BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――調整始まる

 4R発売中に公開インタビューがあるため、本格的な調整はそれが終わってから。優出組はそれまではゆったりと過ごしているのだろうな、と想像してピットに入ったのだが、そうでもなかった。大掛かりな整備はしてはいなかったが、すでにそれぞれが調整や、あるいはその準備に取り掛かっていたのだ。毒島誠はペラ調整所にいつもの場所に陣取ってハンマーを手にすることもあった。昨日の1マークでの挙動を含めての点検、調整という意味もあるのだろう。

 佐藤翼もまた、ペラ小屋の昨日と同じ場所でペラを叩き始めていた。念願の地元SG優出、エンジン吊りに出てくるときにも特に浮足立った様子はなく、いい時間を過ごせているようだ。

 峰竜太もやはりペラ小屋。しばらく様子を眺めていたが、ハンマーを手に取ることはなく、さまざまなゲージを翼面に当てて形状を点検しているといった感じ。合間には報道陣の取材を受けてもいて、その様子からは少しばかりの緊張感がうかがえた。峰ほどの選手であっても、優勝戦1号艇はプレッシャーがかからないわけがない。ましてドリーム1号艇からの優勝戦1号艇、連覇が懸かる一戦とあらば、責任感のようなものもあるだろう。

 馬場貴也は「ペラ焼き入れ」という表札がある部屋に姿があったので、そのまんま、プロペラに焼きを入れていると見ていいだろう。ということは、その直前にペラをある程度叩いているはず(その様子は目撃できなかった)。焼きを入れている間はもちろんペラを叩けないから、ゲージの一部片付けなども始めていた。すでにこのあと使用するゲージは決まっているのだろう。

 桐生順平はギヤケース調整だ。かなり入念な調整で、桐生なりの戸田でのここ一番の調整というものもあるのかもしれない。地元SG優勝戦に気合がパンパン……という雰囲気は現時点ではなく、エンジン吊りで仲間の帰還を待つ間にはゴルフのスイングをしたりもしていたので、リラックスできているように見えた。ここから時間が経つにつれて、ぐんぐんと気持ちが入っていくことだろう。

 唯一、調整らしい調整を行なっておらず、帰郷準備をしているところしか見ていないのが関浩哉。公開インタビュー後、5R発売中くらいから動きは活発になっていくはずだ。

 そうそう、大峯豊が毒島を捕まえて、激励を送る場面を見かけたんだった。92期同期生。おそらく優勝戦の頃には管理解除となって帰郷してしまっているはずで、今のうちにエールを送っておこうということだろう。「あざっす!」と返して笑う毒島。今日はたとえば宮地元輝が桐生に、佐藤隆太郎が関に、塩田北斗が佐藤に、といった具合に、先に帰ることになる同期が一声かけるシーンがあるだろう。仲間の思いも感じながら、選手たちは優勝戦に臨むのである。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)