BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――重い

 高評価のモーターのひとつをゲットした宮之原輝紀。ドリームから発信する地元のビッグレース、これは幸先のいいラックということが言える。BOATBoy10月号のインタビューにも登場してもらった経緯があるだけに、こちらとしても実に心強い。
 試運転後、宮之原にいいモーター引いたね、と声をかけると、「いいらしいんですけど、すごく重いんですよ」。ようするに、回転が上がるのに時間がかかるということだろう。
 ネガティブな発言のようにも見えるが、今日は気にしなくていいのかな、と思っている。だって、台風が近づいて気圧が下がり、降ったりやんだりの雨模様で湿度も高く、気温もまあまあ高くて蒸し暑いとなれば、重いのが当たり前なのだ。ペラを特に叩かずに試運転に行ったというからなおさら。まさに気象通りの感触ということになる。

 ドリーム1号艇の羽野直也が記者会見で言ったのも「重い」というコメント。羽野はペラを見ることもせずにもらったまま試運転、またスタート特訓やタイム測定に臨んだそうで、「重い」というコメントが出るに決まってる、とすら思う。選手全員のコメントを聞いたわけではないが、明日のスポーツ紙などには同様のコメントが並ぶのではないか。逆に、重さを感じなかったとするなら、ちょっと注目してみてほしい。今日回転が上がっていたとするなら好モーターであるか、しっかり回転を上げる調整をしてうまくいった(そのあたりの調整がうまいかもしれない)選手であろう。

 ドリーム2号艇の関浩哉もまた会見では「重い」と言っているが、関の場合はそのこととは別次元で不安が残る前検だったようだ。ようするに、重いうんぬんではなく、すべての感触が悪かったというのだ。近況の好調ぶりを考えれば、このヤングダービーは超有力な優勝候補。しかし相棒に不満が残る現状、見透しは決して明るくないといったところか。昨年のこの大会は超抜機を手に準Vの活躍を見せた関だが、相性のいいこの大会でまずはモーターの底上げをはかりたいところ。

 多摩川をドル箱にしている前田篤哉も、相当に不安が残ったようである。前田はこれまで6回優勝しているが、うち3回が多摩川。当地勝率も7点台中盤で、今節出場選手屈指の多摩川巧者である。本人も相性のいい水面でのビッグということで意気込んでいたわけだが、いざ試運転に乗ってみると「あ、怪しい……」とやや唖然。これだけ多摩川で結果を残しているということは調整を掴んでもいるということで、ペラをまったく叩かずに前検を走ったことを考えれば、気配一変の可能性は残っているというべきだが、楽しみが大きかった分、暗雲を色濃く感じる前検となってしまったようだ。初日は5Rに登場、そこまでにどれだけ調整を進められるか。

 さてさて、ひょっとこマスクで多摩川にあらわれた中亮太。ここではしっかり素顔をお見せしておきましょう。前検作業は真面目一徹で行なっており、笑顔もあまり見せることなく、懸命に動き回っていた。あくまで印象ではあるが、登番は下から5番目で今回は繰り上がりの追加参戦にもかかわらず、まったく物怖じする様子がないところに感心した。ま、物怖じするようだったら、ひょっとこでレース場入りしないわな。追加と感じさせないだけの走りっぷりを見せてもらいたいですね。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)