BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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1回戦TOPICS

 今節はノックダウン形式の短期決戦。初日の当欄も要らぬ贅肉は省いて、勝ち残った選手の独断パワー評価をお伝えします。

4R
①深谷②磯部③田中④山田⑤仲谷⑥深川

【レース内容】
 例によって深川が動いて16・2/345。全選手が織り込み済みの待機行動で内2艇も100m以上の助走を取ったが、2コース深川が凹んで不穏なスリット隊形に。3コースから覗いた磯部がまくりを自重し「外を止めてのまくり差し」を選択したが、隊形的に待ちすぎの展開になってしまったか。スピード不足の旋回はイン深谷を捕えきれず、逆にセンター勢の引き波を浴びて一気に最後方までずり下がった。
 1着・深谷、2着・田中、3着・山田

【独断パワー評価】
 三島敬一郎の第二席・深谷67号機はさすがの安定感か。ただ、2マークを回って信一郎に詰め寄られていて、まだ完璧に合っている足色には見えなかった。逆にじりじり追い詰めた田中11号機は、前検から28%という数字以上のパワーを感じさせる。今日の仕上がりだけなら深谷67号より強めの見え方だったし、どんどん突き放した山田73号機よりも力強い実戦足だった。明日のセンター枠も要注意!

5R
①土屋②上條③前田④今垣⑤定松⑥徳増

【レース内容】
 こちらは穏やかな枠なり3対3から、イン土屋がコンマ04の突出スタート。おそらく上條19号機の行き足を警戒しての踏み込みで、半艇身ほど遅れた上條を寄せつけず鮮やかに逃げきった。一方、スタートで後手を踏んだ上條は、センター勢の猛攻を浴びてバック4番手まで後退。絶対絶命のポジションから全速握りマイの連続であれよあれよと2着を取りきった。さすがの19号機! 3着は前検で足色が不安視された今垣が粘り強い小回りで後輩の追撃を封じてみせた。
 1着・土屋、2着・上條、3着・今垣

【独断パワー評価】
 スッキリと逃げきった土屋だが、スタート勝ちの要素もあって正味の足色は分かりにくい。上りタイムは4Rの深谷より遅く、47号機の機歴も込み込みで中堅~中の上までか。
 2着の上條19号機は絶対エースに相応しいレース足。外から外へとぶん回した上條の背中をグイグイ押して明日のセンター枠をもぎ取った。ただ、私が期待したスリット近辺の行き足は思ったほどではなく、今日はサイドの掛かり~出口の押し足、つまりは出足系統がピカピカに光っていた。
 3着の光ちゃん38号はパンチ力こそ感じないものの、くるくる小回りで引き波をソコソコ軽快に跨いでいた。現状、スリットから出て行く伸び足はなく、明日の外枠も捌き主体のレースになるだろうか。前付けも含みに舟券作戦を組み立てたい。

6R
①片岡②平尾③桐生④高橋⑤新開⑥吉田

【レース内容】

 穏やかな枠なり3対3から、スリットで波乱の予感を匂わせたのは高橋。4カドからにゅっと覗いてスロー勢を威圧する見え方だったが、そこからの伸び足が足りない。カド受けの桐生がじわり伸び返してその脅威を消し去り、高橋は攻め手を失った。センター勢の小競り合い間にイン片岡がすんなり逃げて、トーナメントはイン逃げ3連発だ。
 惜しかったのは5コース新開で、高橋の外から凄まじいスピードのまくり差し一閃。バックで2番手を取りきり1回戦突破を確定させたかに見えたが、上には上がいる。3コースまくりが届かず4番手あたりで喘いでいた桐生が、2マークで恐ろしく初動の早い全速ぶん回し!! 新開はあっという間に引き波に呑まれ、平尾にも差し抜かれて4着に甘んじた。

