ＳＧデビュー戦で１号艇が回ってきた高野哲史。もちろん水神祭の期待が高まったわけだが、その７Ｒは茅原悠紀に差されて２着。１Ｒの安河内将同様、初１着は明日以降に持ち越しとなってしまった。高野の場合は１号艇だっただけに、痛恨も大きい。茅原と顔を合わせると、思わずちょっと力弱い苦笑いが浮かんだ。１号艇はチャンスには違いないが、１号艇でなければ勝てないというわけでもない！ 安河内ともども、今節中に達成を期待しよう！
相手が水神祭が懸かっていようがいまいが、全力で勝ちに行くのがボートレーサー！ その意味で、茅原はさすがである。というか、レーサーとして当然の姿勢を見せつけたというわけだ。高野に対してはやはり苦笑いで「ごめーん」と声をかけていたが、表情は実に力強く、充実感あふれるものであった。今日は３着１着とまとめて、明日は１号艇。さらに勢いをつける２日目にしたいところだ。
イン６勝と、決してイン絶対ではない鳴門らしい決着となった初日。そのなかで、きっちり逃げ切ったのが10Ｒの桑原悠なのだが、ピットに上がってきた表情は決して会心というものではないのであった。首を傾げたりもしていたのだから、どうも感触には満足しきってはいない様子だ。とにもかくにも勝利を目指し、かといって、それを果たしたとしても手応え次第では手放しで喜んだりはしないのもボートレーサー。次は心から笑えるよう、明日の桑原も必死の調整が続くであろう。
同じように、その10Ｒで２着となった石渡鉄兵も、厳しい表情で戻ってきている。４号艇２着なら上々、と思いきや、本人はそんな思いを微塵も抱いていないようだった。写真のように、まるで完敗を喫したレース後のごとく、無念に目を閉じている。勝てなかった結果に対してなのか、やはり納得し切れない相棒の感触に対してなのか、悔しさを噛みしめる鉄兵なのであった。
それにしても今日は部品交換が多かったですね。いわゆるセット交換＝ピストンリング４、ピストン２、シリンダーケース交換が５人。地元の田村隆信もセット交換をした一人で、田村はさらにギアケースとキャリアボデーも換えている。そしてこれが奏功した！ 明らかに激変して、ドリームはイン桐生順平の失敗もあったとはいうものの、見事な差し切り。ピットに戻った田村は実に爽快な笑顔を出迎えた仲間に振りまいていた。まずは最高の滑り出しに安堵したことだろう。
一方、クランクシャフトとギアケース交換で臨んだ新田雄史は実らず。午後の時間帯にはふたたびボートを整備室に持ち込んでの整備を行なっていた。明日は１号艇が回ってきているので、何としても巻き返したいところ。懸命な整備で２日目に向かう。
さて、４Ｒ快勝も後半は５着大敗の丸野一樹。それでもやはりモーターの感触は良好のようで、大きな調整を行なっている様子は見えなかった。終盤、明日の準備のためにアカクミ（操縦席の水を汲み出すスポンジ）をボートにセットしようと、その置き場から２つ手に取り、自分のボートを探し始めた。その途中、僕に気づいてニッコリと会釈。そのままボート探しを続ける。えっ、気づいてないの!? 僕はまさに「丸野」のネームプレートがついたボートの脇にいるのに！ 丸野はなおも探索を続け、ずんずんと奥のほうに行ってしまう。んもう、ということで、丸野が振り返った瞬間、手を挙げてボートを指さしてあげたのでした。丸野、ニッカーと大笑い。「死角に入ってた！」。レースでは死角のない戦いをお願いしますよ！（黒須田）
