BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――朝から激烈勝負駆け

 朝から勝負駆け! ということで、1Rは石渡鉄兵が4カドまくり。1着2着が欲しい今日の1走目で1着だから、後半に望みをつなぐデカい一撃となっている。しかし、喜びに浸っているヒマはない。正真正銘の勝負となる2走目は5R。時間がほとんどないのだ。石渡は青いカポックを脱ぐとすぐさま赤いカポックを準備してボートに置き、勝利者インタビューを受けて、その後はあっという間に水面へと飛び出していったのだった。石渡は実に濃密な時間を送っているというわけだ。

 2着2本が欲しい佐藤翼も、2着で後半につないだ。この2着は、同期の磯部誠との競り合いを制したもの。終始、佐藤が内、磯部が外で、コーナーでは磯部がツケマイ連発。そのありさまは、まるで激しすぎる足合わせ、といった様相を呈していた。3周1マークで磯部が流れ、佐藤は2着を獲り切るかたちに。佐藤も後半を控えているためか、そそくさと控室へと消えており、磯部とも軽く挨拶を交わすのみだった。気心知れたふたりに、多くの言葉は必要ないということだろう。

 柳沢一は、2着条件だったが石渡のまくりを浴びたひとりとなって、結果シンガリ負けを喫している。勝っても負けてもあまり感情の起伏を表に出さない柳沢なのだが、さすがにレース後は何度も何度も首をひねっていた。モーターの前評判は高かっただけに、活かし切れずに予選を終えた消化不良はどうしたって浮かんでくるだろう。もちろん、明日からの一般戦では侮れない存在となってくる。

 2Rで悔しい思いをしたのは長田頼宗。4着条件で臨んだ一戦だったが、こちらもシンガリ負けに終わってしまった。今節は必死の整備を重ねて、準優圏内で予選最終日を迎えていたが、最後の最後に大敗で万事休す。エンジン吊りが終わるまで、いや、カポック脱ぎ場に戻るまで、ヘルメットを脱ぐことのなかった長田。シールドも上げていなかったが、その奥には苦虫をかみつぶしたような表情があったことだろう。

 そのころ、整備室には山口剛の姿があった。山口は12R1回乗りで時間があることから、満を持して本体を開けたかたち。気になるところがあれば部品交換も辞さないだろうから、直前情報には注意してほしいわけだが、勝負駆けに向けて万全を期す意味合いが強いか。あるいは、6号艇で登場ということで前付けもありうるだけに、深い起こしにも対応する調整を行なったか。いずれにしても、勝負整備を行なっているのは確かだろうから、大外枠だからといって軽視するわけにはいかないか。

 1R発売中にはすでに整備を終えていたが、池田浩二も本体を割ったようだ(整備室内の掲示板で確認)。池田は3日目を終えた時点で18位。この順位をキープ、いや、さらに引き上げるためには上積みが欲しいところ。本体を割ることでそれを求めたということになろう。11R1回乗りと時間があるからか、その後はエンジン吊りでしか姿を見てはいないが、早いうちにやるべきことはやって、ここからの調整に力を尽くそうという構えだ。

 さて、2Rは平本真之が逃げ切り。なにしろ3日目終了時点で得点率最下位、今日連勝しても準優進出は絶望的だ。しかし、勝負駆けうんぬんは別のところで、これはひとつの勝負である。戦うからには、まして1号艇なら負けたくない! 逃げ切りを決めた平本は爽やかな笑顔! 準優には行けなくとも、やはり勝利は格別の味だ。

 得点率で50位、つまり平本よりひとつ上の椎名豊もやはり準優は絶望的なのだが、羽野直也と激しい3番手争い。競り負けてはしまったのだが、準優1号艇を見据えた羽野と真っ向から剣を交えた。3着でももちろん準優行きはほぼ無理なのだが、やはり競り負けたことがひたすら悔しい! 椎名は激しく顔をしかめて、悔しさをあらわにしたのだった。今日の焦点はもちろん勝負駆けのゆくえだが、それ以外のところでもバトルは常にアツい!(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)