【独断パワー評価】

 外の攻めが膠着している間の逃げとはいえ、片岡の出口の押し足はなかなかに秀逸(最近のマー君はウイリーにも磨きがかかっている)。上りタイムも僅差ながら前半イチを叩き出し、イン戦に過不足のないレース足と断定して良さそうだ。
 5Rの上條同様バック4番手から大外ぶん回しで2着に浮上した桐生は、例によってターンスピードかパワーか線引きが難しすぎる。少なくとも2マークの初動の早さは機力不問で、機歴的に中堅あるなしではなかろうか。3着の平尾は巧みに捌いた感もあるが、もっさり重く見えた前検より上向いた見え方ではあった。

7R
①羽野②遠藤③濱野谷④中島⑤川野⑥関

【レース内容】
 スリットほぼ横一線からイン羽野がじわり抜け出し高速モンキー、1マークの出口で1回戦のイン4連勝を決定づけた。逆に2~4着争いは熾烈を極めたが、もっとも惜しかったのは遠藤だ。バック2番手から2マークで濱野谷に抜かれて3番手に。その後も関の猛追を凌いで凌いで3番手を維持していたが、最終ターンマークで逆転された。機力をやや悲観していたであろう遠藤が「関を行かせて差す」という戦法に終始し、大量の水をもらったのが敗因となった気がしてならない。
 1着・羽野、2着・濱野谷、3着・関

【独断パワー評価】

 勝った羽野61号機の逃げっぷりは、6R片岡よりさらに安心感に満ちたターン回り~出口の押し足。上りタイムは意外と遅かったが、三島第七席のポテンシャルを色濃く感じる圧勝劇だった。2着に粘り込んだ濱野谷37号は、パワー云々より2マークの立ち回りなど老獪な捌きが光っていた。正味の足は良くて中堅上位までと値踏みしているのだがどうか。
 三島第六席の関74号機は実にゴキゲンな実戦足。特訓からスリット足がやたらと目立っていたし、本番で遠藤を追い回したストレート足も出色。ターン回りではややロスも感じられたが、明日の外枠でも十分に怖いハイパワーとお伝えしていいだろう。


8R
①峰②長嶋③赤岩④石渡⑤西山⑥小池

【レース内容】
 1回戦イン4戦全勝の大村水面で、波乱はココで待ち受けていた。4カドの石渡がスリットでわずかに覗くや、有無をも言わせぬ絞めまくり! その迷いのない進軍は、断然人気のイン峰をも引き波に呑み込んだ。ここ数年の鉄兵さん、ビッグレースでこんな一発が増えてるんだよなぁ(去年の4コースまくり8勝)。
 峰はこの攻めが見えていたかどうか。トップSの2コース長嶋が壁になっていたところ、出し抜かれた可能性は高い。どっちにせよ、鉄兵さんの攻めがすこぶる早かったと絶賛すべきだろう。まくられながらも峰がしぶとく2番手に残し、2マークを全速ぶん回し(今日の流行語かw)で3番手に進出した西山が1回戦突破を果たした。
 1着・石渡、2着・峰、3着・西山

【独断パワー評価】
 さて、サプライズのまくりを決めた石渡の機力はどんだけなのか。その攻めっぷりを称えつつ、相棒41号機は過信禁物と思っている。前検タイムも展示タイムも今日の上り時計もかなり遅い部類だし、道中では大差の峰にじわじわ詰められていたし、威張れるレベルではないはず。
 一方の峰40号機はかねてから「イン戦向きではない」と思っていたのだが、出足~行き足までの重さが敗因になったかも? まくられてからの追撃足、特に行き足~伸びは迫力満点で、明日のセンター枠は一撃まくりの“意趣返し”を警戒しておきたい。3着・西山70号機は2マーク引き波のない外から外へのぶん回しが利いたが、直近のビッグの中ではレース足がしっかりしている見え方だ。

9R
①馬場②井口③吉川④平本⑤宮之原⑥宮地

【レース内容】
 宮地の前付けを全員ブロックで枠なりオールスロー。しかも6人すべてコンマゼロ台という火の出るようなスリット隊形になったが、これはこれで揃ってしまえば内が強い。馬場がインモンキーから艇界最強のウイリーで後続を突き離してイチ抜け確定。2コース井口の差し、4コース平本の二番差しもなかなかにスピーディかつパワフルで、宮之原らの追撃を完封した。
 1着・馬場、2着・井口、3着・平本

