BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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試運転花盛り!の初日後半ピットから

 午後の時間帯、実に多くの選手が試運転に出ていた。レディースオールスターといえば、若手女子選手が遅い時間帯まで試運転を続けるのが恒例。たとえば、3RでGⅡ初出走を果たした寺田空詩が案の定、その後も毎レース、水面に出ていた。もちろん、今日の1走の感触をもとにしての調整が主ではあろうが、乗艇訓練の意味合いも、彼女のキャリアを考えれば含まれているのだろう。ここ数年で言えば、5000番台選手は全員といっていいほど、試運転が可能な時間帯いっぱいを使って水面を走っている。

 8Rでデビュー以来初の1号艇、初のイン戦を戦った井上遥妃。平川香織のジカまくりを浴びたものの、なんとか2着に残したのは上々のインデビューと言っていいだろう。だからといって、彼女の疾走はそこでは終わらない。当然のようにモーターを外さなかったレース後、着替えを終えると速攻でふたたび水面へ。今節の最若手らしい動きを見せていたのであった。

 そうした若手に交じって、最後まで試運転をしていたのが中谷朋子。今日は5着と消化不良の発進で、そこで感じた物足りない部分を解消すべく、試運転とペラ調整をとことん続けていたというわけである。

 細川裕子、大瀧明日香の愛知勢もまた、試運転に励んでいる。大瀧は2着、細川は3着と悪くない初日だったわけだが、今後の戦いを見据えれば、前半でレースが終わって時間がある一日だったからこそ、さらに仕上げを進めたということになるだろう。

 そして、8R4着の海野ゆかり、6着の佐々木裕美も、同じレースを走った井上とほぼ同じタイミングで水面に戻っていっている。2人は足合わせを繰り返し、いったん切り上げて係留所にボートをつけたあと、会話を交わしながらプロペラ室へ。さらにもういちど二人で水面に降りて行って、また足合わせを行ない、その後に試運転を終えてもずっと二人で言葉を交わしていたのであった。2人とも少々険しい表情だったのは気になるところだが……ともあれ、同じレースを戦い、そこで感じたことをもとに、明日への準備を急ぎ進めたというわけだ。海野は中谷とも話し込んでいる場面があり、確認はできなかったのだが、やはり足合わせをしていたものと思われる。

 もちろん試運転をしているのは、レースを終えた選手ばかりではないわけです。これからレースを走る選手たちも当然、万全を期すために調整と試運転を繰り返す。今日で言えば、レースを終えた選手たちのなかにドリーム組もいるわけで、慌ただしさの度合いではこちらのほうが強いわけである。1号艇の守屋美穂も入念な調整と試運転。1号艇だからこそ、むしろ油断することなく抜かりない仕上げをしている印象だ。ドリーム戦は見事1着!

 前検で相当忙しそうだった西橋奈未は、一日かけて新プロペラを納得いくまで叩けたのか、やや落ち着いた印象を受けた。レースでは2~3番手争いをきっちり戦い、最後は遠藤エミを競り落としての3着。ある程度は仕上がってきたのではないか。

 ドリーム組以外では、長嶋万記が懸命に試運転。前半3着からの1号艇、ここは必勝の構えなのである。レースではきっちりと先マイを果たし、2マーク手前で平高奈菜に迫られたところを思い切りぶん回して先頭確保。気合をしっかりと乗せたターンだったが、それが可能だったのも試運転と調整を繰り返した賜物だったか。
 ベテランも中堅も若手も、レースを控えた者も終えた者も、ひたすら走る初日の午後! そんな光景があったというわけだ。初日というのは、特に前半の時間帯はピットが慌ただしさを帯びるものだが、今日は後半の時間帯も同様だったのである。ピットに響くモーター音はなかなか心地よく耳に届いたものでありました。

 さてさて、8Rでジカまくり勝利を収めたのは平川香織。GⅡ初戦、幸先のいい勝利であった。着替えを終えた平川は、報道陣にコメントを求められ、快く受け答えをしていた。会話を交わしながら、ゆっくりとではあったが、歩き出した平川と記者さんなのであったが、えっ、あらら、平川、後ろ向きに歩いている! なぜ!? ようするに、平川と記者さんは正対して話しており、平川が後方に歩いていくので記者さんが前進して追いかけるような様相となっていたのである! 平川といえば、前進はフィギュアスケートの選手! あの羽生弓弦さんと同じコーチに教わったというほど、将来を嘱望された選手だった。そりゃあ後ろ向きに歩くのなんてお手の物だよなあ。もちろんスピンはしてませんでしたが(笑)。(PHOTO/池上一摩 TEXT/黒須田)