BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――宮地、ゴキゲン!~シリーズ~

 宮地元輝がド派手なガッツポーズでゴールラインを超えたとき、ピットでは……。
 爆笑が巻き起こっていた(笑)。
 たしかにあまりもオーバーアクションではあったのだが、実は3周2マークを先頭で周る頃に菊地孝平が「あいつ、とんでもないガッツポーズをやるぞ」と予言していたのだ。そしたら、その通りにとんでもない(笑)ガッツポーズをやったものだから、選手たちは思わず笑ってしまった、という次第。ようするに、この選手の反応が宮地元輝のパーソナリティをよくあらわしているということなのだろう。
 出走表の能力値に不満をあらわにする男。会見でも「(記念に呼ばれれば)けっこうやれると思ってるんですけどね」とチャンスが少ないことを衒いなく口にする男。たしかに個性的である。そして、そんな宮地を仲間たちは面白がっているのだと思う。

 水神祭が終わったとき、ボートリフト脇の水槽に熱湯がたっぷりと注がれた。それを見て、後輩の前田将太が言うのである。「風呂、沸いてるよ」。いや、それはモーター洗浄用の熱湯なんですけど(笑)。すると宮地はすたすたと歩み寄って、入ろうとする素振りを見せるのである。さらには、熱湯に手をつけて「あーーっちーーーーっ!」と悲鳴をあげるのである。爆笑する仲間たち。そこにいたのは前田、遠藤エミ、守屋美穂……って、みんな後輩じゃん(笑)。後輩にもイジられる、ゴキゲンなヤツなのだ。宮地元輝は!

 宮地にとっては、してやったり、なのだろう。先述の通り、決してチャンスに恵まれてきたわけではない。宮地としては忸怩たるものも大きいはずだ。宮地がムカついている能力値は、実は記念の実績がその数値を引き上げる計算方法となっている。能力値の低さは記念参戦の少なさを反映しているとも言えるのだ。しかし、宮地は「けっこうやれる」と確信している。そしてその通り、今年は福岡周年を制したのだ。その賞金でシリーズ参戦を果たし、そして優勝! 宮地の心中を証明してみせる、そんな優勝なのだから、会心も会心。破った相手のとんでもない実績を考えればなお、宮地が抱えていたかもしれないモヤモヤは一気に晴らされたと言っていいだろう。

 というわけで、あのガッツポーズの意味は「見たか!」だそうです(笑)。この優勝は、最高に胸のすくものだった! これで来年の宮地は多くのチャンスを掴むはずだ。超ゴキゲンな男が本格的に記念戦線に参戦するとしたら、SGもGⅠもさらにゴキゲンなものになるだろう。というか、宮地元輝がゴキゲンなものに必ずしてくれる!(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)