BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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陸の上でも水の上でも懸命に走る2日目後半のピットから

 9Rのエンジン吊りが終わり、急ぎボートを下ろす準備をする鹿島敏弘。えっ、これから試運転に!? 10R発売中までが試運転タイム。ということは、もう走れる時間はわずかである。それでも、10R展示が終わり、着水OKの合図が出ると速攻で水面へ! 何としても調整の感触を確かめるのだという、強い気持ちがうかがえる。

 この時間まで試運転を続けていたのは最年少・中山将太。ふたりは試運転可能の青灯がつくや、水面に飛び出して足合わせを繰り返した。夕景のなかを、可能な限り並走で駆け続ける鹿島と中山。何回見ても、こういう懸命な姿には声援を送りたくなりますね。

 試運転停止の赤灯がつくと、二人はボートを陸に上げた。9R終了後には帰宿の1便が出発しており、選手の姿が少なくなっていたピット。エンジン吊りの陣容も手薄なのであった。そのときちょうど、9Rを走って着替えを終えた毒島誠がピットにあらわれる。最初は関係者と談笑しながらゆったりと歩んでいた毒島だったが、前方でエンジン吊りをしているのを発見するや、素晴らしい瞬発力で猛ダッシュ。出足はもう、超抜でしたね! もちろん、鹿島と中山のもとへと駆けていく行き足、伸びも完璧。あっと言う間にエンジン吊りに加わると、てきぱきと二人のヘルプをするのだった。さらには、鹿島のボートを艇庫の前に運ぶ役目も。後輩の鹿島としては恐縮するわけだが、当たり前のように毒島はボートを運び、頭を下げる鹿島にひらひらと手を振って、モーター格納に向かったのだった。

 10R終了後、選手の数が少なくなっているから、基本は支部や地区ごとにエンジン吊りを行なうのは同じでも、手の空いている選手が入り乱れて素早く作業を行なっていた。若手選手たちは特に忙しく動き、モーターを整備室に運び入れたり、ボートを艇庫前に移動したりと奮闘していた。それを見て、動いたのは遠藤エミ。本来なら中山ら新兵チームの仕事である、モーター架台の準備を遠藤が率先して始めたのだ。SG覇者になっても、気を配って自ら俊敏に動く態度は変わらないのであります。それを見てか、遠藤の1期上である片岡雅裕もこれに参加。さらには片岡の3期上の平山智加までもが架台を運び始めた。新兵とか期がどうとか関係なく、協力し合って作業を進めるのがボートレーサーたち。なかなか素敵な光景でありました。

 さてさて、整備や調整の手も緩めないのがボートレーサーたち。6Rで3コースまくり差しを決めた白井英治も、12Rに向けてギアケース調整。1着が獲れたからといって、そこで安心することはありえない。今日は師匠の今村豊さんがお仕事で来場していて、久しぶりにお会いして感激したワタシです。それを白井に伝えたら、「あ、そうなの?」と微笑んで、「どうせ12Rは俺以外(が本命)なんだよな。あの人、穴党だから」だって。ミスター、穴党なの!? 1号艇の弟子を軽視する師匠。12R、しっかりと逃げ切ってその師匠の見解を外してみせた弟子。戦う舞台は別々になっても、素敵な師弟であります(笑)。実際にミスターがどういう見解だったかは知らないけど。

 丸野一樹は本体整備。セット交換をしたそうだ。あ、明日の直前情報はチェックしてくださいね。明日試運転をして感触が良くなければ元に戻すこともありえるので。ドリーム戦で瓜生正義との接戦を制して2着、今日も7Rでは2着と、悪くない成績なのだが、しかし感触にはいまひとつ納得がいっていない丸野。「上を目指すなら、もうひとつパワーアップしなければ」と、強い思いで整備を敢行したわけだ。これぞ強者の姿勢である。マルちゃん、どんどん逞しくなっていくなあ。(PHOTO/池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)