BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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児島グラチャンTOPICS 2日目

主役たちの明暗

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 今シリーズ唯一の地元レーサーにして岡山支部のエース茅原悠紀が、2日目にして絶体絶命のピンチに立たされた。昨日はワースト級の足でまったく良いところがなく、道中ずり下がる感じで5着4着。
 このままでは終戦、と自覚したであろう茅原は昨日のうちにセット交換(ピストン2・リング4・シリンダーケース)に踏みきった。傍から見ても当然の大手術と思えたし、穴党の私としては「このセット交換でどんだけ大化けする?」と密かに期待してもいた。
 たったひとりの地元レーサーなのである。しかも、岡山を代表する不動のエースなのである。そんな“ひとり息子”に地元の整備スタッフがポンコツの部品を振る舞うはずもなし。
 たとえば去年までのエースモーターのセットとか、秀逸なお宝セットが茅原のために用意されていたのではないか。
 そんなエロい妄想を抱きながら、私は8R6号艇のアタマ舟券をこっそり買い込んでいた(笑)。だがしかし、現実は甘くない。枠なり6コースからセオリー通りのブイ差し最内コースを走った茅原は、ソコソコ上位着に食い込みそうなムードは漂わせていた。が、2マークのターンは先行艇の引き波をなぞってまったく前に進まず、その後の追い上げにも迫力が感じられないまま5着に敗れ去った。

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 初日から5・4・5着。この重い着が意味するところは、皆さんにもお分かりだろう。残り3戦で6・00に到達するためのノルマは1・1・2着。極端に言えば、もう負けられないのだ。明日の茅原は1R3号艇。このレース番号には「絶対に勝ってくれ!」という児島スタッフ&地元ファンの総意が込められている。茅原がここを1着で乗りきれば、4日目は【2号艇&4号艇で①②着】という非常に現実味のある条件まで辿り着く。明日の朝までに茅原がどれだけ機力を上積みできるか。そしてどこまで決死の覚悟を固められるか。地元の期待をすべて担ったエースの「朝イチ決戦」に注目するとしよう。

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 さて、シリーズの主役のひとりである茅原が苦戦する中、他の主役たちは順調にV戦線の最前線をひた走っている。筆頭は峰竜太。前検日に33号機を掴み取った時点で「こりゃ無双モードかも」と思ったものだが、案の定の暴れっぷり。昨日のドリーム戦のイン逃げは当然として、今日の前半5Rは6コースからあっという間にバック先頭に! あんた、いつの間にソコにおるん?? みたいな恐るべき早業だった。インの守田俊介が2マークの執念差しで先頭が入れ替わったが、余裕たっぷりの6号艇2着。

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 でもって後半11Rは3コースからこれまた瞬きする間もないうちにエゲツないまくり差しをえぐり込ませていた。早くて速くて強烈な、井上尚弥のボディーブローのような必殺技、一撃……2コース羽野キュンのアタマ舟券を買っていた私は、「キュン」という声なき声とともに息の根を止められた。
 昨日から1・2・1着という茅原と正反対の成績で、予選トップを快走する大怪獣・峰。
 峰竜太×33号機=∞

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 そんな数式が浮かぶ1マークではあったが、もちろん穴党の私はまだまだ「峰のSG連続優勝確定」などと認めるつもりはない。前検でS指名した菊地孝平は未勝利ながら2・2・3着。1号艇を残しながら、ひたひたと大怪獣の背中にくっついている。今節の36号機のスリット足を踏まえれば、優勝戦の3号艇あたりから一撃のモンスターハンティングが炸裂しても不思議ではないだろう。

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 さらに、足は中堅上位レベルながら素晴らしいテクニックで2・2・1着と上位着を貪り食っている白井英治も侮れない。今日の12Rの走破タイム1分47秒4は峰のそれをコンマ2秒上回っており、精神力の充実ぶりが伺える数字と言えるだろう。で、このまま白井も上位着を量産すれば、4日後のファイナルは【①峰②白井③菊地】という最近どこかで見かけた配列になる可能性もあるわけだが、それはそれで穴党にも楽しみな枠番だと思う次第だ。
 さてさて、今日も私なりのパワー評価を記しておこう。

