BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――執念の整備!

 10Rの締切10分前くらいだろうか、白井英治がボートを陸に上げた。整備士さんに何かを告げると、にわかに整備室のテーブル周辺が慌ただしくなる。白井は手早くモーターを外し……って、このタイミングで整備!? 11R発売中には、展示ピットにボートを映さなければならないのである。11R発売中とは、言い換えれば10R終了後。その10Rがものの10分後には始まるのだ。いやはや驚いた。
 行なった整備はキャリアボデー交換。なるほど、これなら本体を割るわけではないから、それほど時間はかからない。それにしても、整備士さん数人の手を借りての手早い交換! 10Rが発走する前には交換が終わり、ひとまずボートにモーターを装着し終えて、白井は装着場のモニターに映し出される10Rを眺めているのだった。
 結果は3着までだったが(やや展開利もあった)、少しでも上向かせようという執念よ! ドリームは我慢して走って、また明日、というつもりはまるでなかったということなのだから、恐れ入る。やはり、現時点で賞金ランク31位という現状も影響しているだろうか。地元下関のチャレンジカップが残されているとはいえ、悠長に構えるつまりなど毛頭ないわけだ。繰り返すが結果はさておき、その強い思いがきっと先々へとつながっていく。

 白井が大急ぎの交換作業をしているとき、整備室はとにかく賑やかだった。本体整備組もちらほら。6Rで1号艇6着の森高一真もその一人。馬場貴也のツケマイを浴びて大敗を喫したのは、馬場のハンドルもお見事だったが、やはり機力の足りなさも大きな要因だったということだろう。整備が終わったのはまさに10R発売中だったので、大掛かりな整備のように見えている。何らかの交換はあったことだろう。

 5Rで3コースからスタートでヘコんでしまった塩田北斗も本体を割った。三島10基にも入る良機のはずだったが、直線系が厳しいということだろうか。塩田は何度か部品庫の前とテーブルを行き来して、かなり入念な整備。単なる交換ではなく、というか交換しないような微細な部分にも手を入れているようだった。塩田流のノウハウがあるのだろう。

 6R3着だった松村敏も本体を割っている。これも三島10基に選ばれているモーターが相棒となっているのだが、下馬評ほどの手応えではなかったのだろう。かなりバラバラに分解していたので、やはり何らかの交換があるかも。松村といえば、10Rのエンジン吊りで毒島誠と話し込んでいた。二人は92期の同期生。そこに大峯豊も合流。これも92期の同期生。92期トリオの出来上がり! 92期は毒島がSG単独参戦ということも多いので、こうした絡みはなかなか貴重。毒島といえども、二人の存在は心強いんだろうなあ、と想像する次第。

 モーター関連ではないが、丸野一樹がステアリングバーを交換していた。7R、インから2着に敗れているが、1マークでかなりキャビっている。その原因が、ステバーが曲がっていることだったようなのだ。1号艇での取りこぼしは痛いが、早めに気づけたのは何より。「戸田は外からでも取り返せますから」と、痛恨ではありながらも前を向く丸野である。足に不安がないのなら、このステバー交換で変わる可能性充分だ。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)