BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット@シリーズ――クライマックス組登場

 

 

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 クライマックス組がピットに登場し、注目は一気にそちらに向き始める。わかりやすいのはカメラマンたちのレンズの向く先で、10時10分にクライマックス組のモーター受領→約30分ほどで装着のタイミングには、装着場の一角を占めるクライマックス組のボートの周辺にカメラマンが群がっている。シリーズ組には目もくれず、だ。もっともこれは、かつてのグランプリでも同様だった。残酷な光景とも言えるが、この空気を味わうシリーズ組はだからこそ「12人に入らなければ!」の思いが強くなるというもの。この現実はある意味、レーサーにとっては大きな糧になるものだ。

 そもそも、シリーズ組にとって、クライマックス組が登場しようがしまいが関係ない。自分たちの戦いが待っているのだ。それに向けて粛々と準備を進めるのみ、である。係留所は今日も満艇状態。ペラ調整所からはカンカンと金属音が響く。別の感情を抱いたとしても、それにかまけている場合ではない。クライマックス優出経験者でもある長嶋万記が倉田郁美や池田浩美と真剣に話し合っている姿には、自分の戦う場をわきまえている姿勢がしっかりと透けて見える。来年こそは、の思いを当然抱きながら、まずはシリーズで鬱憤を晴らすことだけに集中している様子だ。

 

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 1R、赤澤文香と堀之内紀代子の岡山勢がワンツー。エンジン吊りには寺田千恵が加わっている。いつもの岡山会議が行なわれるか、と思いきや、寺田は両方のエンジン吊りに参加したあとはすぐに、整備室へと向かっている。寺田は寺田で自分の作業があるわけだ。だから、会議のような団体での話し合いは行なわれず、岡山同士の1対1の会話が別々に見られていた。福島陽子が赤澤に柔和な表情で語りかけ、堀之内は金田幸子らと話したりしていた。あ、山川美由紀が堀之内と話し込んでいる。山川が話しかけると、堀之内は力強くうなずいた。とまあ、クライマックス組とシリーズ組の絡みもあるわけである。

 

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 いや、両者の絡みは、実は随所で見かけることとなった。仲間の合流はシリーズ組にとっても嬉しいことだろうし、クライマックス組も仲の良い選手と顔を合わせて安心感があるだろう。鎌倉涼がモーター装着をしている場に、すかさず駆けつけたのは五反田忍。鎌倉の師匠だ。自分の戦いに専心しながらも、弟子のことが気にかかるのは当然。鎌倉がモーターを乗せたところで話しかけ、しばらく師弟の会話を交わしていた。

 

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 遠藤エミのもとに駆けつけたのは、香川素子に今井美亜。香川は滋賀支部の先輩であり、先月のレディースチャレンジカップでも二人の絡みは何度も見かけたものだ。遠藤としても真っ先に顔を合わせたい先輩だったはずだ。香川は、同じ近畿ということもあって、鎌倉がモーターを乗せるときにはヘルプしている。さらに、モーター架台を置き場に運んでいた。先輩に運ばせてしまった鎌倉は恐縮しきり。香川は自分がやって当然という顔をしており、こうした“わかってくれる”先輩がいることは心強いはずだ。香川は第1回の出場者である。

 

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 クライマックス組の装着作業で奮闘したのは水野望美。今節の新兵である水野は、同支部の先輩である大瀧明日香はもちろんのこと、他の選手たちのことも積極的にヘルプしていた。特に受け持っていたのが、香川もしていたモーター架台を置き場に運ぶ仕事。誰かがモーターを乗せるたびに架台を転がして置き場まで行き、ダッシュで戻って、また誰かの架台を……を繰り返していた。全国的に注目される舞台は初体験の水野、これもまたいい経験かも。近い将来、この節の2日目からレース場にやって来て、後輩の気遣いを存分に受けてくれ!(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)