1R展示後にピットに入ると、係留所に遠藤エミ。今日も早い動き出しだ。ボーダー21点とすれば、無事故完走で優出当確。しかし優出は目の前の目標であって、優勝戦で好枠を手に入れるには第3戦もメイチ勝負となってくる。ゆったりしている暇などない。
得点トップでやはり優出当確の浜田亜理沙も、2R発売中にはボートを下ろした。得点的に余裕のある二人が、早くも水面に出ているわけだ。優出が確固と視野に入って、安堵する思いはもちろんあるだろうが、しかしそれは気を緩めることにはつながらない。今日勝てば問答無用で優勝戦のポールポジションが手に入るわけだから、もちろん勝ちに行く戦いとなるわけである。
高田ひかるのボートも係留所にあった。3カドも考えられる3号艇を引き当てて、今日こそ持ち味の伸びを引き出したい。チルトはマイナスを考えているようだが、跳ねずに伸びを引き出すのも高田の真骨頂である。序盤の時間帯、試運転に出ていく姿は見ておらず、まずは調整に専念して、いつでも水面で感触を試せるようにはしているわけだ。
序盤にもう一人、試運転をしていたのは田口節子だ。得点に余裕がある選手も早めに動くし、得点的に優出が絶望的になっている選手も早めに動く。そこに戦いがある限り、全身全霊を込めるのがトップレーサーなのである。優出はほぼ無理、枠番は6、だから勝負を投げるようではこの場にいられるはずがない。懸命に走る田口の姿には、むしろ迫力を感じるのである。
まだボートを下ろしていない8人については、ほぼ全員がペラ室での調整。エンジン吊りが終われば速足でペラ室へと戻って、まるでレースの時間がすぐそこに迫っているかのような急ぎっぷりだ。なかでも守屋美穂は小走りで整備室へと飛び込んでいる。絶対に落とせない1号艇、調整の時間はいくらでも欲しいというところか。
唯一、モーターにペラが着いたままだったのが平山智加だが、2R発売中には着水の準備を始めていた。初戦も2戦目も、攻めていって弾かれ、着を落とすという、展開に恵まれない戦いとなった。今日は1号艇。先に回ってしまえば、もう展開がどうこうは関係ない。そのために長い時間を水面とペラ室などで過ごすことになるだろう。
とにかく、今日も朝からトライアル組は実に精力的。水面に下ろすタイミングに差はあっても、ほぼ同じように粛々と調整を進めているといった印象だ。トライアル最終戦、そのムードは静かにじわじわと高まってきている。
シリーズ組では、西橋奈未が早くも試運転を繰り返していた。足合わせのパートナーとなっていたのは同支部の今井美亜。今井は得点率次点に泣いたが、かわいい後輩を側面からしっかり支えていこうということか。係留所に戻ってくると、時に笑い声も交じりながら、長く会話を交わしていた。シリーズとはいえ予選トップの準優1号艇は緊張感も高まるはずだが、今井の存在がかなり頼もしく感じられているはずだ。
それにしても、今日のシリーズ組というか、一般戦組は実に忙しいのである。8Rから賞典レースが始まり、出走する30名(トライアル組とシリーズ準優組)はすべて1回乗り。7Rを一般戦組22人で回さなければならず、實森美祐と前田紗希以外はすべて2回乗りだ。それも、レース間隔が短い! 中2レースの選手もざらで、1R組では孫崎百世と清水沙樹が4Rに登場。2Rでは川井萌、土屋南、角ひとみが5Rにも出走する。というわけで、中2レースの選手に関しては、レース中に接触などがなければボートを陸に上げなくても良し、という指示が出されている。というわけで、いま名前をあげた5人はゴールして戻ってくると空いている係留所へと入って、そこで艇旗艇番などの付け替えが行なわれている。
1Rの孫崎百世も同じように空いている係留所にボートをつけたのだが、カポックを替える(3号艇→6号艇)などの準備をしているうちに、2R発売中に行なわれる4Rのスタート練習が始まってしまった。というわけで、2本中1本目は欠席し、2本目に参加したという次第。そういえば、朝に「レース間スタート練習は、通常とは違ってまずは試運転タイムを3分設けた後に実施」というアナウンスがかかっていたのだが、中2レース組が参加できるように、という措置だったのですね。それでも間に合わない場合もあるわけなので、一般戦組は実に大変なのである。頑張れ!
1R1号艇で差されてしまった西村歩は5Rに出走。中3レースということでボートをいったん陸に上げているが、今節は劣勢な機力に苦戦し、一般戦の1号艇でも4着に敗れてしまった。このままでは終われない! ということで、中3レースにも関わらず大急ぎでボートを整備室前に移動して、本体整備を行なっている。時間が少なくたって、少しでも機力を引き上げたい! そんな思いが西村を突き動かしたということだろう。その整備が当たって、巻き返せますように!(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)