レディースvsルーキーズ。ではあるが、実際はレディースのほうにもルーキー世代の選手は存在する。ルーキー世代というのは、今年は118期以降を指します。レディースのエース格である西橋奈未と實森美祐も119期生だからルーキー世代。登番が彼女たちより大きい選手はみな、レディースチームでありながら、世代的にはルーキーであります。
そして、今節の新兵たちもまた女子選手が占める。下から神里琴音、武井莉里佳、飯塚響と3人並んで、男子の仲道大輔を挟んで森田梨湖と目白押し。いわゆる新兵はほぼ女子と言っていいわけだ。そして、このなかの女子4人は昨日から終盤の時間帯はひたすら試運転。いや、試運転というより「乗艇練習」だろうか。尼崎では試運転が許されているのは10R発売中までで、その時間を目一杯使って、彼女たちは水面を何周も何周もしているのである。うむ、頑張れ!
ふと競技棟のほうを見ると、渡邉優美が階段状になっているところに腰かけて、水面を眺めていた。間違いない、視線の先は神里琴音。神里は渡邉のかわいい愛弟子。ふたりは師弟関係にあるのだ。7Rで自分のレースが終わった渡邉は、調整も終えて10R発売中にはゆっくり過ごしていた。水面には、少しでも上達しようと走る愛弟子。そりゃ放っとけないでしょう。今日のピットは冷たい風が吹き込んで昨日よりも寒い印象。そんな状況などまるで意に介さず、渡邉は水面を見つめ続けているのであった。
神里が端っこのほうにある係留所でハンドル回りの調整をしているときも、渡邉は静かにそこまで出向いて声を掛けている。師匠に見つめられながらの作業は、神里も心強いことだろう。そうそう、7Rは渡邉が5コースから鮮やかすぎるまくり差し快勝。6コースは神里だった。師匠が突き抜けていく航跡を、神里は間近で目撃したわけである。まさにレースそのものが師匠からの教えとなっていたわけだ。昨年からブレイクしている師匠に一日も早く追いつけ、神里琴音!
さてさて、今日はレディースが一気に巻き返す一日となった。6勝2敗で、昨日の2勝6敗をそのまんま獲り返したことになる。団長の落合直子も8R逃げ切り。もっともこのレースはルーキーズにポイントを奪われているのだが、しかし1号艇として為すべきことを為し切った勝利となっている。
10Rは、實森美祐-角ひとみと入って、広島ワンツー! 二人できっちりポイントをゲットしている。角は佐藤航との2番手争いに競り勝った格好で、レース後は充実感を醸し出していた。捌きに関しては、やはり一日の長があるといったところか。佐藤はかなり悔しそうにしていたが、角が先輩の意地を見せつけたということだ。
11Rは栗城匠が逃げ切って、これは順当。レース後の栗城は淡々としており、獲るべくして獲った勝利といった感じ。また、2着には鎌倉涼が入っており、これもまた順当。2マークでは2番手争いで同支部の後輩である佐々木大河をしりぞけており、貫禄を見せつけたと言ってもいいだろう。
3番手争いが熱かった。若狭奈美子、深見亜由美、そして山田和佐が激しく争ったのだが、山田が3着ならポイントはルーキーズ。若狭か深見が3着でいずれかがシンガリまで後退しなければポイントはレディースという状況になっていたのだ。
最後は若狭と深見が激しく競り合って、共倒れしている間に山田が浮上したらどうするんじゃーい、という展開になっていたりしたのだが(笑)、それもまたレーサーの「ひとつでも上の着順を!」という習性の発露であり、好感が持てるもの。そして5着に敗れて、その悔しさとポイントを敵方に与えてしまった無念をダブルで味わった山田は、実に残念そうに顔をしかめているのであった。一言、ともにナイスファイトです!
言ってしまえば、単なる3番手争い、ということになるのかもしれないが、団体戦のフィルターを通して見れば、そこには別の意味も浮かんでくるというのがレディースvsルーキーズの醍醐味! 明日以降もそんなふうに見ていけば、さらにコク深い楽しみが見つかりますよ。(黒須田)