今朝は今村豊さんのオープニングランがあったので、選手紹介が終わったころにピット入り。ちょうど選手たちがピットに戻った直後だったのだが、ボートレーサーというのは本当に動きが素早い！ ピットに帰ってくるや瞬く間に着替えを終えて、それぞれが作業を始めたのだ。特に、序盤のレースに出走する選手たちの素早さといったら！ ものの２、３分で係留所へと駆け下りていき、あっという間にモーター音を轟かせる。このテキパキとした行動もまた、彼らがトップレーサーである証なのだろう。宮地元輝は昨年のグランプリシリーズ以来、ＳＧに定着した格好となっているわけだが、速攻で水面に飛び出していくあたり、チャンスに恵まれなかった時期でもこうして素早く行動していたのだろうと思わせる。
宮地と同様に１Ｒに出走する関浩哉もすぐに試運転を走り、すぐさまプロペラ調整所へと向かった。装着場の片隅に設けられた調整所で、そういえば一昨年のヤングダービー時も同じ場所でペラを叩いていたのを思い出した。関もすっかりＳＧ常連となっているわけだが、こうした意識も彼をここに押し上げた原動力のひとつであろう。
ドリーム戦出走の６名は、選手紹介後に公開インタビューが行なわれたので、他より遅いピット帰還となったわけだが、そのなかで駆け足で先頭切って戻ってきたのは磯部誠。他の５人よりも１分は早い戻りであり、これまた速攻で着替えると、整備室へと飛び込んでいる。本体を割ったのだ。一刻も早く整備を行ないたかったのでしょうね。カメラを向けたらピースサインをする余裕を見せはしたのだが、頭の中は整備の方向性を巡らせていたのだろうと思われる。
歩いて戻ってきた他の５人が、ゆったりと時間を過ごしたかというとそうではない。彼らも戻ってくるや着替えを済ませて、すぐに動き始めている。池田浩二、菊地孝平、馬場貴也がやはり整備室に入って、本体を割り始めたのだ。初日にドリーム戦組が本体を割るのは珍しいことではない。たっぷり時間があるので、点検も含めて、時間のかかる分解作業を行なうのだ。見ている範囲では、菊地はまさに点検作業の雰囲気。ちょっと大がかりな整備に見えたのは池田浩二で、昨日はややネガティブなコメントを残していて、やはり感触に不満があったのだろう。
ドリーム組では、評判機である12号機を引いた羽野直也が余裕の振る舞いと見えた。羽野だけが、モーター装着回りの点検をするだけで、大きな動きを見せなかったのだ。やはりパワーにはある程度の手応えがあったということか。もっとも、これを書いている４Ｒ発売中には試運転をする姿があったから、ここからペラ調整など、煮詰める方向で動くに違いない。
ところで、オープニング１Ｒは上平真二が逃げ切り。今日の選手紹介でも「髭と笑顔が素敵でしょ」と、最近の決めゼリフ（？）を口にしてニッコリと笑っていた上平だが、ピットではほんと、笑顔をほぼ見かけないのである。逃げ切って戻ってきたピットでも神妙な表情を崩さず、くすりと笑いもせずに「ありがとうございました！」と出迎えた広島勢に深々と一礼。むしろ難しい顔つきを見せつつ、控室へと戻っていったのだった。まったく勝利の高揚感が見えないわけだが、これがピットでの上平真二。もっとも、勝利者インタビューでは、にこにことカメラの前に立つわけだが。そのメリハリが、見ていた楽しいですね。
さてさて、今村豊さんのオープニングラン！ 選手との接触はご法度ということで、係留所の裏のほうにあるレスキューや掃海艇が係留されているあたりから水面に飛び出していき、戻ってきたのもこちら。まず待機行動を行なって３コースあたりから発進（大時計は回ってませんでした）、軽快に１周走って、ふたたび１マーク方面に駆けていくと、そこでスローダウンし、ゆっくりと観客に手を振りながらホームストレッチをピットのほうまで戻ってきたのだった。選手と接触できないといっても、後輩たちはやっぱり今村さんの走りに注目していて、ピットや係留所から熱く見守った。彼らにも手を振りながら、今村さんは無事帰還。陸に上がると、疲れたーとか言いながらも、実に気持ちよさそうな表情で、久々に水面をモーターボートで走れた喜びを発散するのだった。ブランクはあったはずだけど、還暦を超えたとは思えない若々しい走りでしたね！ このオープニングランでグラチャン開戦！ やっぱりミスターの存在は、徳山にとって特別なのであった。（ＰＨＯＴＯ／中尾茂幸 黒須田 ＴＥＸＴ／黒須田）
