BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――1Rから勝負駆け!

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 1Rから勝負駆け! 2着2本条件の篠崎仁志が差し切って1着。後半につなげた。仁志は通常の勝利後よりもかなりゴキゲンな様子で、選手仲間から声をかけられるたび、ニコニコニコと笑みを返していた。後半は6号艇。これを2着条件から3着条件へと楽な状況にしたのはかなり大きい。どちらかといえば福岡が純ホームという印象の仁志だが、若松だって地元水面には変わりない。予選突破にかける思いは当然強い。

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 1Rでは一方、まさに若松が純ホームの仲谷颯仁が2着条件をクリアできなかった。全身で悔しがりまくるというタイプではないが、痛恨は感じているはずだ。3R終了後、選手の喫煙所を通りかかったら、仲谷がひとりポツンと、うつむきながら座っていたのであった。それが落胆の様子かどうかは何ともいえないが(単に休憩中だったかも)、1Rの敗戦を重ねてしまいたくなるような様子ではあった。

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 このレースでは、守田俊介が6着大敗。今日は2着3着(14点)条件だったので、後半1着でも届かないことになる。事実上の終戦だ。6号艇で果敢な前付け、しかも展示より本番ではさらグリリッと動いて見せたが、奏功しなかった。レース後には、この人には珍しくがっくり肩を落とす場面が見られた。馬場貴也と話しながら、「やっちまった」というような感じで顔をしかめる俊介。わりとレース後は淡々としているタイプだけに、そこには悔いのようなものがハッキリと見えたのだった。

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 2R、4着条件の秋山直之が、そのまんまの4着。ただし、道中は3番手、いや瓜生正義と激しい2番手争いを演じながら、その間隙を3周2マークで突かれての後退で、これは手痛い4着のはずだ。想定ボーダーが6・00だから、ぴったり6・00でいいというわけではない。準優の枠順を考えれば少しでも得点率を上げておきたいし、6・00に複数並んで上位着順数で脱落ということだって起こりうるのだ。だというのに、秋山は競り合った瓜生、最後に自分を抜いた磯部誠に対して、文字通りの満面の笑みで頭を下げていたのだった。競り勝った、逆転した二人を心から祝福するかのように。これ、本音じゃないでしょ。ものすごく穿った見方かもしれないけど、それは作り笑いにしか見えなかった。だからこそ、そこには巨大な悔恨がむしろあらわれていたと思うのだが、考えすぎだろうか。

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 3R、連勝条件の丸野一樹が5着、1着でボーダーが下がるのを待つことになる坂口周が4着。ともに終戦というわけだが、この着順、3周2マークで入れ替わっているのだ。4番手を走っていた丸野がキャビって失速、それを避けようとしたかそれとも初動を間違えたか、追走してた坂口がハンドルを切り直したらその先にキャビった丸野がいて、もろに接触するかたちになったのだ。これで順位が入れ替わった。ピットに上がった二人、まず頭を下げたのは丸野である。当ててしまった坂口ではないのだ。丸野としては、自分がミスってキャビって坂口に迷惑をかけてしまった、という感覚なのだろう。ただし、当ててしまって、しかも逆転してしまった坂口としても、迷惑をかけたという思いも強いのだろう、駆け寄って頭を下げている。そして、二人でハハハハーッと笑い合ってノーサイド。とにかくケガにつながるものでなくてよかった。残り2日、二人とも頑張れ!

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 このレース、毒島誠が3着。1着2着条件だったので、予選突破は厳しくなってしまった。あがってくると、桐生順平に対して右手を大きく大きく回すようなポーズ。サイドがかからず流れてしまった、というアクションだろうか。少なくとも2着が欲しかったところで、仕上げ切れなかった悔しさが残るところ。もちろん、ボーダーが下がる可能性はあるわけで、11Rは1着ならギリギリ残る状況になっていないとも限らない。というわけで、着替えを終えるとすぐに調整の準備に取り掛かる毒島なのだった。

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 さてさて、2Rで山崎智也が1着。何が起こるかわからないのがボートレースとはいえ、昨日まで4連続6着では、さすがにこの逃げ切りも焼け石に水ではある。それでも、ようやく6地獄を脱して、しかも勝ったのだから、智也は笑顔。ただ、そこにはかなりの割合で、苦笑いも混じっていたのであった。やっと勝てたよ、ってな感じ? 菊地孝平もにこにこと声をかける。「やったね! みんな応援してましたよ!」。連続6着の智也にみな同情し、1号艇が回ってきたここで憂さ晴らしをしてほしいと願っていたのだろう。智也、よかったっすね! と言いつつ、6着続きで周囲に心配される山崎智也、というのが僕はちょっと寂しいです。山崎智也ってそんな存在じゃないと思うのです。この1着が、今節にとどまらない、大逆襲の契機となりますように!(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)