昨日よりもかなり気温が下がっている３日目朝。それに伴って調整に慌ただしくなっている、かと思いきや、そうでもない。ようするに初日や２日目と変わりないし、むしろ落ち着いているという感もある。よほど気配が変われば急ぎの調整にもなるのだろうが、そんな雰囲気の選手は今日については少なかった。忙しそうな選手をあげれば、孫崎百世。ピットのいちばん奥にあるペラ調整室で作業をしているということもあってか、ペラ室と係留所の行き来は駆け足であった。
馬場貴也も同様。やはり奥の調整室に陣取っていて、やはり軽快に走って往復。そういえば孫崎は３Ｒ、馬場の場合は４Ｒ出走、出番が近づいているから、１分１秒を惜しむという意味合いも強いか。馬場にせよ孫崎にせよ、途上にぼーっと突っ立ってる巨体のオッサンに対し、すれ違う際に爽やかな挨拶を投げかけてくれるのが、ちょっと嬉しかったりする。
整備室では峰竜太が本体を割っていた。検査員室のホワイトボードによれば、ピストンリング交換の模様。黙々と整備をしている峰のかたわらで、片岡雅裕がじーっと見守っていた。二人はサーフィン仲間でもあって、ピットでも仲良しな様子がしばしば見られるのであります。
朝の時間帯で、わりと目に留まる動きといえばその程度なのであった。もちろんペラ調整室は満室だし、係留所にもボートが並び、試運転のエンジン音はひっきりなしに聞こえてくるのであるが、先述の通り、空気自体は今節最も落ち着いた感じなのであった。あ、あと金児隆太がギヤケース調整してました。「しっかり走ってきます！」と５Ｒ１号艇に向けて準備万端だ。
１Ｒは重成一人が逃げて、今節２勝目。昨日は初日に吹き荒れた四国旋風がやや風速を弱めたが、まずは今節の四国重鎮的存在の重成が快勝。エンジン吊りに出てきた面々はみなにこやかで、逃げ切り後としてはかなり陽気な雰囲気だったように思う。理由はよくわからなかったが。
２Ｒ１号艇の佐竹友樹の場合は、重成とは実に対照的であった。先マイしたものの太田和美と山口剛に差し込まれ、２マークは全速外マイで前に出たかと思いきや、やや流れ気味で山口に並ばれ、そこからずるずると着を落として４着。連にも絡めず、落胆は大きいようだった。やはり機力的に劣勢と見え、それもまた佐竹を暗鬱にする要因だったか。
一方、逆転した山口はニッコニコで、吉田拡郎に「あれは出とる」と機力のほうも称えられて笑みはさらに深まった。昨日の妨害失格で賞典除外となってしまったわけだが、真剣勝負の精神は変わらない。モーターもある程度仕上がっているのであれば、勝ち上がりがなくなったとはいえ、舟券的に有力選手であるのは間違いない。
アタマもありそうな展開だった太田はといえば、松井繁と顔を合わせて苦笑い。いったんは４番手まで下がったが、最後に逆転３着となり、いいところも悪いところもあったレース、といった感じだろうか。太田は今日は１回乗りだが、試運転用の艇番と艇旗を装着している。雨が降ったりやんだりの梅雨空だが、太田は明日の勝負駆けに向けて、今日は遅くまで走り続ける。（ＰＨＯＴＯ／池上一摩 ＴＥＸＴ／黒須田）