独断の全選手パワー評価

上位(A以上)      特記事項
菊地孝平 A+【出A・直S】熾烈な競り合いに見えたが、岡崎よりもかなり強めの実戦足だった。現状トップ足の評価に揺るぎはない。
羽野直也 A【出A・直A】峰の容赦ない一太刀を浴びたが足負けは認めない。12Rはマジで相手が悪すぎた。
峰 竜太 A【出A・直A】前出のとおり、エゲツない仕上がり。もはやA+【出S・直A】が相応しいのだが、悔しいので据え置きのAにしておきます(苦笑)
篠崎仁志 A【出A・直A】今日も展開ズッポリの突き抜けだったが引き波を超えるレース足はなかなかに強力。絶好のリズム・運ともにV候補の一角!
前本泰和 A【出A・直A】しっかり手前に寄せて回り足アップ。それに反比例して直線はやや下降したが、選手のタイプ的には望むところだろう。
★永井彪也↑ A【出B・行S】今日イチのスリット足でA昇格。昨日から不気味なストレート足を感じていたのだが、若武者のスピードとともに外コースからの一発を警戒しておきたい。

中堅上位(B+)     特記事項
★吉川元浩↓ まだまだ合わせきれず泣く泣く評価ダウン。常に一変注意
★上平真二↓ まだまだ合わせきれず泣く泣く評価ダウン。常に一変注意
石野貴之 互角以上に戦えるムードも上位にはやや一息と認めざるをえない
篠崎元志 中間整備で27%の足ではないがAまでは?
長田頼宗 競って力強くAでも不思議じゃないレース足
久田敏之 行き足は上位、あとは出足もくれば本来の34号機復権=A上昇も
★瓜生正義↑↑昨日まで劣勢だったすべての足がセット交換で激変! これは脅威だ
★山口 剛↑ 道中で幸哉を競り落とした回り足◎でBから昇格
原田幸哉 初日から直線足は上位も競ってやや脆い
柳沢 一
仲谷颯仁
★守田俊介↑ 峰の猛追凌ぎきるターン足でワンアップ、さらに上昇余地あり
★桐生順平↑ まだ期待どおりの44号機ではないが互角以上のムード漂う
毒島 誠 今日はミスマッチで空回りも、明日は合わせて再浮上の予感
☆新田雄史↑行き足アップも6号艇1着~激痛のF! 明日からも要注意

中堅(B)
★上野真之介↓ なんとか逃げきったが昨日よりターンの迫力ダウン
★西村拓也↓ 前検は良さげに見えたが驚きのセット交換→むしろ足落ちの感
松井 繁 決め手欠けるが中間着にまとめられる渋い足
池田浩二 足かテクか判別が難しい好ターン連発。実際はB+かも
白井英治 足かテクか判別が難しい好ターン連発。実際はB+かも
金子龍介
★坂口 周↓ 桐生に追われ追われて競り負け、桐生と交換で降格
西山貴浩 悪くはないがパンチ力に乏しく平凡ムード
磯部 誠
徳増秀樹 例によって直線トップ級も出足系統は厳しい
魚谷智之 好展開1000倍主役&自力攻めで万舟演出も足色は普通か
寺田 祥 転覆の影響はまったくなさそう
秦 英悟
高野哲史
枝尾 賢
湯川浩司 明日以降もスリット足一変に警戒
平高奈菜 なんとか逃げきったが足色に目立つ部分なし
深川真二 出足系統はそれなりにしっかり
佐藤 翼
岡崎恭裕 菊地に何度も競りかけるも明らかにパワー劣勢
★桑原 悠↑ 苦しいなりに一撃狙える直線足だけはきた。要注意

下位(C)
★平本真之↓ モロに転覆の影響が出たか11Rは置き去りに
興津 藍 昨日より行き足良化したが、痛恨の勇み足
深谷知博 今節の這う王と化しているが機力は着順より上
石渡鉄兵
今垣光太郎 展示タイムアップも実戦は4カドから伸びきれず
萩原秀人
市橋卓士 後続の競りに乗じて2着も頼りないターン足
稲田浩二
★茅原悠紀↑ 前出・セット交換でソコソコ戦えるムードもまだ劣勢

ワースト級(D~E)

丸野一樹 まだまだ苦しい、まずは脱ワーストから

★印は昨日からランクが変動した選手。

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(photos/シギー中尾、text/畠山)