BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――勝負師たち

●また整備!

 8Rを大敗した白井英治が、今日もレース後に本体整備。出入りの激しい成績となっているが、モーター本体に喝を入れなければと判断したということだろう。もっとも表情自体は暗くはなく、深刻な様子は見当たらなかった。部品交換等については、いつものことだが直前情報をご確認ください。

 9R後には吉川元浩も本体整備を始めている。9Rは1号艇だったが、2コースから天野晶夫にまくられて5着大敗。5艇立てだったからシンガリ負けだ。1マークまでに天野に出ていかれた展開で、機力に限界を感じたということだろうか。この整備でなんとか好転させたいところ。

●板が着いても

 今日は5Rから安定板が着いた。強めの向かい風に水面が波立っていたのだ。それぞれに調整に苦慮することになったはずだが、11Rを逃げ切った松井繁はなかなか充実感にあふれる表情を見せている。勝利者インタビューによると納得のいく調整ができたようで、機力にも手ごたえを感じた様子。エンジン吊りでは吉川昭男に声をかけられて、力強い微笑を浮かべていたのだった。安定板が着こうが着くまいが、それに対応してしっかりと合わせていくのみ、という王者の矜持が感じられたのだった。

 一方、今日の前半まではオール2連対を続けていた瓜生正義は、10Rで5着に大敗してしまっている。着替えを終えてピットにあらわれた瓜生は、記者さんに声をかけられて、いや~~~と悔しそうな声をあげている。前半はまだ板が着いておらず、その後の調整がうまくいかなかったのだろうか。瓜生でさえ、気候が変わったりしたときの調整は簡単ではないわけだ。

●誰もいない?

 その瓜生がレースを終えて引き上げてきたとき、あらら、どういうわけか瓜生のボート周りには他の選手が誰もいないのだった。福岡勢はどこに?
 その様子を見て、ものすごい瞬発力を見せたのが濱野谷憲吾だった。エンジン吊りの援軍がいないことに気づくや、超抜の出足で鈴木博陣営から離れて瓜生のもとに向かったのだ。鈴木には関東勢がついていたから大丈夫と判断したのだろう。その気づきの早さと、動き出しの軽やかさはお見事。気づけば吉川昭男も参加し、そして石川真二と平田忠則も駆け付けて、瓜生のエンジン吊りは無事終わったという次第であります。

●悔しい!

 11Rで花田和明は5着。今日はゴンロクを並べてしまって、予選突破は厳しい状況となってしまった。昨日、2着で引き上げてきたときは、好着順にも満足していないような険しい表情で、勝負師の面差しを強く見せていたものだった。今日のレース後はさらに目つきは険しく、しかし悔恨を強く表に出すわけではなく、黙って痛みに耐えている様子に見えていた。花田といえば、その明るいキャラクターが人気を博す。スター花田などとも呼ばれている。ピットで会ったのは久しぶりだが、かつて顔を合わせたときには人当たりも良い好人物であった。しかしレースに臨めば闘士である。しかも、久しぶりに巡ってきた記念出場。燃えるものもあっただろう。敗れて笑顔を見せるわけはないのだ。あと3日、ぜひ先頭ゴールを決めて陽気に振舞うシーンを見たいし、もっともっと大きな舞台のピットで会いたい。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)