BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――朝から激しい動き

 GⅡは勝負駆けデー。地元GⅡに燃える西橋奈未が、浜田亜理沙の抵抗を受けてややバランスを崩しながらも豪快にまくって出て、2マークで清埜翔子を差し返しての1着。まさに勝負駆けらしいレースっぷりを見せた。後半8Rを控えていて、まだ勝負が続いているからか、レース後の西橋は引き締まった表情。着替えを終えた後もすぐさまピットにあらわれて、次の準備を始めている。

 それにしても、ひやりとさせられる1マークであった。イン寺田千恵がキャビって、差そうとした日高逸子の舳先が大きく浮き上がったのだ。装着場のモニターでレースを見ていた椎名豊が「あぶないっ!」と声をあげたほど。日高がピットに引き上げてくると、福岡勢が心配げに日高に声を掛けていた。ところが、日高は「大丈夫! 当たってないから!」。寺田に乗り上げたようにも見えたのだが、日高は見事に回避したようなのだ。だからボート交換もなし。あの局面で避け切ったのはさすがのグレートマザーだ! 勝負駆けを考えると6着は痛恨というほかないが、称えられて然るべきの航法だった。

 さてSG準優組だが、1R発売中から片岡雅裕が試運転をしているなど、総じて早い動き出しのように思えた。2R頃から晴れてきている三国だが、それまでは冷たい雨が降っていて、湿度は高いが気温がかなり冷えているという気候状況。やはりモーターの気配の変化をしっかり確かめて調整に活かしたい、ということもあるのだろう。

 地元で予選トップ通過を果たした今垣光太郎も、朝から精力的にペラ調整。時にボートへと向かって装着の確認をしたり、あるいは整備室へと移動して何事かをこなしたり(何をしているのかよくわかりませんでした)、とにかくのんびりしようなどという発想はまるでなさそう。ようするに、いつも通りの今垣光太郎であり、地元で準優1号艇で逃げれば優勝戦も1号艇で、などというプレッシャーなど介在する余地がないような様子であった。

 もうひとりの1号艇、池田浩二も1R発売中には入念に装着作業を行ない、そのままプロペラ調整室へと入っていった。1号艇組がこれだけ早く動き出しているのは珍しいというか、外枠勢が早く動き出しているのが目立つというケースが多いだけに、なかなかレアな光景を見ているような気分になるわけである。

 わりとゆったりめの動き出しとなることが多い白井英治も、2Rのエンジン吊り後にはペラを手に調整室へ。もっとも、グランプリ連覇のためにはここを優勝しかない、といったような特別な闘志のようなものはあまり見受けられず、自然体のようには見えていた。

 その2R終了後には濱野谷憲吾が水面へと出ていった。このタイミングでボートを下ろした選手はほかに平本真之、上條暢嵩など。なお、その時点では茅原悠紀、羽野直也、瓜生正義のボートが係留所にあった。

 その少し前、2R発売中には椎名豊が水面に出ているが、椎名はそれまで本体整備に取り組んでいる。ボートごと整備室に運んでの整備だったわけだが、椎名らしい攻めるレースを繰り出すにはもうワンパンチもツーパンチも欲しいということか。準優組で本体整備をしていたのは椎名だけだ。

 で、そうした調整や試運転などの動きをまったく見せていないのが、峰竜太なのであった。峰は今節、ゲージ擦りをしている時間がかなり長く、ほぼ毎日、それ専用のテーブルにいるのを見かけているが、今朝もまた同様。それだけ機力に手応えがあるのか、それとも……。最も動きが静かだったのが峰竜太、ということで、おおいに気になったのであった。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)