BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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やっぱり今日は勝負駆け!の4日目後半ピットから

 ピットが一気に沈鬱な空気に包まれた。10R、1マークで多重事故が起こってしまった。2コースからツケマイにいった(4カドの田中駿兵がまくってきていたので、外マイで止めにいった?)平高奈菜が、イン岩崎芳美に張られるかたちで転覆。これに乗り上げた関野文、相馬翔が相次いで落水、転覆している。その事故自体も空気を一変させるが、平高の意識がないのではないかという情報が伝わってきたから、誰もが胸をざわつかせた。実際、平高は真っ先に担架でピットに運ばれている。
 幸い、平高は意識が戻って、足を痛めはしたものの、タイヤ付きの椅子に乗せられ、西村美智子ら4人がかりで控室へと運ばれた(転がされた?)。椅子がガタつくたびに痛みが走るのか、平高は顔をしかめつつ笑ってもいて、西村らもみな笑顔(池田浩美は池上カメラマンに「撮ってあげて!」と笑っていたとか。撮りにいったら西村にもちろん止められたが・笑)。その様子にようやく、誰もが安堵の息をつくことになった。

 なお、関野と相馬は自力でレスキューを下りており、相馬はかなり心配そうに医務室の前で立ち尽くしていた。平高の様子に最もホッとしたのは彼だったか。

 いや、岩崎芳美は平高の様子を見ても、心は晴れないようだった。事故の原因となったといえばその通りだし、平高がケガをしてしまったのも事実。ツケマイに対して牽制しながらのターンはインとしては正解だと思うし、それで1着となった。しかし、歓喜の思いは1ミリも浮かんでいないようで、とにかく表情も暗かった。結果的に予選トップとなっているのだが、それが決まっても表情は冴えず。明日は切り替えて準優をしっかりと逃げてくれ!

 こうしたレースのあとはやはり、個人の勝利も団体の勝利も、そうした発想は誰の頭からも消えている。もちろん平高の容態は男女関係なく、見ていた者戦った者同同士も関係なく、誰もが心配した。完走した田中や中本大樹も同様だ。その後の平高は笑顔も見せながら転覆整備をしており、エンジン吊りにも参加していて、身体のほうは基本大丈夫そうだ。うん、よかった! 頑張れ!

 さてさて、8Rで勝負駆けに挑んだ垂水悠。4カドからの一撃が期待されたが、レバーを放ったか、スリットから伸びていかず。道中も捌けずに5着に終わってしまった。その時点でのボーダー6・33には4着が欲しいところで、道中も追い上げをはかったが及ばず。ピットに戻った垂水は、エンジン吊りを終えるとふうと溜息をついて、無念の表情を浮かべていた。ところが、ボーダーが下がって6位キープ! 報道陣に囲まれた垂水は、ちょっと照れ臭そうに笑みを浮かべ、その後は真摯に取材対応しているのだった。ちなみに、デビュー以来予選突破は3度目。すべて地元鳴門でのものであります。

 11Rでの勝負駆けは香川颯太。準優行きには1着が欲しいところだったが、なんとスタートでヘコんでしまった。勝利を意識して溜めすぎてしまったか? もちろん無念ではあるだろうが、これはさすがに苦笑い。滋賀支部勢も同じように苦笑いで香川を迎えるのだった。

 このレースを得点率6位で迎えたのは藤堂里香。3着以上が欲しいところで、5コースから果敢に握っていったが、内を脅かすまでには至らなかった。結果4着で、嗚呼、惜しい……。今井美亜の出迎えに軽く笑みを浮かべたりするのだが、しかし残念そうな表情には違いなく、今井と別れるとふっと真顔になって、表情をカタくしているのだった。

 12Rでは、細川裕子が逃げ切って勝負駆け成功(3着条件だった)。得点率4位で臨んだ西橋奈未が2着に続いて順位キープ(4着では微妙だった)。レディースの実力者がワンツーを決め、揃って準優へ。エンジン吊り後、すぐに装着場モニターに陣取ったふたりは、1マークでのシーンを笑顔で振り返り合う。西橋が鋭く差し、届いたかと思いきや、細川がウイリーですーっと前へ。「舳先がすーって(笑)」「持ち上がりすぎちゃって焦った(笑)」と、楽しそうに感想を述べあっている。西橋としては敗れた場面でもあるが、初日5着2本と出遅れ気味の発進だっただけに、まずは準優に残った安堵もあっただろう。細川も大きい着があって苦戦気味のシリーズを乗り切れたわけだから、テンションも高くなろうというものだ。

 1着勝負で臨んでいたのは山崎祥。最後の最後に逆転して3着に浮上して意地は見せたが、これでは届かず。前半のピットで敗戦後にこちらに気づかず俯いていたという話を書いているが、この12R後はいつもの山崎祥、すれ違いざまに会釈をしてくれている。惜しかったね、と声をかけると悔しそうに顔を歪めたが、ナイスファイトではあったぞ!

 そして、実は12R前の時点でレディース6位だったのが高憧四季で、細川の逃げ切りで次点に落ちてしまった。たまたま山崎の後ろを歩いており、山崎に続いてこちらに会釈。うーん、こちらも残念! 笑顔ではあったが、無念の思いもあったはずだ。山崎も高憧も残り2日、頑張れ!(PHOTO/池上一摩 TEXT/黒須田)