BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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住之江オールスターTOPICS 4日目

さまざまな波乱

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 ある意味、大波乱だ。V争いの有力候補が次々と勇み足で自滅した。まずは3Rの茅原悠紀と木下翔太。ともに2走で12点くらい欲しい身の上。一走目でケリを付けたいという思いがシンクロしてしまったか。4カドの木下はコンマ03まではみ出し、釣られるように5コース茅原もコンマ01だけ臨界点を踏み越えてしまった。私の◎=茅原83号機とは優勝戦まで付き合うと決めてかかっていたので残念無念。もちろん、本人の悔しさはその何倍にも及ぶだろうが、明日からもアウトコースからしっかり攻めてくれると信じよう。準優組が抜ければトップ足。F+外枠でそれなりに美味しい配当が期待できるのだから。

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 そしてそして7R、茅原よりさらに優勝の至近距離に立っていた石野貴之もあっと驚くフライング欠場……今日の石野37号機はスリット付近の足色が際立っていたから、出過ぎのFだったか。あるいは「ここで1着ならトップの可能性あり」という石野流の勝負勘でキワまで攻め込んだか。とにかく実力、地元水面、リズム、パワーなどを総合すればトップ級のV候補だっただけに、この脱落は混戦模様に拍車を掛けそうだ。

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 それから、フライングではないが王者・松井繁も5Rで6着大敗を喫し、地元SGのV戦線から離脱した。4カドからわずかに覗いたものの、カド受けの長嶋を攻めきれず万事休す。石野、木下も含めて大阪の各世代のエースが揃って消え去った。地元SG優勝へ、最後の砦は超抜の伸び足を誇る湯川浩司、ただひとり!

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 そんな波乱の中、予選を走り終えていの一番に準優当確ランプを点したのは、4R2号艇の平高奈菜!! このレースは③西島義則や⑥湯川浩司がドカドカ前付けにきて乱戦模様となったが、湯川ブロックで3コースを主張した平高がコンマ09から内2艇を伸びなりまくりきった。昨日の当欄で期待したとおり、超男前な勝負駆け突破! この1着で単なる滑り込みではない9位=準優3号艇まで食い込んだ平高が、明日も大物食いをやらかすかも??

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 一方の予選トップ争いは、何度かの速報でお伝えしたとおり。自力トップの権利を握っていた8R毒島誠→9R平本真之&白井英治→10R新田雄史がすべて舟券にも絡めず敗退し、自力リレーのバトンは“アンカー”の11R③徳増秀樹に手渡された。

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 で、この間にあれよあれよと暫定トップに立ったのが篠崎仁志だ。10Rをキッチリ逃げきって7・60。昨日までのランキング上位陣がこぞって着を落としたため、昨日までの8位から7人ゴボー抜き!! 予選2位以内を確定させて、11R徳増の結果を待つ身となった。
 予選トップ&突破の最終決戦、11Rの勝負駆け状況はこんな感じだった。
①桐生順平…1着6・00
②守田俊介…4着6・17
③徳増秀樹…準優当確、1着トップ
④大山千広…3着6・17
⑤篠崎元志…5着6・00
⑥今垣光太郎…3着6・17
 6人すべてが6人なりの勝負駆け。徳増のトップ勝負はともかく、着順によっては「6人全員が準優進出」という可能性も秘めたラストバトルではあったが、やはり現実は勝者と敗者に分離した。

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 勝者の第1号は、インからギリギリ逃げきった桐生。1マークで守田の鋭い2コース差しを浴び、出口で舳先をぐりぐり突っ込まれたが咄嗟の絞め込みでこれをブロック。まさに命からがらの体で準優チケットをつかみ取った。
 差しが入りかけた守田は、2マークで徳増にも抜かれて3番手に後退。が、準優には十分な番手でこれも条件クリア。俊介にとって惜しかったのは4Rで、「カドまくり一撃か」というスリット隊形から、カド受け湯川浩司のありえない伸び返しブロックを浴びて6着。ここをまくりきっていれば、結果論として予選トップの得点ではあった。もっとも、今日のトップ争いではそんな「たらればトップ」が10人ほども存在するのだが(笑)。
 2マーク逆転差しで2着入線した徳増にとっては「嬉しさも中くらい」の結末だったか。予選トップには2点足らず、だがしかし3着のままなら準優1号艇の権利も消滅という境遇での2着。他の5人にとっては贅沢な境遇の中、徳増はランキング2位で予選を終えた。

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 もうひとり、5着の篠崎元志もギリギリながらも条件クリア。そして、残るふたり、大山千広と今垣光太郎はそれぞれのハードルを越えられず、悔しすぎる敗者側に回った。千広は1周バック3番手あたりから、2マークに殺到した後続艇の猛攻を捌ききれずあっという間に最後方まで後退。SG勝負駆けの怖さ激しさを身に染みて感じたことだろう。ファン投票2位の期待に応えられなかった無念と屈辱を、新たなるスキルへと昇華してもらいたい。

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 さてさて、全48レースの予選が終わってみたらば、その頂点には篠崎仁志が立っていた。2017年丸亀オーシャンカップ以来のトップ当選。3年前の準優では②遠藤エミの強ツケマイに抵抗しつつターンマークに接触し、大きくバランスを崩して6着に敗れ去ったが、明日の仁志はどうか。

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 現時点の私の予想は、明日は大丈夫、だ。前検から惚れ込んでいる20号機はイン戦にぴったりの抜群パワーだし、初日の当欄でも書いたように今節は頼れる兄が背中を押してくれる(丸亀オーシャンでは不在)。今日も含めて3連続で逃げるに相応しいパワー&周辺環境が整っていると思う。ただ、あえて「明日は」と限定したのは、ちょっと違う意味で超抜パワーの持ち主が存在するからだ。その選手がファイナルに乗り込んだ場合は……まあ、これはまた明日書くことになるだろう(笑)。とりあえず、今日のトップ当選で仁志のV確率は50%くらいまで跳ね上がったと思っている。(photos/シギー中尾、text/畠山)