【独断パワー評価】
 前検の気配は一息&新ペラ交換でどうなるかと見ていたが、馬場55号機が圧倒的なスピードで逃げきった。ただ、いつものようにウイリーによる推進力が半端なく、この圧勝をもってパワー盤石とは断定できない。上りタイムもスピードスターとしてはもうひとつ縮めて不思議がないところ。勝手な見立てとして中堅上位あたりか。
 1マークの攻防では2コースから差した井口76号機のサイドの掛かりもゴキゲン。角度的には差さって不思議のない見え方で、予想通り余力たっぷりの実戦足だ。後続の平本23号機も危なげなく3番手に進出したが、道中の足色ではやはり井口に分があったと思っている。

10R
①松井②池田③山口④渡邉⑤椎名⑥寺田

【レース内容】
 ここも王者・松井がインから押しきったが、配当は80倍ちょいの中穴に。立役者は『赤城のまくり怪獣シーナ』で、5コースからこの男らしい1ミリの迷いもない締めまくり。さすがにコースが広い大村ではイン松井まで届かなかったが、あわや!?と思わせる強襲だった。椎名をブロックして松井が逃げるところ、二の矢として襲い掛かったのは椎名マークの寺田! これまた「あわや!?」のズボ差しだったが、行き足に余裕ある松井がこの二の矢も払いのけて逃げきった。
 1着・松井、2着・寺田、3着・椎名

【独断パワー評価】

 外から怪獣たちの猛攻を浴びたが、松井25号機の出口の押し足は見た目以上の余力を感じた。イン戦向きのパワーでもあり、スタートさえ揃えば3日目までイン3連勝が可能だと思う。さらに、相性抜群のスーパーあみだマシーンで再び白を引き当てれば、井上尚弥ばりの「4連続1ラウンドKO防衛」もありえるだろう(笑)。
 2・3着のアウト勢はスタート勝ちの一面もあるが、スリット後の伸び足はともに秀逸。特に寺田は前半2R(転覆)でも不気味なストレート足を魅せており、明日のセンター枠も一撃を警戒しておきたい。転覆の影響はまったくなさそうなレース足でもあった。

11R
①石野②茅原③毒島④豊田⑤菊地⑥守屋

【レース内容】
 やはり、大村のインコースの強さは格別だった。大本命の石野がややスタートで後手を踏んだように見えたが、1マークを先取りしたらば茅原、毒島らの強敵を3艇身ほど置き去りに。1回戦8戦目で7個目のイン逃げを確定させた。
 バック2番手も順当に2コースから差した茅原。やや不運だったのが3コースからまくり差した毒島で、石野の引き波に足を取られる形でバック4番手あたりまでずり下がった。「3着条件」をメインで考えるならリスキーな戦法だったかも知れないが、果敢に頭を狙いに行ったまくり差しを批難する気にはならない。バックで毒島が喘いでいる間に、4カドから差し伸びた豊田がガッチリと3番手を取りきった。
 1着・石野、2着・茅原、3着・豊田

【独断パワー評価】
 前検の石野34号機がかなり頼りない足色だったため「危険なイン選手」と見ていたのだが、フタを開ければ圧勝劇。上りタイムも9Rの馬場をコンマ1秒上回り、見た目には盤石のイン戦という他ない。ただし、イン天国・大村だからこその見え方とも思っており、明日の石野1号艇もそれなりに疑ってかかろうか、などと考えている。
 2コース差しがまったく届かなかった茅原29号機は、おそらく中堅ど真ん中あたり。可もなく不可もなく技量とターンスピードで2着を取りきった印象だ。むしろ、実戦足としては3番手から毒島らの追撃を完封した豊田54号機の方に分がある気がするのだが、どうだろうか。

 嗚呼、こうして8個レースをリアルタイムで書ききってみたらば、どれも似たようなレース展開で読む方々もさぞや疲弊されたことでありましょう。私の筆力のなさを棚に上げつつ、「ここまで読んでいただき、お疲れさまでした」と労いの言葉で〆させていただきます。あーーー疲れた!(photos/シギ―中尾、text/畠山)