個人戦の勝負駆けが熱くなっている。特に女子は高いレベルで8人が拮抗しているため、成績は圧倒的なのに、大敗は許されない状況。また、3日目終了時点で8位だった渡邉優美は何としてもポイントを引き上げなければならず、だから4Rは2着とはいえ、1号艇だっただけに少々痛かった。レース後はやはり表情が硬く、また後半が8Rに控えているため、とにかく動きが早かった。エンジン吊りを終えると速攻で控室へと向かい、4号艇のカポックを手にふたたび装着場にあらわれたときには、他のメンバーはまだ控室へと戻る前だった。少しでもパワーを上積みするため、すぐさま調整に取り掛からなければならなかった渡邉。8R4号艇、ここは必勝態勢だ。
渡邉を破ったのは鎌倉涼。絶妙の3コースまくり差しで突き抜けた。渡邉が握って流れ気味だったとはいえ、鮮やかな一撃だった。逆に鎌倉は、この1着でかなり有利なところに立つことができた。というわけで、笑顔が実に清々しい。もちろん後半もあるので予断を許さない状況でもあるのだが、気分良く12Rに迎えそうだ。
3日目終了時点で予選トップだった中田夕貴は5Rで差し切り勝ち。これで予選突破はかなり近くなった。なにしろ11Rは1号艇。連勝で予選トップもはっきりと視野に入ったと言えるだろう。それもあってか、レース後の笑顔はさらに深い。足的にも手応えを感じているようだった。
男子のほうは、その5Rで2着だった井本昌也は予選突破当確。今節は軽快な足色を見せているだけに、節間通して余裕が感じられる雰囲気ではあった。逆転しての2着は気分を盛り上げているようでもあって、選手仲間に囲まれて満足げな表情を見せている。
同期でやはり好調の廣瀬篤哉は3R3着。ただし、いったんは2番手を走っての3着で、少々悔いを残すものになったか。装着場の片隅にある勝利者インタビューのブースでは、JLCの中継が流れていることが多いのだが、そこで映し出された3Rのリプレイに、井本は足を止めて見入った。特に、抜かれた2マークで、廣瀬はぐいっとモニターに顔を寄せて自身の航跡を確かめている。そこに後半12Rに向けての改善点は発見できただろうか。
団体戦のほうに目を向けると、5Rでは西澤日花里が表情を硬くした。1号艇で敗れたこともそうだろうが、2番手追走のはずが2マークで流れ、一気に4番手まで下がってしまったのだ。自身のレースとしても痛いが、これが団体ポイントを手放すことにつながったのがさらに痛い。2番手キープ、あるいは下がっても3番手ならレディースにポイントがついたはずだったので、その責任感もあったか。明日は何としても雪辱を!(PHOTO/池上一摩 TEXT/黒須田)