BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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勝負駆けと団体戦が混在!の4日目前半ピットから

 何度か書いているように、鳴門ピットでは装着場のど真ん中にモニターがあって、我々報道陣のレース観戦場所ともなっており、さらにはここで観戦する選手も少なくない。また、このモニターはレースのリプレイを真っ先に放映することもあって、レース後、着替えを終えた選手たちがここに集結することとなる。
 4Rのルーキー戦終了後には、6人全員がモニター前に陣取った。もちろん、出走選手以外の選手もいたりするから、なかなかの賑わいとなっていた。

 同世代の選手たちだからか、実に和気藹々とした雰囲気でのリプレイ観戦会。1マーク、まくり差しを狙っていった木下雄介に、インからやや流れた小坂風太が接触する場面が映し出されると、小坂が「すみません」と詫びている。木下は「ぜんぜん、ぜんぜん!」と意に介さない旨を伝えた。その後、木下がバランスを崩した場面となって、全員が爆笑(笑)。木下が立て直せたからこそ笑って済ますことができたわけで、事故にならなくてよかったよかった。

 この輪から真っ先に抜けたのは山崎祥。5着に敗れたのだが、自身の敗因が確認できたのだろうか、首をひねりながらモニターの前から離れた。今節、毎朝毎朝、元気いっぱいに挨拶してきてくれる山崎。それこそ、かなり離れた位置からでも、こちらを見つけると小走りで距離を詰めて「おはようございます!」。ところがこのときは、数十cmくらいのところをすれ違ったのに、こちらに気づくことなく俯いたままなのだった。今日は勝負駆けであり、やはり5着は痛い。その落胆が頭に渦巻いていたに違いない。

 そう、今日は予選最終日でもあり、勝負駆けの面々は団体戦と同時に自身の苛酷な条件と戦うことになる。5Rはレース前の段階でルーキーズ6位とボーダー上だった島川海輝は、5コースから伸びてきた木村紗友希を制して先まくり。逃げた石渡翔一郎には届かなかったものの、団体戦的にも勝負駆け的にも、好判断の仕掛けだった……はずだった。しかし、2マークで最内を伸びてきた池田浩美に逆転を許してしまう。その後も猛追したものの、池田に捌かれ3着まで。得点率順位は結果的に変動なしで準優圏内ではあるが、ボーダー上であと7レースも結果を待たねばならないのだから、これはしんどい。そして、競り負けたこと自体、痛恨だっただろう。悔しさに顔を歪ませたレース後の島川。準優に残るにしろ残れないにしろ、残り2日に意地を見せつけたい。

 6R、西岡成美が2コースからまくって1着。3日目終了時点で想定されたレディースのボーダー、6・50は超えることとなった。その情報を把握していたかどうかはわからないが、レース後に西岡はまず穏やかな笑み。ただ、その笑みは長くは続かず、淡々と控室へと消えて行っている。3Rと5Rの結果を受けて、レディースボーダーは6・80に上昇。西岡は実は7位までしかランクアップできていない。それを知っているのかどうか。あるいは、レディース勢は堀之内紀代子が4着、西岡にまくられた門田栞が6着で、西岡が勝利したものの、ポイントはルーキーズに奪われている。それがやや気になっていたのか。団体戦とはいえ、自身が勝つのが基本。だが、団体戦のことが頭をよぎれば、また違う思いが生じても致し方ないところか。西岡もこのあと、冷や汗をかきながら得点率状況の推移を気にし続ける時間を過ごすわけだ。(PHOTO/池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)