BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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住之江グランプリTOPICS 3日目

新兵サプライズ!

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11R 並び順
①平本真之(愛知) 11
②濱野谷憲吾(東京)09
③白井英治(山口)  11
⑥辻 栄蔵(広島)  12
④菊地孝平(静岡)  12
⑤丸野一樹(滋賀)  12

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 美しいまでのスリット横一線から平本がカッチリ逃げて、ソコソコ本命サイドの①-⑤-③決着。ここはレース内容よりも、道中で私が驚いた部分を中心に書きたい。その方が、明日の舟券作戦の参考になりそうだから。

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 まず、最初のサプライズは辻のピット離れ。今日の辻は意外なところで忍者ぶりを発揮した。直前のキャブレター交換が関係しているとは思わないが、6号艇からスコンと飛び出してあっという間に4カドを取りきっていた。

 結果的に5着だからこの秘密兵器を生かしきったとは言えないが、もちろん4号艇の明日も警戒する必要があるだろう。

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 第2のサプライズは、濱野谷62号機の強烈な行き足~伸び! それはもうスタート展示から突出していて、疑う余地もなし。いざ本番もスリットほぼ同体から、インの平本を軽く半分ほど煽っていたはずだ。ちょうど9Rの②上野真之介の覗く感じとよく似ていたと思う。真之介はジカまくりを決めたが、憲吾は主導権を握りつつ外に開いて正攻法の差しを選択した。

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 結果論から言えば、ジカまくりはともかくそのまま握って平本をつけ回る旋回が正着だったかも。実戦は差して引き波を超えたときの出足が一息で、二番差しの辻の方が軽快に出て行く感じだったから。ただ、やっぱりその後のストレート足がエゲツいほど強力で、今日の62号機は明らかに伸び寄りか。

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 直線でグングン追いつき、ターン回りでロスし、直線でグングン追いつくという繰り返しで、最終的に4着という中間着に甘んじた。2号艇⇒2コース差しには不向きのパワーだったかも知れない(などと書いていたら、憲吾は明日も2号艇に……さて、どん

な調整を目指すのだろうか)。

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 そしてそして、最大のサプライズはトライアル新兵・丸野の素晴らしすぎる立ち回り!!

◎普通、辻先輩のバナレ飛びを喰らって想定外の6コースになったら、焦りと動揺でスタート勘から狂いそうなものだ。が、どこ吹く風のコンマ12でぴったり横並び。簡単なようで、難しいコンマ12だ。

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◎さすがにコースが遠くてバック直線は最後方の6番手。普通の新入りなら2マークで何もできずに千切られそうなポジションだったが、丸野は最内から凄まじい好旋回(これは巧く伝えようがない。落としての小回りじゃなく、強引な切り返しでもなく、絶妙なスピードで握りながら辻の舳先を掠め、濱野谷とぴったり艇を合わせた感じ)で一気に2番手に浮上!! つまりは一撃で4人ゴボー抜きの離れ業をやってのけたわけだ。いや~~あんなん、ベテランの捌き巧者でもできないって!

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※補足すると、複数の太い引き波を超えて、ギリギリ濱野谷に艇を合わせきってから鋭く出て行った押し足も絶品。丸野のターン力のみならず、相棒38号機の出足系統も今日のトップ級だったとお伝えしておく。

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◎2番手を取りきってからは、白井と憲吾があの手この手の嫌味を付けながら追いかけ回したが、位置取りから初動から入射角から握り具合から、すべてのターンマークで完璧な旋回を繰り返した。これもなかなか新兵にはできる芸当ではない。

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 終わってみれば、6コースから堂々の2着入線。どう表現すればいいのか、怖いもの知らずの強心臓であり、新米離れした捌き巧者であり、(おそらく)整備巧者であり、そんなこんながいっぺんに水面に吐き出されるような、恐るべき30歳だった。丸野一樹、お前はいったい何者なんだ???? 明日の丸野は12R4号艇。外に最強・峰を侍らせながら、またしてもサプライズ立ち回りを魅せてくれるのか、あるいは峰に一刀両断に斬り捨てられるか、この30歳の新兵の明日が本当の本当の本当に楽しみでならない。

