込んで一気にまくりきってしまった。2マークから小さく差した西島義則とアウトから巧みに連動した平本真之を引き連れ、3連単⑤②⑥は98220円!!

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 これぞ甲子園の典型的な穴パターンとしたものだが、それにしてもの豪快すぎる5コースまくり。直近1年、5コースの藤崎は1勝たりとも挙げていない(6コースも0勝、4コースは1勝)。スタートがバラけやすい女子戦でも勝ちきれなかったのに、男女混合のGⅡでいきなりやらかすとは……。
「甲子園には魔物が棲む」
 高校野球の常套句を思い浮かべていたら、藤崎小百合そのものが「甲子園3日目の魔女」であることに気づいた。2年前の浜名湖の3日目、2R6号艇から3着に飛び込んで104倍に貢献すると、後半7Rも4号艇から2着に突っ込んで144倍を演出(①飯山泰アタマのピンマン)している。藤崎は去年の三国大会には参加していないので、「こと甲子園3日目は3打席連続のホームラン女王」とこじつけることもできるだろう(笑)。

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(間)
 ↑などとワープロに書き込んだのは、10Rの直前だった。そしていま、私は新たにこの記事を書き足さなければならない。後半10R、2号艇で臨んだ藤崎は2コース差しから粘りに粘って3着入線。3連単の③①②は、またまたまたまた123倍の万舟になってしまった! 道中で逃げる①今垣光太郎と追う③新田雄史が入れ替わったのが大きかったが、それでも3着が④前本なら25倍、⑤守田俊介なら36倍だったのだから、彼らに競り勝った藤崎も万舟の立役者と呼んでいいだろう。
 甲子園3日目の藤崎は4打席4ホームラン!!!!
 野球っぽく表現したついでに補足しておくと、今日現在までボートレース甲子園(全15日間180レース)のホームラン=万舟に絡んだ回数ランキングは、こうなる。

甲子園3年間のホームラン争い
①藤崎小百合(鹿児島)☆☆☆☆4発
②峰 竜太(佐賀)☆☆☆3発
 湯川浩司(大阪)☆☆☆3発
 今垣光太郎(石川)☆☆☆3発
 西島義則(島根)☆☆☆3発
 萬 正嗣(宮城)☆☆☆3発
 松田竜馬(鹿児島)☆☆☆3発

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 なんとなんと、今日の2連発で藤崎が単独首位に! つい今朝がた、メジャーリーグの大谷翔平が松井秀樹の年間ホームラン数を塗り替えたが、ボートレース界にとってはそれ以上の大偉業とお伝えしてしまおう(笑)。
 ちなみに、去年の鹿児島代表・松田竜馬も、わずか1節間で3本のホームランを記録。鹿児島代表の3年間7発は他県をぶっ千切るハイペースでもあり、明日以降の藤崎のみならず、来年の鹿児島代表にも特大の一発を期待するとしよう。それが藤崎なら3日目に、他の選手なら初日から。
 嗚呼、南国の女性スラッガーがたったひとりで2発の長打をカマしたと言うのに、道産子の私がエコ贔屓している『雪国セブン』の面々は今日もバントヒット程度の出塁しかできなかった。冒頭で触れたとおり、機力劣勢がまんま成績に反映されている印象だ。が、この低迷でどんどん人気が下落すれば、それだけ夢の10万舟に近づくという見方もできる。明日からも彼らを見捨てることなく、「三振か特大ホームランか」的なフルスイングで勝負するつもりだ。大谷翔平のように(苦笑)。

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付録『雪国セブン』の明日
★北海道・門間雄大=8R4号艇
★青森・鹿島敏弘=1R1号艇
★宮城・佐竹友樹=7R5号艇 ※2着で準優当確
★秋田・高橋直哉=3R1号艇
★山形・多田有佑=6R3号艇
★新潟・金子和之=5R5号艇
★富山・中山将太=2R2号艇

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 最後に、V戦線の有力選手に関しては、昨日の見解とほぼ変わっていない。断然V候補の毒島誠64号機は、今日の9Rも5コースから桁違いの実戦足でまくり差し圧勝(選手のターンも半端なかった)。私の2-5-3という万舟券を嘲笑うようなスピードで②小林泰を交わし去った。レース後の毒島はまだ納得がいかない表情で「今日がいちばん合ってなかった」「少しずつ他と差が詰まっている」と泣きが入っていたが、モニター越しに見ていた私は「それでアレかーーーい!」とツッコミを入れましたとさ。明日の6R6号艇をも勝ちきるようなら、後半11R3号艇を待たずに「予選トップのみならず、優勝も当確」と腹に据える覚悟はできている。

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 昨日も今日も2位に貼りついている白井英治は、今日の12R1号艇での3着が激痛だった。1マークで茅原悠紀のとんでもまくり差しに斬られたのはともかく、その後の2マークでも山口剛との接触で着を落とした流れの悪さが気になるところ(山口は突っ込みで不良航法ではあったが)。白井が優勝するには「優勝戦で毒島より内の枠に入り、必殺技のスタート勝負で先マイが絶対条件」と思っていたのだが、今日の3着でその構想から大きく遠ざかったと言わざるをえない。もちろん、明日の10R4号艇で1着なら逆転のボールポジションもありえるのだが……。
 昨日は「不気味」と書いた峰竜太は、急上昇したパワーとともに不気味でもなんでもない「普通に最強レベルの選手」まで返り咲いてしまった。今日の7Rの6コース単騎まくり圧勝を見たファンは、誰もがこの見解に同意するだろう。本人が「ワーストから中堅上位まできた」という機力はほぼ同意見で、これだけのパワーさえ携えてしまえば、もうそれだけで最有力のV候補なのだ。もちろん、今節は「ひとりの強力すぎるライバルを除いて」という前置きが不可欠ではあるのだが。

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 そんな返り咲き峰(暫定5位)より得点上位の3位・平高奈菜、4位・益田啓司も軽視はできないが、両者ともに外枠の勝負駆けで現状のポジションを維持できるかどうか、予断を許さない4日目が残されている。むしろ22322着というらしい好成績で明日の9R3号艇に臨む6位・桐生順平の方が、より毒島64に接近する可能性が高いと思っているのだが、どうだろうか。(photos/チャーリー池上、text/畠山)

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