BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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宮島オールスターTOPICS 3日目

まくり怪獣、吼える!

 今節のイン選手は初日7勝⇒2日目9勝と圧倒的なコースの利を感じさせたものだが、なんとなんと3日目の今日は……

インコース3勝、万舟3発!!

 1Rの②大上卓人=3カドまくりに始まり、2Rも①藤山翔大の3カドまくり、3R③濱野谷憲吾の3コース抜き、5R④村松修二のカドまくり、6R②徳増秀樹のジカまくり、7R②篠崎元志もジカまくり、8R②菅章哉のアウトまくり、11R③磯部誠のまくり差し、12R②平本真之の2コース激差し……と、「まくり」主体の大技が乱舞した。万舟3発も含めて書きたいことは多々あるのだが、今日の波乱の立役者とも呼ぶべきモンスターについて書かせていただきたい。

 今節、私のとっておきの楽しみは「3大まくり怪獣、揃い踏み」だった。3大怪獣=言わずと知れた【菅章哉・藤山翔大・高田ひかる】。云うたら、1本の怪獣映画にゴジラ・ガメラ・ゼットンが登場するような華やかさ。
 とりわけ、なんでか宮島と戸田でありえないほど伸び~~~る翔大がどんだけ暴れてくれるか、想像するだにウキウキしたものだ。が、翔大の頭のネジがぶっ飛んでしまったのか、直前の鳴門周年記念で激痛すぎるフライング×2発……。
「な、なんでっ!? 一昨年の9月から1年半も早いスタートを封印してフライング0を貫いてきたのに、なんで宮島SGの直前に2本も、しかも2発目は最終日のラストランに切らなあかんのじゃーーー!!??」
 号泣してもF2の足枷は消えることなく、浪速のガメラは全身傷だらけで宮島にやってきた。ピットでは「関係あらへんっ!」という意気込みを背中に貼り付けてはいたけれど、やはり実戦ではコンマ30以下のドカ遅れが続いた。

 そんな手負いの翔大のみならず、鳴門のゴジラ・菅章哉も初日2Rのスタート後に西島義則に体当たりを喰らわせて不良航法-10点。その後も6・6着と精彩を欠き、2日目にして準優への赤信号が点灯してしまった。それぞれの境遇はまったく違えど、残念ながら「揃って自滅」と言わざるをえない。

 あとは『艇界のメドゥーサ』ひかるが、どこまで奮闘してくれるか……?
 などと視線を高田ひかるにロックオンした3日目、死に体だったはずの2頭の大怪獣がいきなり息を吹き返した。まず、2R1号艇の翔大はインコースに固執せず(「①でも勝ちやすいコースから行く」が翔大スタイル)、②辻と⑤深川を招き入れての3カド攻撃! この隊形で闘争心に火が点いたであろう翔大は、今までとは一転してコンマ08ほぼ全速でスリットを突破した。文句のつけようのない伝家の宝刀、3カド一撃まくり!!
「やっぱ、しんどいです。けど、勝てて良かった」
 勝利者インタビューの翔大に笑顔はなく、微かに目が潤んでいるように見えたのは気のせいだろうか。

 もう1頭の男怪獣・菅もまた、8Rで目の覚める必殺技をやらかした。2号艇ながらチルト3度に跳ねて6コース一撃まくり!! その破壊力は、まさにシン・ゴジラの放射能ビーム級だった。
 嗚呼、翔大の「1号艇・3カドまくり」、章哉の「2号艇・チルトMAX6コースまくり」という常識外れの一撃必殺技を、まさかSGで同じ日に目撃できるなんて……まくり怪獣フリークの私にとって、記念すべき1日だったとお伝えしておこう。舟券はどっちも取りこぼしたけどーーー(号泣)。

 さてさて、3大怪獣の中でV戦線に唯一踏みとどまっている高田ひかるは、今日の5Rも5コースから3着をGET。戦術的には「④村松修二のカドまくりに連動して差し粘り」という消極的な内容ではあったが、暫定15位の好位置につけているのは嬉しい限り。菅も翔大も叶わぬ夢なら、せめても女怪獣ひかるには準優というステージでガオガオ暴れてもらいたい。

 最後に、昨日の独断パワー評価の中で、今日になって足色がソコソコ極端に変わったように見えた人機を列挙しておきます。

★秦 英悟/気候が大幅に変わってBINGOだったのか。ストレート主体に昨日までよりはるかに強烈なパンチ力!! 前半3Rの勇み足はほぼ間違いなく「噴きすぎのF」だったと思う。仕方がないけど、足的に実に勿体ないV戦線離脱。昨日の【B+(直A)】⇒【A+(直S)】に昇格。

★濱野谷憲吾/これも気候のマッチングか、引き波を超えるレース足主体に全部の足が力強かった。A指定・山口剛とのマッチアップでも強めに見えた以上、今日の憲吾もA以下にはできない。昨日の【B+】⇒【A】に昇格
★松井 繁/前検で惚れ込んでいたスリット近辺の行き足が少しずつ劣化した印象も、今日の10Rは内から内へくるくる回って5番手から3着GET。地力を発揮できるバランス型に仕上がった印象だ。昨日の【A(行S)】⇒バランス型【A】にスライド。

★新田雄史/あれこれ部品交換が実らず、最後の切り札としてクランクシャフトを換えたら全部の足が底上げされた印象。それで中堅かも知れないが、明日から目が離せない存在だ。昨日の【D】⇒【B】前後に躍進!?
★西山貴浩/珍しく今節はスリット近辺の行き足が強力で競り勝ってきたのに、今日は2走とも逆にストレートで競り負け。12Rのイン戦を意識しすぎて迷いの調整になったか。気候が合わなかった可能性もあり、明日の気配はしっかりとチェックしておきたい。昨日の【A+】⇒【B+】あたりまで降格。(photos/シギー中尾、text/畠山)