強者の舞

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12R
①峰 竜太(佐賀)11
②原田幸哉(長崎)19
③桐生順平(埼玉)14
④瓜生正義(福岡)16
⑤毒島 誠(群馬)18
⑥篠崎仁志(福岡)16

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 インコースの峰が逃げ、後続が接戦を演じながらの①-④-③決着。つまりは11Rとよく似たレース形態だったのだが、コッチはサプライズと呼ぶべきものはほとんどなかった。現役最強レーサーがインから外を圧するトップスタートを切ったのだから、逃げて独走は当たり前。2コース幸哉がちょい凹んだところ、桐生が例によって早くて速い握りマイ~瓜生が素早い連動差しという展開で2艇の2着争いになるのも当たり前。

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 私が◎に推した毒島は、スタートでやや後手を踏んで仕掛けが遅れた(瓜生が少し膨らむようなターンで牽制した、とも言える)のが残念だったが、とにかく上位3名は当たり前に強い選手が当たり前に強いレースをしていた。

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 で、逃げ独走となった峰31号機の機力診断は、はい、分かりようもありません>< 逆に瓜生vs桐生は丸々3周ビッシリ競り合いで大いに参考になったはずだが、私にはどっちが強かったか明言できない。先行する瓜生58号機は行き足がかなりゴキゲンで、さらに出足とターン回り系も危なげなくしっかりしていた。

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 それを2艇身差で追いかける桐生79号機は、瓜生より直線がやや弱めでターン回りがやや強めだったか。その程度の見立てはできるが、峰も含めて3者ともに天才的なターンセンスの持ち主だからして、どっからどこまでがパワー差なのか判然としないのだな。己の鑑定眼の甘さを自認しつつ、今日のところはこのへんで勘弁してもらいたい。

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 嗚呼、それにしても平和島の6連発からトライアル2ndは8戦連続のイン逃げフィーバー。いったい、どこまで続くのだろうか。(photos/チャーリー池上)

インキラー真之介

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 さてさて、GPシリーズはイン逃げが相次いだが、その強いインコースを2度も張り倒したのが上野真之介! 前検から惚れ込んでいた29号機のストレート足は今日もゴキゲンで、まず5Rは今節2度目の4カドまくり一撃。コンマ01というドッキリスタートも勝因だが、スリットからの伸び足はケタチの一語。ことこの部分の足に関しては、トライアル2ndに入っても互角以上に戦えると確信している。

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 後半9Rは2コースのスリットほぼ同体から鋭い行き足でジカまくり。インの坪井は例によって行き足が上々だからして、このまくり1着の価値は高い。4カドのみならず、スローからでもトップ級の行き足があることを証明してみせた。これは明日以降への大きな収穫と言えるだろう。

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 この連勝で、真之介は純然たる野武士組(シリーズ専科の選手、中島孝平は両刀使いw)のトップに躍り出てしまった。穴党の私としては「節イチ伸びる真之介の逃げ逃げ優勝だけはやめてくれ、せめて優勝戦は4号艇あたりで」などとヨコシマなことを考えているわけだが、このシリーズは心配無用。現時点でもトライアルから降誕した西山貴浩(10・25)、中島孝平(9・00)、新田雄史(8・75)、馬場貴也(8・50)の4人が、真之介(7・20)をはるかに凌駕しており、よもや予選トップまで這い上がることはないだろう。
 おそらく、師匠の峰と【Wファイナル逃げ・逃げV】を目指しているであろう本人には申し訳ないが、シリーズ優勝戦はセンター筋から西山等々のエリート軍団を豪快にまくって、大穴のフィナーレを演じてもらいたい。頼んだぞ、真之介クン!(photos/シギー中尾、text/畠山)