キャリアのある選手が本体整備をしている…などと前半の記事に書いたら、さっそく若手の本体整備を発見。野田なづきだ。７Ｒで６着大敗。実績ある先輩たちとの対戦は６号艇で、まあ致し方ない結果とも見えたのだが、本人としては足にも不満が残ったということだろう。８Ｒ発売中にはもう本体をバラしていたのだから、よほど解消したい部分があったのか。整備士さんに見守られながら、真剣な表情で本体と向き合う野田だった。
というわけで、野田は整備室にこもった終盤の時間帯だったわけだが、若手たちはやはり試運転に励む者が多かった。10Ｒ発売中に試運転係留所にボートがあったのは、川井萌、野田彩加、北村寧々、宮崎つぐみ。登番で下から５人目までに全員が入っている。いちばん下の刑部亜里紗は８Ｒを走っており、その後は陸の上で新兵仕事に駆け回った。ようするに、水面でも陸でも、新兵＝登番下から５人が駆けずりまわっていたというわけだ。
９～10Ｒ発売中には前夜版が出るので、新兵たちは先輩たちの準備にも走り回る。アカクミ（スポンジ）を先輩たちのボートにセットし、艇旗艇番をセット。長崎支部の北村は、同支部の先輩は不在だが、九州地区の先輩は数多い。福岡支部、佐賀支部の先輩の分も買って出て、大量のアカクミを抱えている場面もあった。そんなこんなで、準備を終えたら10Ｒの試運転タイムは終了していて、新兵はやっぱり大変なのである。前にも書いたが、先輩たちも通ってきた道である。この苦労に耐えて精進することで、心技体が鍛えられるのだと思う。頑張れ！ というか、まだルーキーなのに支部単身参戦は精神的にもハードそうだなあ。同期の宮崎がいてよかった。
試運転は新人たちの専売特許ではないぞ。今日は遅い時間帯まで平山智加が試運転に励んだ。２Ｒ１回乗りだった今日は、６号艇で出走し、枠の遠さを克服し切れずに４着。本来の力を発揮し切れていない印象だ。というわけで今日はたっぷりあった時間を整備調整と試運転にびっしり活用し、パワーアップをはかったという次第だ。明日の巻き返しに向けて、目一杯力を尽くした２日目。気配アップなるか。
もうひとり、勝浦真帆も試運転と整備に明け暮れる一日となった。２日目を終えて４着５着と、モーター素性は良いはずなのに活かし切れていない印象。同期の大山千広が帰ってきた今節、意気は上がっているはずの勝浦だけに、機力をしっかり仕上げて、思い切りのいいレースができるところまで引き上げたいところだろう。
さてさて、７Ｒまでイン全滅という流れのなか、８Ｒで浜田亜理沙が逃げ切って、そこからは逃げの連発となっている。浜田は刑部亜里紗の攻撃を受け止めて、アリサワンツーを完成させての勝利。そこまでインがまるで勝てていないことが意識にあったか、レース後は苦笑いを浮かべているのだった。仲間たちもニコニコと声をかけていたが、逃げれたねー的な慰労ぶりで、やっぱりイン受難デーということはみなの頭にもあったのかな。
９Ｒの中村桃佳も逃げてやっぱり苦笑い。ここは３号艇に高田ひかるがいて、当然のように３カドに引いている。当然まくりを警戒してのイン戦だったわけで、安堵の思いも強かったからこその苦笑いだっただろうか。
そうそう、８Ｒでは遠藤エミの追撃を振り切って２着を獲り切った刑部亜里紗には、先輩たちがにこやかにその健闘を称えていた。なかでも長嶋万記の優しい目が印象的で、後輩の見せ場ある戦いっぷりを頼もしく見つめていたか。長嶋に声をかけられた刑部は恐縮しっぱなしだったのだが、いやいや、これは誇ってもいい２着だと思うぞ。
その刑部に勇気づけられた部分もあったか、長嶋は10Ｒを逃げ切り快勝。これで３戦２勝、２着１回と、かなり上々の成績で２日目を終えた。明日はセンター枠が回ってきており、Ｖを見据えれば重要な一日となりそうだ。（ＰＨＯＴＯ／池上一摩 ＴＥＸＴ／黒須田）
