BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――凄いワンツー

 ドリーム戦で転覆、後続に引っかけられたようにも見えて、おおいに心配された西山貴浩だが、身体のほうは問題ないようだ。こちらの顔を見ると、顔をしかめて「展示から失敗したって思ったんですよね……」と調整の失敗を悔やむ。こちらは「身体は大丈夫?」と問いかけたのに、まずは転覆自体をおおいに反省していたわけだ。ああ見えて、やはりこの男は勝負師である。まあ、「で、昨日はどこで呑んだんですか!」と話がそれるのもこの人らしいわけですが(笑)。それでも別れ際、「まだまだ諦めませんから」とボソリ口にして去っていくあたりが、レーサー西山貴浩らしさではある。3Rでは大敗を喫してしまったが、もちろんまだまだ諦めない。

 ところで、定松勇樹が懐かしいニュージェネレーションシャツを着ていた。ごく最近ファンになった方はもしかしたらご存じないかもしれないが、8~9年ほど前に90期台から100期台前半の、GⅠ以上を優勝した若手たちのユニットがニュージェネレーション。登番がいちばん上だったのが毒島誠で、いちばん若かったのが深谷知博だ。別に何か活動するわけではなく、お揃いのシャツを着用したりする程度だったのだが、彼らが世代交代を果たすのだろうと誰もが思ったし、とにかく勢いが凄かった。今でもときどき岡崎恭裕がそのシャツを着ていたりするが、自然と誰も口にしなくなってからけっこう経つ。だから、定松が着ている緑のそのシャツがなんとも懐かしいというわけだ。このシャツのもとの持ち主はもちろんあの人。定松も「おさがりです」と笑っていた。一日も早くあの人に追いつけるよう頑張ってね!

 1R、深川真二の前付けもものかは、田頭実が逃げ切り! ピットに戻った田頭は爽快な笑顔だ! やはりこの人の笑顔は最高に男っぽいっすね。後輩たちに囲まれ、祝福も受けて、その笑顔はますますと深くなっていくのだった。

 2着は末永和也。最年長と新兵のワンツー! 田頭がデビューしたころはまだ生まれていないわけで、SG初優勝の99年オーシャンのころには末永和也生まれて5カ月! そう考えると、このワンツーはなかなか凄い。SG初制覇の頃には赤ちゃんだった男をしっかりしりぞけた田頭も凄いし、今も第一線で活躍するその男を24歳になった若きスターが追い詰めるのも凄い。こういうシーンが生まれるボートレースもまた凄いっすね。

 2Rでは、新開航が日をまたいでの連勝! 1号艇だった昨日は安堵の思いも強そうだったが、今日は先輩たちに声をかけられてアンビリーバブルといったような表情で笑っていた。これで勢いに乗ったか!? 後半の6号艇をどう乗り切るかが見ものとなってきた。

 1号艇でインからのレースとなった菅章哉は無念の3着。最後は篠崎仁志に追い詰められる展開となっている。その菅、こちらの顔を見るなり「3着は誰ですか?」。はぃぃ!? 3着はあなたでしょうが!「ほんとですか! よかった!」。最後、仁志に交わされたのではないかと思っていたようなのだ。それほど最後までフルかぶりでゴールしたということで、その姿勢は見上げたものと言うべきだろう。その分だけ伸びたのかもしれないしね。ただし、悔しい3着であることもまたたしか。このあとは試運転に励むようで、伸びに磨きをかけて明日こそ爽快なレースを!(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)