BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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津・甲子園TOPICS 初日

深紅の旗は渡さない!!

 夏の甲子園は四国勢が強い。これは誰もが認めるところで、たとえば徳島は徳島商や鳴門、香川は高松商や尽誠学園、愛媛は松山商や済美ときて高知は高知商や明徳義塾などなど、いずれ劣らぬ優勝候補ばかり。
 まあまあ、それってガチ野球の話でしょ? なんて思っていたらば、ボートレース甲子園も去年から四国フィーバーが吹き荒れているのだな。去年の本家・尼崎甲子園では「愛媛のガチ甲子園球児・石丸海渡が予選トップに君臨⇒準決で不覚を喫したものの、高知・片岡雅裕と香川・中村晃朋が決勝進出⇒最後は片岡マー君の優勝で深紅の旗が高知へ」という層の厚さを見せつけた。V候補の済美が準決で負けたけど、決勝は尽誠学園vs明徳義塾だった、みたいな(笑)。

 あれから1年、今年も四国勢に戦う前からラッキーな追い風が舞い込んだ。高知出身・島村隆幸の追加斡旋! 前年度覇者の明徳義塾だけだと思ったら、名門の高知商が直前で追加。高知県としては、まさに鬼に金棒レベルの補強だ。そして、そんな四国の勢いは、まんま初日の津水面に余すところなく投影された。

【6R】代打の切り札・島村が2コースからコンマ03の猛列なスウィングでジカまくりの先頭打者ホームラン!!
【7R】鳴門の絶対エース田村隆信が3コースから鋭角なスライダーで完封シャットアウト!
【9R】愛媛の成長株・竹田和哉がやはり3コースから急激に落ちるフォークボールで完封シャットアウト!
【11R】前年度覇者のマー君がまたまた3コースから敵の胸をえぐるようなスイーパーで完封シャットアウト!!

 なんと4人で4勝の固め打ち!!!! 3人の3コースまくり差しの球種が違うのはご愛敬として(笑)、「四国勢恐るべし」を他地区の面々に植え付けた初日だった。ちなみに代打の島村は10Rでも6コースから猛烈な俊足を生かして3塁打、いや3着を取りきっている。これに、今日は目立たなかった香川代表の重成一人が復調すれば、四国勢は文句なしのV候補ゾーン突入。4日後には準決勝の好枠をすべて四国勢が独占、なんて光景も想定しておきたい。

辺境地へのエール

 毎年同じようなことを書いている気がするが、また今年も初日に書いておこう。この大会は、ある意味もっとも特殊なシリーズだ。今年のメンバーを格付けすると、こんな極端なヒエラルキーが存在する。
【SGウイナー22人/その他のA1選手16人/A2選手8人/B1選手6人】
 ね、こんなイビツなメンバー構成、年間のどこを探したって見当たらないでしょ。たとえばレディースオールスターも実力の格差が激しいけれど、SGレーサーは最大でひとりだし。四国のGI地区選にしても住之江の正月開催にしても、SG覇者がこんなに集まることはありえないし。

 まあ、ざっくりこの大会の特徴を言い表すなら「SGの中になぜか何人かのかなーり格下の選手が紛れ込んだ、不思議の国のGⅡ」みたいな(笑)。で、なぜこんなアリス現象が生まれるかというと、「ボートレース甲子園=都道府県の代表が集うから」に尽きる。今年のA1以外の選手名と出身地を並べてみよう。

★B1級=多田有佑(山形)、佐竹友樹(宮城)、高橋直哉(秋田)、鹿島敏弘(青森)、佐藤謙史朗(大分)、立具敬司(和歌山)
★A2級=向後龍一(茨城)、前川守嗣(沖縄)、小林泰(山梨)、今井美亜(富山)、金子和之(新潟)、金児隆太(長野)、孫崎百世(北海道)、木場悠介(鹿児島)

 出身は、いずれ劣らぬボートレース辺境地。でもって当取材班は黒須田が長野県、私・畠山が北海道出身ということもあって、そんな未開の地の格下レーサーをエコ贔屓する習性がある。「そんなの横暴だ、もっと平等に報道せい!」とか凄まれても、贔屓をやめようなんて絶対に思わない。
 だって、峰とかブスとか池田とかのスーパースターは今月末のオーシャンカップなどなど年間のいつでもスポットを当てられるけど、ビッグレースで辺境地のB級レーサーを思いっきり応援できるのは、この大会だけなのだ(もちろん、ここで彼らを取り上げれば、辺境地の人々のボートレース布教に1ミリでも役立つかも、などとも思っている)。
 だらだら能書きを垂れてしまったが、彼らの現実の成績はどうだったか。心苦しいけれど、時系列で上記14人の枠番=着順を列挙しておこう。

②6着・③5着・②5着・⑥6着・①5着・⑥6着・③6着・③6着・⑥2着・③4着・⑤5着・①3着・⑥6着・②6着

 今日はひとり1走、14人で14戦して好枠も多かったはずだが、ほぼほぼ5、6着に沈んでしまった。枠番より優秀な着順を取りきったのは、5R6号艇で2着に食い込んだ新潟県代表・金子和之のみ。毎度のことだが、今年の初日も辺境地の格下レーサーには厳しすぎる現実が突き付けられたわけだ。
「なんだよ、贔屓するどころか結果的にディスってんじゃん」
 と思われた読者もおられるだろうが、ボートレースの大会は1日では終わらない。こうして着を落とす選手が増えるほど、まんま明日以降の大穴係数が膨らんでいく。そして、彼らにとってもっとも暴れやすい「隠れフィーバータイム」があることも忘れてはならない。それに関しては、あえて明日のこの場で書くとしよう。

 とりあえず、今日の辺境地MVPはアウトから2着に食い込んだ金子和之で決まり。準MVPは……野中一平との熾烈な5着争いで競り勝った北海道代表の孫崎百世! え、これはさすがに見苦しいエコ贔屓っすか、そうですか。ちなみに明日は2R1号艇が金子、3R1号艇が青森代表の鹿島、4R1号艇が孫崎と「チーム雪国のホワイトスノー3連フェスタ」。3連勝はさすがに厳しいかもだけど、ダメ元で「2連単①-流し・3連コロガシ」なんてやってみようかしらん?(photos/チャーリー池上、text/畠山)