BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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さまざまな思い抱える初日後半のピットから

 着替えを終えるや、ペラ室へ猛ダッシュ! 8R後の茅原悠紀だ。前半4Rは、4コースから伸びてまくり快勝。この8Rも同様の一撃が期待されたわけだが(特に畠山に期待されていたわけだが・笑)、スリットから出ていく気配は薄く、しかも道中で野中一平に逆転されての4着という結果に終わっている。4R後のペラ調整に失敗した? あまりに急いでのペラ室駆け込みに、そんな想像が生まれてきたのだった。何しろ、コメントを求める記者さんを振り切ってのペラ室直行だったのだ。あ、もちろんその後、自分から記者さんのもとに歩み寄って、コメントを残しています。つまり、それほど急いでペラ調整を優先したかったわけである。勝負師の姿勢として、正しいと思う。ちなみに、茅原が引いた36号機の前操者は同期の水摩敦。水摩は最近はチルト0・5~1度に跳ねる伸び型仕様の調整で結果を残しつつある。水摩は前節、最後は1度。茅原は今日の2走を0・5度で走っている。気心知れた同期から受け継いだものとはいえ、スタイルはまるで違う二人。今日の結果と手応えをもとに明日から(また8R後に)どう調整を進めていくのか、注目したい。

 9Rは遠藤エミが逃げ切り快勝。同期の上野真之介と肩を並べて歩きながら、実に爽やかな笑顔を見せていた。やっぱりエミちゃんのスマイルはいいなあ。ところが、競技棟に入る直前、遠藤から笑顔がすーっと消える。そして、おもむろに俯いてしまった。ようするに、カメラマンが一斉に遠藤にレンズを向けたのですね。西山貴浩なら大喜びで愛嬌を振りまくところだが、ちょっと意識してしまう人のほうが多いかも。ちょっとシャイな一面を見せる遠藤なのだった。

 10Rで4着に終わった今垣光太郎は、カメラの放列の前を通る際もずっと悔しさを隠さなかった。少しイライラしたような風情で、目つきが険しい。このレース、今垣はスタートで後手を踏んだ。コンマ32は、かなり不本意なスタートだろう。3コースの坪井康晴に叩かれながらも4着に踏ん張ったのは(しかも3番手を執拗に追いかけたのは)なかなかの走りだったとは思うのだが、今垣としてはまるで納得できない結果と過程だったのだろう。決して激するような感じではないのだが、明らかに心中が顔つきや動きから伝わってくる、そんな今垣光太郎が私は好きです。いつまでも若々しい走りを見せられる原動力は、こういうところにもあると睨んでいるのだ。

 10Rでは中田竜太の青ざめた表情も印象に残る。4号艇ながらピット離れで遅れて6コース回りとなりシンガリ大敗。4コースを奪った新田雄史が2着に入っていることを考えれば、もちろん中田4コースで同じ展開になるとは限らなかったとはいえ、なかなか悔しいものだろう。中田といえば、17年グランプリのトライアル1stで敗退した直後の、完全に固まり切った蒼白な顔つきが今でも思い出される。一言でいえば、呆然。今日はそこまでの重大さではなかったが、似たようなものが感じられたのだった。明日は5Rで白カポックを着る。巻き返せ! あ、バナレには気を付けてね。

 整備室を覗き込んだら、寺田祥が棒状の部品を入念に計測している様子があった。あまり見たことがない光景で、それが地元の寺田がやっていたことで「下関の調整を知り尽くした寺田なりの方法なのでは?」と想像した次第です。どうやらキャリアボデーを交換していたようなので、棒状の部品は本体の動きをギアケースに伝えるドライブシャフトかと思われます(たぶん)。5着2本と出遅れた格好の初日、この整備で上積み成功となるか。明日の気配に注目してみよう。(PHOTO/池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)